打撃系の誤解と、組み技の強さ
最近知ったのですが、ある方が「俺は学生時代にキックボクシングやってたから喧嘩は怖くない。絶対に死なない殴られ方も知っている」と言ったそうです。
その方が本当にこんな発言をしたかは不明ですが、正直言って私にはわからないですね、いろんな意味で。
まず殴られて死ぬケースで圧倒的に多いのは、殴られた弾みでバランスを崩して倒れ、地面や壁などに後頭部を打ちつけた時です。あとは、腹を殴られ内臓が破裂し、ショック症状を起こして死亡……でしょうか。こういうケースを、キックボクシングをかじった程度の実力で絶対に防ぐというのは、ちょっと無理があるのではないかな、と思うのですが……正直、私にはわかリません。
ただ、この発言から思うことはあります。前回にも触れましたが、やはり打撃系は一般の人から怖く見られているのですね。
これまで、ネットで様々な意見を見てきましたが……格闘技の経験がない人は、基礎体力というものを甘く見ている気がしますね。
基本的に、格闘技の経験がないけど喧嘩が強い……という人は、生まれつき身体能力が高い人が多いですね。いわゆる「ガタイ」の良さは闘いにおいて重要です……というのは、これまで何度も書いてきました。
実際の話、デカい奴が突進してきた場合、少々の打撃では止められません。それどころか、拳銃で撃っても止められないケースがあるそうです。実際、こんな事件もあります。アメリカにて学校内で銃を乱射していた男に、アメフト経験者の教師が立ち向かって行きました。教師は、銃で何発か撃たれたにもかかわらずタックルで男を倒し抑え込んだそうです。その教師、命に別状はなかったとか。
こうした実例を見ると、基礎体力というのは凄く大事だなと思います。ただ、勘違いされては困るのですが……私は何も「ウエイトトレーニングだけしてムキムキマッチョになれば最強」と主張しているわけではありません。ボディビルやフィジークのような筋肉を見せるための競技のトレーニングと、格闘技のトレーニングは全く別のものです。いくら筋肉を盛り上げても、動けなければ意味がないですね。筋力に加え、瞬発力や持久力といった要素も必要です。
柔道やレスリングといった競技を長く続けている人は、一般人と比べると基礎体力が全然違いますね。筋力はもちろんのこと、瞬発力や持久力も全然違います。幼い時から柔道やレスリングで鍛え続けてきた人というのは、桁が違いますね。
また、柔道やレスリングといった組み技は、人間と組んで押し合い引き合いといった練習をするわけです。その練習の中で、自然と力が強くなっていきます。これは「ベンチプレスで何キロ挙げる」とは、また違った質の力です。ポディビルやフィジークのような「見せるための体」とは違った質の筋肉を鍛えられるわけです。事実、ボディビル的トレーニングでムキムキになっている人が組み技の練習をやったりすると、翌日は変な部分が筋肉痛になった……というケースが珍しくないそうです。
話を戻しまして、柔道やレスリングなどをやってきた人たちには「学生時代にキックボクシングやってた」程度の強さなど通じません。そもそも「絶対に死なない殴られ方」などと言っている時点で、実際の戦いがわかっていないと言っているも同然ですね。ひょっとしたら「俺はキックボクシングやっていたから強いよ。だから町で俺に会っても絡まない方がいいよ」というハッタリ気味のメッセージなのかもしれません。
読解力のない人に誤解されると困るので書いておきますが、私は何も「キックボクシングは弱い」と言っているわけではありません。かつてプロのキックボクサーだった人とジムでスパーリングし、三分間で五回ダウンさせられたことがあります。キックボクシングの強さは、身に染みて知っているつもりです。
ただし、キックボクシングを少しばかり経験したくらいで「喧嘩は怖くない」などと言われると困りますね。喧嘩は、いろんな意味で怖いものです。とある映画に「刺せば監獄、刺されば地獄」というセリフが出てきますが、喧嘩も似たようなものです。これまで何度も言っていますが、避けられるなら避けるにこしたことはありません。




