クスリのリスク
今回は少々角度を変えまして……薬物について語ってみたいと思います。格闘技における薬物といえば……アナボリックステロイドが有名ですが、それ以外にも色々な薬物が使われていたりします。合法な薬からダークゾーンの物、果ては真っ黒な違法ドラッグまで様々な種類の薬物が飛び交っている……という噂を聞いたことがある、という話ですので、まあ話半分で聞いておいてください。
試合が近づくと、選手は緊張のあまり眠れなくなったりします。当然ながら、眠らないと疲労は回復できません。また、痛めた箇所の修復(ウエイトトレーニングによる筋肉の破壊も含む)にも、睡眠は欠かせません。
そこで登場するのが、睡眠導入剤です。私もたまに飲む時があります。何やら偏見を持っている方もいるかもしれませんが、用量と用法を守って正しく使用すれば、何の問題もありません。さらに手に入れるのも簡単です。内科へ行き、事情を説明すれば処方箋を書いてもらえますし。
しかし……中にはコメントに困ってしまう方もいます。かつて睡眠導入剤の代わりに、大麻をやって逮捕された格闘家もいたりしました……うーん、という感じですね。何故、違法薬物に指定されている大麻を……恐らくは、試合前の緊張緩和のためにリラックス効果のある大麻を使用したのではないかと思われますが……とにかく、大麻だけはやめましょう。
それとは逆に、興奮させる作用のある薬も存在します。カフェインなどは合法でしょうが、コカインや覚醒剤は明らかな違法薬物です。
この興奮剤の果たす役目ですが……試合直前になると、選手の緊張感はピークに達します。この段階でリラックス効果のあるような薬物を使用するのは、むしろ逆効果のようです。リラックスし過ぎると、競技能力は確実に落ちますし。
そこで、興奮剤の出番です。興奮剤により一気にテンションを上げ、緊張感を吹き飛ばします。そして選手は、普段以上の力を発揮できる……と言いたいところですが、暴走してしまい反則負けになるケースもあります。まあ、興奮剤は一般の人が使用する機会はないでしょうね。必要もないでしょうし。
ちなみに覚醒剤やコカインなども、おおざっぱに分けると興奮剤の方に分類されます。どちらも違法なのでダメ絶対です。ヤーヤー言ってた某デュオの某氏のようになりたくなければ。まあ、あの方もいずれは復帰するのでしょうが。
そして、最後はアナボリックステロイドについてです。前にも書きましたが……物凄く大雑把に説明すると、体内にある筋肉を造り出す物質、それを本来ならあり得ないくらい大量に発生させるものです。それにより、筋肉の量もまた増加します。筋力もまた増大します。ここで念のため言っておきますが、ハードなトレーニングをしなければ、ステロイドの効果も引き出せません。かつて、ステロイドをやっている某格闘家のトレーニングを見ましたが……凄まじいものでしたね。百キロ近い重りを両方の手にぶら下げて(計二百キロ近くです)歩いたり、三百キロの重りを床から上げたり(背筋の力で上げてます)と、まあ凄い……私はその三分の一の重さのバーベルを扱うのがやっとです。はっきり言って化け物ですね。
しかし、アナボリックステロイドには重大な副作用もあります。内臓疾患や精神疾患などなど……もっと詳しいことを知りたい方はちゃんとした本やサイトを見てください。とにかく、アナボリックステロイドは軽い気持ちで素人が扱うとえらいことになるのは確かです。
ただ……私はアナボリックステロイドに反対する気持ちはないんですよね。後の人生を犠牲にしてでも、今の勝利を掴む……この考え方は、私には否定できません。
しかも、ステロイドをやったからといって、確実に勝利を掴めるとは限らないのです。相手もステロイドをやっているケースもあります。あるいは、ラッキーパンチをもらい敗れるかもしれません。それでもステロイドをやる……その覚悟があるのなら、私は止める気はないですね。最終的に自己責任の範疇ではないかと思います。
蛇足ではありますが、最後にとあるプロレスラーと、その息子たちの話をします。とあるプロレスラーは五十年ほど前に大活躍し、アメリカで大金持ちになりました。そして、息子たちもプロレスラーになり(兄弟全員が見事な肉体の持ち主でした)成功を収めました。結果、この一族は一時は業界でも一大勢力と言われるまでのし上がっていったそうです。
ところが、息子たちのその後は……内臓疾患で一人が死亡し、さらに三人が自殺という悲惨な末路を迎えました。しかし、その原因は粗悪なステロイドだと言われています。さらには、コカインが原因だという説もあります。真実はわかりません。あくまでも噂レベルの話です。しかし薬物が原因だとしたら、悲しいものを感じますね。短期間で一大帝国を築き上げた代償なのでしょうか……。




