マススパーとライトスパーとガチスパー
格闘技には、スパーリングという練習方法があります。試合のような形で技を自由に出し合い、攻撃と防御を学ぶのです。
これは、ジムによって異なるかもしれませんが……私の通うジムでは、打撃はマス・スパーリングとライト・スパーリングが中心です。どちらも、十六オンスの大きなクローブをはめて、脛にはレガースという防具を装着します。でないと、スパーリングはさせられません。
マススパーは、基本的に寸止め&寸当てです。特に顔面へのパンチは当たらないギリギリのところで止めます。当たる寸前で止める、いわゆる寸止めですね。
腹や足への攻撃は、だいたい寸当てでしょうか。腹にパンチしたり、足にローキックを当てたりするわけですが……ローキックやミドルキックで寸止めを意識しすぎると、人によっては遅い蹴りになってしまうんですよね。したがって、ペチンくらいの軽い蹴りなら当てて構わないことになっています。
また、ハイキックならびに後ろ回し蹴りやバックブローといった回転系の技は基本的に禁止となっております。これらの技は、いったん出したら寸止めしにくく、ケガになりやすいからです。ただ、これもやってる人間によりますね。
ライトスパーは、軽くなら当てても構わないということになっております。まあ、これもやっている人の技量によりますね。相手にもよります、
私の場合、ライトスパーでも中段と下段は本気で打ってもらっております。でないと、練習にならないからです。また、そちらの方が楽しいですね。他の会員さんからは「赤井さん、ドMだから」などと言われておりますが……。
これがガチスパーになりますと、ヘッドギアまで装着し本気で打ち合います。ただ、これは非常に危険ですね。限られた者のみで行うことになっています。頭部への打撃でダウンしたら、その場でストップさせスパーは終了となりますね。まあ、これもケースバイケースです。
組技のスパーの場合、基本的にヒールホールドは禁止てす。初心者が下手にヒールホールドをかけたりすると、止め時がわからず相手のヒザを壊してしまう可能性が高いからです。それだけ危険な技なんですよ。「ヒールホールドくらい、みんなやってますよ」などと、お気楽に書ける技ではありません。
また、立った状態からの組技スパーやレスリングスパーは、参加している人が多い時や、スパーしているふたりの体格差がありすぎる時などは禁止となります。ただ、これもケースバイケースですね。
あと、組技スパーの前には必ず両手両足の爪を切ることとなっております。爪が伸びた状態で掴み合うと、非常に危険です。相手に流血させることほもちろん、こちらの爪が剥がれることもあります。
これらの決めを守らない場合、当然ながらインストラクターから注意を受けます。それでも守らない場合、会長から直々に注意されます。あまりに悪質だと、退会処分となります。これは、どこのジムでもそうだと思います。
最後に、昔ジムに外国人が来ていました。金髪白人の若いイケメンで、日本語もそこそこ使えており人当たりも悪くありませんでした。
ところが、この青年はヤバい性格をしていたのです。打撃スパーの際、止めにくい回転系の技をばんばん出していたとか。それだけでなく、金的を狙った蹴りや関節蹴りも出していたというのです。
一応、説明します。金的蹴りとは、相手の股間を狙う蹴りです。男性の股間は急所ですから、当たれば悶絶してしまいます。下手すれば、潰れます。
ただ、この金的蹴りは腹への前蹴りやインロー(太もも内側を狙う蹴り)と、見極めがつきづらいです。特に、インローを蹴ったら金的に入ってしまった……というケースはありがちですね。ただ、この青年は明らかに金的を狙っている素振りがあったようです。
関節蹴りは、膝関節を正面から蹴る技です。綺麗に入れば、一発で膝が砕けてしまいます。これまた危険な技ですね。
言うまでもなく、このふたつはジムでは禁止されております。にもかかわらず、件の青年ほ使ってきました。インストラクターに何度か注意されましたが、それでもやめません。挙げ句、退会処分となりました。
皆さんに知っておいていただきたいのですが、こういう人もいます。なので、初めのうちはスパーに参加せず情報収集に務めた方がいいかもしれません。




