総合格闘技について
先日、あるVRRMMO作品を読んだ時のことです。その作品の主人公は総合格闘技の経験があるという設定でした。しかし読み進めていくうち「?」となるシーンが多々ありまして……そしてとどめとなったのが、なぜかガッチリとバックチョークを極めているのに、そこから首相撲に移行し膝を見舞い、そして首をひねって殺す、というコンビネーションが使われていたのです。私は読むのを止めました。
特定の作品を叩くのが目的ではないので、作品名は書きません(凄い人気作品なので、私ごときに叩かれても痛くも痒くもないでしょうが)し、内容についてはこれ以上触れません。しかし……このコンビネーションを見れば、少しでも総合格闘技の知識や経験のある方なら、私が何を言わんとしているのかは理解していただけるかと思います。まあ、しょせんフィクションですから悪いことではありませんが……書き手の方には、総合格闘技を登場させる以上、せめて書いている途中でその流れが不自然ではないだろうか? という疑問は感じて欲しかったですね。
そんなわけでして、今回は趣向を変えまして……総合格闘技について書かせていただきます。とは言え、技術的な部分について専門用語を多用し、だらだら書いても仕方ないので、普段ジムでどのような練習をしているのか、という点に絞って語ります。もしこれを読み、総合格闘技を始めてくれた方がいたのなら……それは私にとって望外の喜びですね。
私の通っているのは、都内にある和術慧舟會……に所属しているジムです。和術慧舟會などと言われても、知らない方にとっては何のことやらわからないと思いますので、そういった格闘技団体がある、という事実だけを知っていただければ……ちなみに厳めしい名前ではありますが、ライトウイングとか、そういったものとは関係ないと思います、多分。
次に、ジムの練習内容について説明します。基本的には、空手のような合同練習が主ですね。午後七時から始まり、午後十時に終わります。そして教わる内容は……月曜日、水曜日、金曜日、土曜日が打撃と組み技です。そして火曜日と木曜日が打撃のみとなっています。ちなみに格闘技をやったことのない人は……打撃から入った方がわかりやすいでしょうね。
そして具体的に、どういった練習をするのかといいますと……打撃はまず、ストレッチ、縄跳び、シャドー、ミット打ち……ここまでは他の章で書いたボクシングジムに関する部分と同じですが、さらにミット蹴りが加わります。ミット蹴りとは、六十センチから七十センチほどの盾のようなミットをトレーナーに構えてもらい、そこに蹴りを叩き込む練習です。蹴りの出し方やスタミナを付けたりするためのトレーニングですね。
そして、マス・スパーリングへと続き、最後にストレッチなどをして練習終了です。打撃練習は組み技に比べると、とっつきやすいのではないでしょうか。
これが組み技のクラスになると……少々厄介になります。まずはストレッチ、そして体をほぐすための軽い運動。ここまではいいのですが、その後は二人一組になっての技の練習をやります。ちなみに私は、中学生の体育の時間の二人一組がたまらなく嫌でした……関係ないですね、すみません。
技の練習ですが……まずは、トレーナーが実験台になる人を指名します。次に、トレーナーは実験台に対し、みんなの前でゆっくりと技をかけていきます。その後、みんなでトレーナーがしたように、二人一組で交互に技をかけ合っていくのです。が、これは正直言って慣れるのに時間かかるでしょうね……打撃と比べると、かなり難しいと思います。
技の練習が終わると、次はスパーリングです。組み技のスパーリングは打撃と違い、相手と触れ合い、押したり引いたりして技をかけていくので……独特の疲労感がありますね。
さらに、人によっては……オープンフィンガーグローブを着け、総合格闘技ルールのスパーリングをしたりします。とはいっても、私と他二、三人くらいしかやる人がいませんが。オープンフィンガーグローブで殴り合い、タックルあるいは組んでの投げで転がし、寝技で仕留める……まあ、寝技にいく前に馬乗りになって殴ったり、タックルを受け止めて殴りつけて間合いを離したり……と色んな攻防があります。打撃だけ、あるいは組み技だけのスパーリングの倍くらい疲れますね。
念のため言っておきますが、打撃のスパーリングにしろ総合格闘技のスパーリングにしろ、パンチは二割から三割程度の力で打ちます。特に、打撃のスパーリングの場合はマス・スパーリングが中心ですので、そうそう当たりません。ちなみにマス・スパーリングとは、寸止めのスパーリングのことでして、このスパーの時に本気でバチバチ殴ってくる人は、まずいません(ごくまれにいますが)。総合格闘技のスパーリングも同様です……ただ、私はちょいちょい鼻血出したりしてますが。
そして練習が終わるとトレーナーの結びの訓示があり、そして「ありがとうございました」という締めの言葉。最後に掃除をして終わります。恐らく、空手の道場なども似たようなシステムなのではないかと思いますし、他の総合格闘技のジムも、基本は合同練習なのではないでしょうか。
皆さんは総合格闘技をどう思っているのかはわかりません。取っつきやすい競技でないのは確かです。しかし、初めてみれば案外楽しかったりもします。もし今後、作品の中に総合格闘技を登場させようなどという物好きな方がいるのでしたら、ジムに入会してみるのもいいかもしれません。ジムには様々な人がいます……変な人もいますが、いい人もいます。疑問に思ったことは、質問すれば答えてくれますので。




