またしても筋肉です。
今時の若い奴は……などと言う親父には、ロクなのはいません。ただ、私にもやはりジェネレーションギャップを感じ、困惑する時はあります。
最近、まざまざとジェネレーションギャップを感じたのは……ダイエットのために運動はしている、でも筋肉を付けないよう、運動量を抑えているという若者(もちろん男です)の話を聞いた時でした。いや、本当に今の若者は筋肉が嫌いなんだな、と……若者の筋肉嫌いは加速がついている気がします。
ただ……はっきり言ってしまうと、ダイエットのための運動で筋肉を増やすのはかなり無理があります。さらに言うなら……ダイエットの過程で筋肉が付いたのなら、全く問題はないと思うのですが。女性でも、スタイル維持のために体幹の筋肉を鍛える人が多いというのに、筋肉を付けないよう、運動量をセーブする……これは完全に本末転倒なのですが。
さて、もしかしたら……これを読んでいる人の中にも、筋肉を付けないように運動量をセーブしている方がいるかもしれません。そんな方のために、今回は筋肉を付けるのがどれだけ大変か……一例として、私の経験をここに書かせていただきます。
私がウエイトトレーニングを始めたのは十八歳の時ですが、それからしばらくの間、個人的な理由から遠ざかっていました。そして再開したのが二十六歳の時です。それから今までは、中断することなく続けられていますね。
再開して、一年ほどした後のトレーニングメニューの一部を書きます。胸の筋肉だけですが――
◎ベンチプレス
二十セット
◎インクライン・ベンチプレス(角度の変化したベンチで行うベンチプレスです)
十セット
◎ダンベル・ベンチプレス(バーベルの代わりにダンベルを用いるベンチプレスです)
十セット
◎バタフライ・マシン(両腕を蝶の羽のようにヒラヒラさせるマシンです)
十セット
セットについてですが……まず、ベンチプレスでバーベルを十回持ち上げたとします。それから一〜二分休み、再びバーベルを挙げる……これで二セットこなした計算になります。
皆さんはこのセット数を見て、「多いな」と思われたのではないでしょうか。確かに多いです。それも、無意味な多さですね。ウエイトトレーニングは数をこなせばいいというものではありません。この当時は、数をこなすことで「ああ、今日も凄いトレーニングしたな」という自己満足に浸っていましたが……得られたものはほとんどありませんでした。
ウエイトトレーニングに限らず、どんなトレーニングでもそうですが、集中して行うことが大切です。いたずらにセット数を多くすると……後半はただ惰性でトレーニングすることとなります。はっきり言って時間の無駄でしたね。 その後、自分なりにいろいろ調べて改善したトレーニングメニューは――
◎ベンチプレス
六セット
◎インクライン・ベンチプレス
三セット
◎ダンベル・ベンチプレス
三セット
胸の筋肉のトレーニングはこれで終わりです。前と比べて三分の一以下の量ですが、質は良くなりましたね。背中や脚、腕といった部分も……ほぼ同じような感じでトレーニングしていましたね。格闘技をやる前は……暇だったこともあり週四日トレーニングしていました。火曜日に胸と腕、水曜日に背中、金曜日に脚と胸、土曜日に肩と腕……という感じでトレーニングしていましたね。
さらに、筋肉を付けようとしていた時期は……一日に卵十個、牛乳一リットル、ヨーグルト五百グラムを三度の食事とは別に二回に分けて食べ、それにプラスしてプロテインドリンクを一日三回(約九十グラム)飲んでいました。一日にたんぱく質を最低でも二百グラムは取ろうと心がけていたのです。
そんな生活を三年続けた結果……不健康な生活でガリガリに痩せていた体は九十キロになりました。まあ、この当時は脂肪の割合も高かったですが、筋肉もかなり増やせたものと自負しております。
どうでしょうか。筋肉を付けることの大変さが、多少とはいえ理解していただけたものと思います。ちなみに、コンテストを目指すボディービルダーのトレーニングや食事は……こんな甘いものではありません。私などとは比較にならないほど高い集中力と考え抜かれたトレーニングメニュー、そしてストイックな食事内容……どれをとっても、私のような者には真似できるものではありません。筋肉を嫌うのは結構ですが……その筋肉を付けるには、ダイエットで行うエクササイズなど比較にならないほどの厳しさが要求されることだけは、知っておいていただきたいものです。
ですから……運動の目的がダイエットであるなら、怪我をしない程度にガンガンやってください。有酸素運動を中心としたメニューなら、筋肉は大して付きませんし。
また、日本人の成人男性が筋肉を付けて体重を増やす場合(人によって例外はありますが)、だいたい身長から九十を引いた数字……それがギリギリの体重だそうです。百七十センチなら八十キロで体脂肪率は十五%前後、それ以上増やすと(筋肉で増やしたとしても)あまり良くないと聞きました。動きが悪くなったり、関節に悪影響があるそうです。もちろん、ボディービルダーには当てはまりませんが。また、体重により階級を分けている競技でしたら……この数字は明らかに多すぎなのは言うまでもありません。




