向き不向きだって！

　前にも書きましたが、私は総合格闘技を始めて、今年で五年になりました。しかし最近になって、つくづく思うことがあります。

　本当に人には向き不向きがあるな、と。

　当たり前だろ、と言われるかもしれません。しかし、総合格闘技（以下、総合と略します）をやっていると、理屈ではなく体で、肌身で感じるのです。自分でも驚くくらい簡単に身につけられる技があるかと思うと、何度やっても上手くできない技があったりするのです。

　例えば、パンチ一つとってみても、私はアッパーカットが下手くそです。まあ使えません。右利きですが、なぜか右フックも下手です。パンチで試合でもまともに使えるな、と思うのはジャブ、ストレート、左フックぐらいですかね。

　蹴りになるともっとひどく、試合で使えるのは左のインロー、右のロー、あとは前蹴りくらいですか。ミドル、ハイは出せません。パンチを合わされそうで怖くて……一応、空手経験者なはずなのですが……。

　とにかく、打撃は「最低限の攻防が一応できる」程度です。いずれアメージングバウトというアマチュア・キックボクシングの試合に出てみようかな、とは思っていますが、勝てる気はしないですね……。

　一方、組み技の方は少し得意です。ほぼ同じ時間練習しているはずなのに、寝技は上達が早かった気がします。だから、今はもう完全にグラップラーですね。アマのグラップリングの試合なら、そこそこ闘える自信はあります。

　しかし、この寝技というヤツがまた一筋縄ではいかないのです。技の数はというと……数えたことはありませんが、サンボ（ロシアの組み技系の格闘技）には千の技があるとか。実際のところ正確な数は分かりませんが、ここでは便宜上、千としておきましょう。

　千の技をすべて使える人……は、まずいないと思います。いても、実際に試合で使う技は……多くて四か五ではないかと。

　私は……試合で出せる技はせいぜい三つですね。フロントチョーク、アームロック、アキレス腱固め……くらいですか。　ただ、この三つを使えれば、試合をやる上で何の問題もありません。この三つだけを徹底的に強化すれば、試合で勝つことも可能です。

　逆に最もポピュラーと言われ、総合の試合でもよく見られる『腕ひしぎ十字固め』（以下、腕十字と略します）はできません。いや、できるのですが、スパーリングや試合では使えません。練習はしましたが、どうもこの腕十字という技がしっくりこないのです。何と言うか……例えて言うと、ピタゴラ〇イッチで途中の装置が上手く働かず、玉が止まってしまう感じですか。動きの流れが途中で止まるような感覚があるんですよね。

　周りからは、使えるようにした方がいい、とは言われるのですが……合わないのです。最近では、合わない技を無理して使うくらいなら、いっそ捨ててしまおう、と思うようになりました。今では、腕十字を使わないスタイルで闘うべく、研究中ですが、むしろその方が、しっくりきているのを感じます。

　話は変わりますが、皆さんはどういった分野のストーリーを読むのが好きですか？　

　ファンタジー、ＳＦ、学園、恋愛……いろいろありますが、私は……恋愛ものはダメですね。読むのはいいとして、書くことはできません。だから、ハーレムなんて、まず書ける気がしません。書きたいんですけど。

　まあ、私の他の作品を見ていただけるとわかるように、血なまぐさいものが一番書きやすいです。いや、あんなのしか書けません。何を書いていても、途中から必ず、筋肉だの格闘技だのギャングだのが登場します。

　皆さんはどうでしょうか？　まあ私などに言われるまでもなく、自分の得意分野、そして自分のスタイルみたいなものは既に発見されているでしょう。時には変化が必要なこともあります。周りから、変えた方がいいと言われることもあるでしょう。でも、核になる部分だけはとことん貫き通した方がいいのでは、と私は思います（偉そうですみません）。

　とあるバイク漫画で、こんなシーンがありました。自らのスタイルに悩み、レースへの意欲すら失せてしまった主人公の前に事故死したはずの親友（でありライバルでもあった男。幻です）が現れ、こんなことを言ったのです。

「前を走る奴を、片っ端からブチ抜いて走り続けるんや……闘争心をムキ出しにして走れ……そういう走りしか、おんどれにはできんのやろ？　だったら、トコトンそいつを貫くしかないやんか……それがおんどれの……走りの哲学や……」

　皆さんの「創作の哲学」は何ですか？