練習だって!
今回は、格闘技のジムでどんな練習をしているか、ということを書いてみようと思います。正直、どこのジムも練習内容はそんなに差はないと思いますが……ただし、これが道場になるとだいぶ変わってきますのであしからず。とんでもない練習をしている道場もあるらしいので、くれぐれも事前の見学は忘れないでくださいね。なお、今回はボクシングジムあるいはキックボクシングのジムに入門した場合の話です。ブラジリアン柔術や総合格闘技のジムになると、また違いますので。
ジムに入ると、まずは着替えます。言うまでもないことですね。スーツ姿、あるいは学生服では練習はできません。
と思ったのですが、一つ重要なことを書き忘れていました。
それは挨拶です。
道場・ジム問わず、入る時の挨拶はきちんとしましょう。しないと、トレーナーや代表に叱られたりする場合があります。
まあ、挨拶は最低限の礼儀ですし、するのが当然ですね。挨拶のできない若者を注意するという点に関しては、私は何も言う気はありません。良いことだと思います。たまに注意の仕方が、度が過ぎている道場もありますが……見ているこっちが顔をしかめたくなるような、常軌を逸した言葉を発する指導者もいます。たかが挨拶とナメてると、大ケガします(心が)。
さて、トレーニングウエアに着替えました(場合によっては、拳にバンテージを巻いたりします)。そうしたら、次はストレッチです。専用のスペース(ない場合があります)でストレッチしましょう。だいたい十分から二十分くらいでいいかと。
そして次は、ウォームアップの縄跳び……ではないかと思いますが、ジムによっては、縄跳び以外の何かをさせるかもしれません。縄跳びは三分×二ラウンドくらいですか。入ったばかりの人は一ラウンドかもしれません。ちなみに私は縄跳びはやりません。理由は……正直に言うと、面倒くさいからです。
縄跳びが終わると、次はシャドートレーニングをやります。シャドートレーニングとは、相手を想定して一人で闘う練習です。まあ知ってるとは思いますが。学校や職場などにいませんか?「オレはボクシングをやってるんだぜ」というアピールなのか何なのか、休み時間などに一人でボクシングをやっている人が……あれがシャドーです。入ったばかりの人は、ボクシングの左ジャブ、右ストレート、そしてワンツー(ジャブ→ストレートのことをワンツーと言います)を教わるので、鏡の前でひたすら、その習った技を練習することになると思います。
このあたりから、ジムによって違いが出てきます。かつては、入りたての者にはひたすらシャドーのみをやらせたジムもありましたが、最近は……まずないと思います。そんな地味な練習ばかりやらせていては、会員が寄り付かないからです。
シャドーを三ラウンドほどやってから、ミット打ちをやるジムもあります。ミット打ちとは、トレーナーが両手にミットを構え、前に立ちます。そしてジャブなりストレートなり、指示されたパンチをミットに打ちます。が、これははっきり言って疲れます。なので、入りたての人にはやらせないかもしれません。
ミット打ちではなく、サンドバッグ打ちを指示されるかもしれません。サンドバッグ打ちは簡単です。ただ、サンドバッグを叩けばいいのです。これは自分のペースでやれるので、ミット打ちほどは疲れません。しかも、サンドバッグを叩くのは、けっこう楽しいものです。ただ注意してほしいのは、サンドバッグの数と、その時に来ている会員の人数です。たまにずっとサンドバッグを占領している人がいますが、はっきり言って他の人の迷惑になります。周りを見て、人数が多い場合はいつもより早く切り上げる、などの配慮をしましょう。サンドバッグの数には限りがあります。叩きたい気持ちは、他の人も同じです。
たいがいのジムだと、ここまででキツイ練習は終わると思います。入りたての人にスパーリングはさせないので。最後にクールダウンを兼ねた軽い運動(縄跳び一ラウンドもしくはシャドー)、その後ストレッチで終了です。あとはシャワーを浴び、着替えて帰りましょう。あ、帰る時の挨拶も忘れないでください。
これで終わりです。簡単ですね。今時のジムには、竹刀を振り回す会長はまずいません(いたらごめんなさい)。亀〇兄弟とその父親みたいなのも、たぶんいないと思います。まあ、いても大した害はないのではないか、と。
不思議なもので、ウエイトトレーニングやランニングなどでかく汗と、サンドバッグやミットを叩いてかく汗は違う気がします。爽快感というか……うまく言えませんが。やはり、どこか原始的な本能に根差した何かがあるのかもしれませんね。特に男の場合、他の男と戦って食べ物を獲得していたり、女の前で他の男と殴りあい、強さをアピールしていた時代……そんな原始時代の本能が呼び覚まされるのかもしれません。
もしわからない言葉などあれば質問を。ちなみにこの連載に出てくる『柔術』とは、基本的にブラジリアン柔術のことです。それ以外の柔術について語る場合は、何らかの形で区別した言葉を使います。




