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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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ムエタイについて

 十年ほど前の話です。当時はKー1の全盛期でして……今からは想像もつかないですが、ゴールデンタイムで放送してました。格闘技バブルなどと呼ばれていた時代の話です。

 2004年のKー1WORLD MAXにおいて彗星のごとく現れ、圧倒的な強さで優勝したブアカーオ・ポー・プラムック……彼の強さは桁違いでした。スター選手である魔裟斗を全く相手にせず、余裕とも思える勝利です。あれは正に、テレビの前の一般視聴者にムエタイの強さを見せつけた記念すべき日となったのではないでしょうか(ちょっと大げさですね)。


 さて、先日ちょっと思うところありまして、なろうにて、『ムエタイ』のタグの付いている作品を探してみました。すると三作品しかありません(2014年年11月21日の時点で)。ううむ……ここはやはり、ムエタイの強さを今一度みなさんに知らしめる時ではないだろうか、と思いました。そんな訳でして、今回はムエタイについて語ります。と思ったのですが……私はムエタイに関する知識はあまりありません。なので、ムエタイの強さ……その触りの部分だけを書かせていただきます。


 ムエタイと言えば、まず有名なのは蹴りですね。ムエタイ選手のミドルキックは、下手をするとブロックした腕ごとへし折ることが可能です。あのムチのようにしなる蹴りは、凄まじい威力を秘めています。

 また、一見すると地味な前蹴り(回し蹴りと違い、足の裏もしくは爪先を真っ直ぐ突き出して蹴る技)ですが……これもまた、ムエタイの選手は実に効果的に使います。突き刺すような前蹴りは、それだけで相手をKOできる技です。さらに相手の動きを封じ、コントロールすることも可能です。ブアカーオは魔裟斗との試合において、要所要所で前蹴りを使い、魔裟斗の動きを封じていました。


 意外と知られていないのが、ムエタイ選手の投げの上手さです。首相撲の態勢……ムエタイ選手はそこから相手をコントロールし、ヒジやヒザを叩き込みます。しかし、そこから投げることも可能です。言うまでもないことですが、下がアスファルトならば、投げは文字通りの必殺技です。ムエタイ選手の首相撲からのヒジ、ヒザ、投げは本当に必殺技と呼ぶのに不足のないものです。

 ちなみに……Kー1の創成期に活躍した佐竹雅昭選手はタイに渡り、ムエタイの修行に行きました。ところが……そこには六十キロから七十キロくらいの選手しか居らず、百キロを超える佐竹選手とまともに打撃勝負せず、首相撲に持ち込む選手がほとんどだったとか。「こっちのパンチが当たるとすぐに倒れるから、向こうはすぐ組みつきに来て練習にならなかった」とボヤいていたそうですが……考えてみれば、百キロを超える佐竹選手を相手に組み合い、そしてパンチを出させずコントロールする技術は凄いですよね。体格差をカバーできる技術……これはムエタイだからできることでしょうね。

 念のために言っておきますが、当時の佐竹選手は本当に強かったです。大きな体格から繰り出される豪快な技、日本人離れしたパワー、さらには勝利に対するえげつないまでの執念……賛否両論ある人でしたが、ヘビー級の日本人選手の第一人者だったのは間違いありません。しかし、その佐竹選手のパワーを首相撲で封じこめる……ムエタイ選手の強さがわかると思います。


 さらに付け加えると、首相撲の攻防は本当に奥の深いものです。説明するのは難しいですが……首相撲で組みあった時に肩を相手の顔面にぶち当て、隙を作って顔面にヒジといった技術もあります。首相撲は私ごときが語れるような甘いものではありません(だったら書くな、というツッコミはさておき)。


 そして、ムエタイ選手の強さの秘密……タイではムエタイが国技です。タイ人は十歳……いや、もっと幼い頃からムエタイに触れている人が大勢います。ラノベにありがちな、小さい頃から古武術を叩きこまれたという設定ですが……タイでは現実に、幼い時からムエタイを叩きこまれた若者が大勢います。ムエタイの一流選手は、そんな環境の中で戦い、そして勝ち抜いてきているのです。そのレベルは底知れません。


 蛇足になりますが……私は以前にタイから出稼ぎに来ていた若者と一緒の職場で働いていたことがあります。その若者はソン・パンという名で、以前はムエタイをやっていましたが、選手の道に早々に見切りを付け、日本に出稼ぎに来ていたそうです。私は興味を抱き、ちょいちょいジャレついていきましたが……彼は本当に強かったですね。私などは、完全に子供扱いでした。個人的に週一度、軽く(遊びみたいなものでしたが)教えてもらったりしていました。

 しかし、知り合って二月ほどした後に彼は警察に逮捕され、そして強制送還になってしまったそうです……何があったのかは知りません。恐らくオーバーステイではないかと思うのですが、詳しいことははっきりしませんでした。ただ、ムエタイというと、私はソン・パンさんのことを思い出します。彼は今頃、タイで元気にやってるのかな……と。






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