筋トレをしてみよう!
今回は、前々回の予告通り筋肉を大きくするためのトレーニングについて語ります。念のために言っておきますが、ここに書いたことはあくまで基礎であり、さらには私自身の経験によるものである、ということはお忘れなく。もっと詳しく知りたい方は……月刊アイアンマンとか、そういった雑誌を買って読んでみましょう。
まずは、筋肉が大きくなるメカニズムについて説明します。筋肉は普段の生活の負荷に合わせた大きさになります。ところが、普段の生活を大きく超えた負荷がかかると……筋肉は一度壊れた状態になるのです。そして、壊れた筋肉は休息と栄養補給により再生します。
この、トレーニングで筋肉を破壊→休息と栄養補給で再生、ということを繰り返すと、筋肉はその環境に適応しようとして、破壊されにくくなろうとするわけです。その結果として、筋肉は大きく強くなっていくわけですね。これが筋肉の発達するメカニズムなのです。
メカニズムが理解できたところで、次はいかにして効率よく筋肉を壊すか、ということについて書いていきたいのですが……ここで一つ注意点があります。ボディービルダーのトレーニングは激しいものですが、それは綿密な計算の裏打ちがあって初めて成立するものです。ただ闇雲に激しいトレーニングをすればいい……というものではありません。また、彼らは自分の体というものをよく知っています。どんな種類のトレーニングをどれだけすればいいのか……それをちゃんと把握し、自分に合ったやり方でトレーニングしています。しかし、これを読んでいる方の大半は……トレーニングの経験のない方ではないでしょうか。なので、初心者向けのものすごく大雑把で簡単なやり方を紹介していきます。
まず、トレーニングする日を決めましょう。初めのうちは一週間に三日、一日おきくらいで構いません。そして、トレーニングの時間は一日あたり約十五分程度です。短くねえか? と思った方もいるかも知れませんが、初心者のうちはこれで十分でしょう。
まず、開始の前にスマホのアラームか何かをセットしておき、十五分後に鳴るようにしておきましょう。初めは腕立て伏せです。十回くらいしかできなくても構いません。とにかく十回やりましょう。そしたら一分ほど休み、再び腕立て伏せです。今度は七回くらいしかできなくなっているかもしれませんが、一向に構いません。腕立て伏せ→一分休み→腕立て伏せ→一分休み……この繰り返しを十五分経過するまで続けるのです。
あと、腕立て伏せの注意点として……回数を稼ぐために反動をつけるのは絶対にやめましょう。単に腕立て伏せの回数を伸ばしたいのなら、反動をつけるのもありですが……筋肉を大きくし、筋力を強くしたいのならば、反動をつける腕立て伏せはやめるべきです。ゆっくり体を下ろし、そしてゆっくり上げていきましょう。むしろ十回程度しかできない方が、筋肉を発達させる上では効果的ですから。
さて、腕立て伏せをやった翌日ですが……トレーニングは休みます。休息もトレーニングのうちです。無理して毎日やっても何の意味もありません。翌日はひたすら、壊れた筋肉のための修復に充てましょう。
そして翌日、また同じトレーニングをします……筋肉を大きくしたいのならば、食べる量も増やしましょう。前にも書きましたが、卵や牛乳、鳥肉のような良質のたんぱく質を摂るといいようです。たまに「魚などを中心とした和食は健康的だ」という意見を聞きますが、こと筋肉に関する限り……魚中心の和食よりも、肉中心の洋食の方が圧倒的に優れています。肉食の欧米人の大きさを見れば……理解していただけることでしょう。
しかし、中には腕立て伏せだけでは物足りない、という方もいるかもしれませんね。そういう方には……懸垂とジャンピングスクワットを加えたメニューをおすすめします。例えば……一日目は腕立て伏せ、二日目はジャンピングスクワット(文字通り、ジャンプするスクワットです。腰の悪い方にはおすすめできません)、三日目に懸垂、四日目は休み……そして次の日からは一日目の腕立て伏せに戻る、こんなメニューです。基本的に腕立て伏せは胸と肩と腕(上腕三頭筋)の筋肉を鍛えますが、懸垂は背中の筋肉を鍛えます。正直、腕立て伏せより懸垂の方が大切ではないかと思いますが……ただ、筋力のない人には懸垂は辛いかもしれませんね。あと懸垂をやる時も、反動は使わないでください。
そして、自宅でのトレーニングが物足りなくなったら……トレーニングジムに行き、ちゃんとしたウエイトトレーニングをやってみましょう。ジムはだいたい九時開店の二十三時閉店という所が多いです。費用は……場所によってまちまちでしょうが、入会金が一〜二万で月謝が一万くらいかと。もちろん、高級な所は恐ろしい額ですが……。
もっとも、大概の地区には市民体育館のような施設があるのではないでしょうか。そういった場所には、大抵の場合トレーニングルームも併設されているものと思われます。そういう所なら、一回五百円程度を支払うだけで使用できるのではないかと。
蛇足ではありますが、ウエイトトレーニングにおいて、反動を使い重いバーベルを挙げることをチーティングといいます。このチーティングとは……なろうにおいてよく見られる単語であるチートから来ています。チートには、ズルをするという意味もあるらしいですね。反動を使い重いバーベルを挙げるのはズルをしている、という認識なわけです。
チーティングを用いて挙げたバーベルは、結局のところ本人の実力ではありません。しかし、チーティングで重いバーベルを挙げて得意そうな顔をしている方は、どこのジムにも一人はいます。自分はこんなに重いバーベルを挙げられるんだぞ、という……どうも、自慢したり虚栄心を満足させないと気が済まないタイプの人間はどこにでもいるようですね。




