変だって!
皆さんは、『リトルバスターズ』というアニメをご存知でしょうか? 内容については、私などが語るのは野暮な話ですし、嫌いだという人もいるかもしれません。ちなみに私は好きです。原作はゲームなのですが、そちらも買って全ルートクリアしました。リアルな知り合いには、誰にも打ち明けていませんが。そういえば、二次創作の作品もこちらに投稿されていましたね。
なぜ私がこのアニメを見るようになったかと言いますと……。
ある日、私は仕事から帰って来て、テレビを点けました。すると、いかにも女の子がいっぱい出てる、ハーレムアニメっぽい、可愛らしい絵が……。
私は別の番組に変えようとしました。が、その瞬間――
「炭水化物は筋肉に必要なの!」
「なにい!」
という、衝撃的なやりとりが聞こえたのです!
なんだと……
今、何て言った!
筋肉を成長させる上で、欠かせないのはタンパク質だが……
しかし、同時に炭水化物も必要だ!
炭水化物をとらずに筋トレをすると、栄養は全てエネルギーに回り、結果として筋肉は成長しないままなのだ。
したがって、タンパク質と炭水化物が筋肉の成長には欠かせない!
それをわかっているとは……
このキャラ、ただ者じゃねえ!
画面をよくよく見れば、『餓〇伝説』のジョー東が学ランを着たようなキャラがいたのです。
その後、その学ランはハエを正拳で叩き落とし、剣道着を着たワケわからん男と、石鹸を片手に乱闘を始めました。
そして私は、途方にくれました。
しかし考えてみれば不思議な話です。もし、この学ランの発言のタイミングが少しでもズレていたら、私はチャンネルを変えていたことでしょう。人間の好き嫌いというのは、案外、こういった偶然に左右されているかもしれませんね。
後に知ったのですが、この学ランは井ノ原真人という名の筋肉バカでした。彼の名言の一部をここに挙げると……。
「バカって言うな! 筋肉って言え!」
「少し筋肉やるから」
「おのれ! 筋肉のサビにしてくれる!」
これ以上続けると、なんかアニメ制作会社の回し者だと思われるかもしれないのでやめます。
しかし、皆さん! このキャラはギャグ用にデフォルメされていると思っていませんか?
甘いです。現実にこんな筋肉バカはうようよ……言い過ぎました。探せば、そこそこいます。前に書いた、常識というネジを吹っ飛ばし、本能のままに生きている人はいます。
例えば……。
◎会社で十時にプロテインドリンク、十二時に鳥のささみと卵の白身とブロッコリーと玄米もしくは黒パンの弁当(筋肉付けるのにいいらしいです)、三時にプロテインドリンク。全て人前で堂々と。
◎学校の休み時間は毎回、体育館もしくは屋上で筋トレばかりしている。
◎それだけではあきたらず、授業中に『となりの〇くん』のように、ハンドグリップなどで筋トレ。
◎会社にトレーニングウエア、グローブ、レガース(すね当てのことです)、マウスピース、特製ドリンク入りペットボトル等々……の入ったスポーツバッグを持ち込み、仕事が終わったら道場・ジムに直行。
◎夜中に、公園の鉄棒で懸垂。
◎ボディビル雑誌を本屋で何のためらいもなくレジに持っていける。
◎気がつくと、鏡の前でファイティングポーズをとっている。
◎通行人が歩いている昇り坂をダッシュ! 歩道橋で階段ダッシュ!
◎フライパンを見ると、とりあえず丸められるか挑戦(そういう競技があるのです)。リンゴを見ると、握り潰せるか挑戦。
◎仕事中に新しいコンビネーションブローを思いつき、思わずシャドー。上司に叱られる。
などなど。
こんな人たち、周りにいますか? まずいないでしょう。しかし格闘技やってる人たちには、確実に「あ〜いるいる。ウチの道場なら、〇〇さんだ」と言ってもらえます。
まあ、正直言いますと、このくらいな人はまだいいです。もっと凄い人たちもいます。はっきり言ってしまうと、社会不適合者と紙一重な人が……。
しかし、その人たちは愉快なエピソードばかりでなく、結構シャレにならんエピソードもあるので、とりあえず避けます。
どうですか、皆さん? 格闘技を始めると、確実にこんな愉快な変人に会えます。小説のネタがない、思いつかないとお嘆きのあなた……格闘技、始めませんか?




