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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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密かな願い

 最近、テレビなどで俳優さんのプロフィールなどを見ると、「身長百八十センチ、体重六十キロ」なんて方をお見かけすることがあります。百八十センチという高い身長の割には六十キロという細い体……近頃の若者は華奢過ぎはしないだろうか? と不安になります。他にも、二十代男性で百六十センチ四十キロという方もいました。まあ、若い頃は代謝がいいため太りにくいのは確かですが……細すぎないだろうか? と私などは不安になります。今の若い方たちは、そんな華奢な人が多いのでしょうか……まあ、マッチョがモテない=華奢な方がモテるから、という時代の流れなのかもしれません。


 さて、ラノベを読んでいると……キャラクターのプロフィールに身長や体重が詳しく書かれているケースもあります。しかし、昨今のそういった事情が反映されているらしく、細いキャラが多いようですね。百七十センチ後半で五十キロ台のキャラ……まあ、異能バトルや魔法でのバトル、あるいは人外設定ならともかく、この体格の高校生という設定で格闘をするとなると……いくら技術を磨いても限界がありますね。というわけで今回は、格闘キャラのリアルな体格設定について語ります。


 まず、何度も言っていることですが……基本的に、格闘戦は体の大きい方が勝ちます。五十キロ台の人間がどんなに技術を磨こうとも、百キロを越す大男には勝てません。ルールのあるスポーツ競技なら勝てる可能性はありますが、路上での闘いとなった場合はまず不可能でしょうね。

 ここでまず、体格差五十キロという状況がどれだけ不利なのかを簡単に説明しますと……空手を習っている幼稚園児が本気で向かってきたとしたら、皆さんは怖いでしょうか? 全く怖くないですよね。簡単に取り押さえられるはずです。

 したがって、格闘シーンが多い作品の場合ですと……体格的には五十キロ台では軽すぎますね。ある空手家は「無差別級となると、体重は八十キロは欲しい」と言っています。私の経験から考えても、リアリティーを考えると八十キロ台は欲しいところですね。八十キロあれば、百キロを越す大男を相手にしてもどうにか闘えます。

 あと、もう一つ……当たり前の話ですが、男性と女性とでは筋力や打たれ強さなどに歴然とした差があります。こればかりは、いかんともし難い事実です。可愛い女子高生がいくら技を磨いても、殺意を持って向かって来る男を倒すのは難しいでしょうね。まして、ある程度の鍛練をした男が相手では……はっきり言ってしまえば、ラノベの女子高生ヒロインの格闘シーンのほとんどは、リアリティーの欠片も感じられないものです。それが悪いとは言いませんが。


 以上の点を踏まえて、理想的な体格のキャラを探してみると、ラノベにはいない気がします……もっとも、ラノベには詳しくないので何とも言えませんが。漫画のキャラなら『ベルセルク』のガッツの体格が一番理想的でしょうか。正確な数値は知りませんが、身長百八十五センチ以上で体重百キロ前後ではないかと勝手に思っています。その体格は格闘戦において軽すぎず、かといって日常生活に支障が出るほどには重くない……まさに理想的ではないかと。


 ここまで偉そうに好き勝手なことを書いてきましたが……では、リアリティーに忠実な格闘シーンばかりを書いたラノベはどうなるのでしょうか……多分、私のようなバカには物凄くウケるかもしれませんが、大半の人には見向きもされない作品となるでしょうね。売れなければ価値がないのが出版業界、となると……結局は今のままがいいのでしょうね。リアルな格闘シーンなど、誰も求めてはいないのでしょうし……細けぇこたぁいいんだ! 要は面白くて売れりゃあリアリティーなんかいらないんだよ! という切ない結論で今回は終わります、と言いたいところですが……物事には例外もあります。リアルにおいても、小が大を制するケースはあります。


 例えば、塩田剛三という合気道の達人は五十キロ台の小柄な体格でありながら、アメリカ人の巨漢のボディーガードと立ち会い、打ち負かしたという逸話の持ち主です。また、修斗の中井祐樹という選手は七十キロ台でありながら……ジェラルド・ゴルドーという百キロを超す大型選手と闘い、右目を失明させられながらも勝利しました。

 さらに、園部秀雄という薙刀の名人は女性でありながら(秀雄という名前ですが女性であるとのことです)、剣術や槍術の達人(両方とも男性です)と立ち会い、見事に打ち負かしたという記録が残っているそうです。明治時代の記録だそうですが……男尊女卑の時代において、快挙だったでしょうね。

 体の小ささや、女性であるというハンデを克服して小よく大を制するという武の理想を体現した方は、現実にも存在するのです。ただし……ここに挙げた方々は、ラノベの主人公やヒロインのようなヘラヘラした生活を送ってはいないでしょうね。少なくとも、顔に傷一つない華奢な美少年や美少女ではありませんので、その点は勘違いしないでください。

 とある超有名な格闘技マンガには、こんなセリフがあります。


「武の神様ってのはな、ケチでしみったれなんだ。あれもこれもどれも……全て差し出す者にしか、本物は授けてくれねえよ」


 体の小ささ、あるいは女性であるというハンデを克服し闘う……そういう設定でしたら、せめてその設定に見合うだけの鍛練の跡を感じさせるキャラを作り出して欲しいな、と……私は密かに願ってます。






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