絞め技からの、ごく初歩的な逃げ方
前回は、絞め技のかけ方について語りました。そこで今回は、バックチョークからの逃げ方について語ります。なお、これはあくまで私が教わりスパーリングや試合で実行してきた逃げ方です。もっといいやり方があるかもしれませんが、一応は参考程度に頭の片隅に留めておいてください。
護身術などでは、背後から襲われた時の対処法として「後頭部での頭突きを顔面に当てる」「後方に肘打ちをする」「相手の足の甲を思い切り踏みつける」というものがあります。皆さんも、映画やドラマのアクションシーンなどで一度は見たことがあるのではないでしょうか。
ただ、これが使えるか……と問われたら、私は「わかりません」としか言いようがありません。まず、私はこういった技を実際に使ったことがないのですよね。そのため「実際に使ったことがないのでわかりません」としか言えないのですよ。
ましてや、背後から近づいてきた相手が、いきなりバックチョークをかけてきた……そんな状況下で、上にあげたような技が使えるとは思えないのですよね。
ただ再三言いますが、使えるかどうか断言はできません。そういうのは、護身術や合気道の先生に聞いてください。
さて、本題に入ります、
後ろから、バックチョークを仕掛けようと、首に手を回されたとしましょう、
ます、ひとつ言っておかねばならないのは……完璧な形で技が入ったら、熊なみの怪力の持ち主でない限り脱出は不可能だということです。これは、前回にも説明した通りです。
なので「首に腕が巻き付いてきた」と思った瞬間に、パッと動かなくてはなりません。最初にやることは、まず顎を引くことです。顎を引いて腕と首の間にねじ込み、腕を首に巻きつけさせない……これは、とても重要です。上手くいけば、これだけで防げます。
顎を引くのが間に合わず、腕が首に巻きついてしまったとします。しかし、慌ててはいけません。ここでやるべきことは、相手の腕をこちらの両腕で押さえることです。
ここでやりがちな間違いが、巻きついた腕を力ずくで外そうとすることです。これは、余程の腕力の差がない限りは外れません。それよりも、相手の巻きついていない方の腕を押さえてください。これが大事なポイントです。
前回「絞め技の理想は紐で首を絞めること」と書きましたが、ここでも紐で首を絞める動作に例えましょう。バックチョークにおいて、巻きついてきた腕は紐です。で、もう片方の腕は「紐で絞める手」の役割を果たします。
仮に、首に紐が巻きついてきたとしましょう。しかし、相手の手が紐から離れていれば、巻きついてきた紐は何の脅威にもならないですよね。ただ、首に引っかかっているだけです。
ですので、相手の腕をこちらの両腕で押さえつつ、同時に首と腕の間に顎の先端をねじ込み、どうにか脱出していく……これが、私の習った初歩的な逃げ方です。
ただし、注意することがあります。文章を見れば、簡単にできそうに見えるかもしれません。しかし、実際にやるとなると難しいです。何せ、相手は背後にいて、向こうの腕の位置は見えないわけですからね。しかも、こちらが腕を取ろうとすれば相手も取らせまいと動きます。
見えない状態で、相手の腕をつかまえようとする……これは、ある程度の慣れが必要ですね。では、どうやって慣れるかといいますと、やはりスパーリングですね。スパーリングを重ねれば、こうした状況にも自然と対応できるようになります。




