セコンドについて
ご存知の方も多いと思いますが、アマチュアの試合に出場するには事前の手続きが必要です。出たいからといって一人でのこのこ試合会場に行ったところで、おっかない主催者(この前は、PRIDEなどで活躍した長南さんがアマチュア大会を主催してました)の方や、元プロのレフェリーの方(やはりPRIDEなどで活躍した小路さんがレフェリーを務めていたことも)に追い返されるのがオチでしょう。昭和の格闘技マンガには、そんな展開のものもあったらしいですが……正式なジムや道場に所属していないのにトーナメントの試合に乱入し、圧倒的な強さで優勝する……まあ、平成の今だったら考えられないストーリーでしょうが、昔はこんなのがあったらしいんですよ。
さて、試合に出場するにあたり、欠かせないものの一つとしてセコンドがあります。私もセコンド……というほどのものではありませんが、試合に出る選手と共に会場まで行き、パン買いに行ったり水買いに行ったりしたことがあります、『ルーキーズ』の御子柴くんみたいに……って、ただの使いっ走りでしたね、これでは。それはともかくとして、ほとんどの格闘技では、試合に出場するにはセコンドらしき者が最低でも一人は付いていないといけない、ということになっているものと思います。もっとも、世の中は広く、常識が通じない世界もあります。価値観の多様化した現代社会においては、もしかしたらセコンドがいなくても出られるような格闘技あるいは流派があるのかもしれません。もしそういった情報を知っている方がいたら、教えてください。
ところでセコンドというと、皆さんはどんなことを連想するのでしょうか? 私は格闘技を始める前は……漠然と『あしたのジョー』の丹下段平みたいなのを想像してました。リングの下で「立て! 立つんだジョー!」と叫んでるようなものを想像してました(実際には、あまり叫んでませんが)。と、ここまで書いてふと思ったのですが、若い方は『あしたのジョー』なんて知らないですよね。丹下段平とは……スキンヘッドで眼帯で傷だらけのおっさんです。詳しいことを知りたい方はアニメ『あしたのジョー2』を観てみるといいと思います……というよりオススメです。故・出崎統の作り上げたこの名作、ぜひ観てください。
話がズレましたが、セコンドは選手の身の周りのことを手伝ったり、試合中にアドバイスをしたりします。タオルを投げ敗北宣言をしたりするのも、セコンドの重要な役割です。選手にとって、セコンドの存在は大きいですね。
しかも、セコンドを務めるとなると、一日のほとんどを選手のために費やすこととなります。選手にとってはセコンド様々……なのですが、辛い状況もありますね。
たとえば、遠い場所で行われる試合の場合……選手はセコンドと二人きりで試合会場まで行くことがあります。会場に行くまでの道中……当然、選手はピリピリしています。話しかけ難いです。そんな選手と二人きり、重苦しい雰囲気で、現地に向かうわけなのですよ。
そして勝てればいいのですが……負けた場合、帰りはさらに重苦しい空気に包まれています。高地をさ迷っているかのような、異常な空気の薄さなんですよ。そんな状況で数時間、顔を付き合わせていなければならないセコンドの方は……本当に大変です。
ところで、映画『ロッキー4』を観た方は、セコンドに付いていたロッキーが、圧倒的に不利な状況にあったアポロにタオルを投げず、アポロが死んでしまった場面を覚えていることでしょう。あの展開は映画としては正解ですが、セコンドとしては……すみません、これは野暮でしたね。ただ、タオルを投げるタイミングが早いということで、選手とセコンドが揉めたりすることもあるそうです。逆に、闘っている選手の気持ちを考えるとギリギリまでタオルを投げたくない、という思いもありますし……とにかく、セコンドは難しく大変です。なので、今後テレビなどで格闘技の試合を観る時には、セコンドのことも暖かい目で見てあげてください……わけわからん結論ですみません。




