今は優しくなりました
先日、とある人と話した時のことです。その人も昭和生まれでして、私より上の世代の方です。
その方は、中学生か高校生の時に極真空手を習いたくて本部道場に電話しました。すると、こんなことを言われたとか。
「君は強くなりたいのか!」
電話口でいきなり[強くなりたいのか!]と言われたら、何といえばいいかわからないですよね。その方も「あ、あの、すみません」と言って電話を切ってしまったそうです。
実のところ、昔はこういうジムや道場が少なくなかったそうです。入門希望の見学者の前で、血を見るようなスパーリングをやる。または、指導者が練習生をボコボコにする。ひどいところになると、まだ入門していない見学者に向かい「君は声が小さい! もっと大きな声を出せ!」などと怒鳴りつけるところもあったそうです。
また当然ながら、当時の指導者は練習生に向かい敬語など使いません。ほとんど命令口調です。中には、高校生くらいの指導員が中年のおじさんに向かい「ちゃんとやれよ」みたいに言うケースもあったそうです。
時代は令和となり、格闘技のジムも変わりました。今では、こんなことを言うような指導員はいません。
今のジムの指導員は、ほとんどが敬語を使います。まあ、さすがに小学生を相手に敬語を使う人は少ないとは思いますが、少なくとも昔のように命令口調で接することはないでしょう。
また、教え方もソフトなものになっています。昔みたいに「こうやるんだよ! 俺ちゃんと教えただろうが!」のような居丈高な口調での指導は有りません。
しかも、最近では会員を褒めるようになっております。パンチの打ち方を指導しつつ「いやあ、上手いですね。何かスポーツされてたんですか?」「パンチ強いですよ。センス感じます」などと声をかけてくれます。人間はなんのかんの言っても、けなされるよりは褒められる方が嬉しいですよね。
また今の格闘技ジムは、会員の体調を気遣ってくれます。「疲れたなら、休んでいいですよ」「足痛いですか? なら、今日は蹴りはやめましょう」といった言葉をかけてくれます。間違っても昭和の時代のように「お前、やる気あんのか! 気合い入れろ!」などと言ったりはしません。ちなみに私は、ジムにいる会員さんにキックミットを持ってもらい蹴りこみをしていた時「ナイスですねえ~!」と村西監督のごとき声をかけられ笑ってしまいました。こんな風に、和気あいあいというムードでやってます。
ツイッターを見ていると「俺は凄い」「私は賢い」というようなツイートを延々と書き続けてる人がたまに目につきます。自己顕示欲というか自己承認欲求というか、そういうものが溢れ出ている感じなんですよ。
こういう人こそ、格闘技やってみればいいと思うんですよね。ジムに行けば、指導員が褒めてくれます。自己承認欲求が満たされるかはわかりませんが、少なくとも良い気分にはなれます。そう、今の格闘技ジムは会員に対し、良い気分て過ごしてもらおう……という意図が感じられますね。昔のように「俺たちの言う通りにしていれば強くなれる。だから、黙って俺の言うことに従え」という雰囲気はないですね。プロ志望ともなると話は別ですが、一般会員に対してはソフトな感じで接してくれます。怖い、というイメージは捨ててもらった方がよいかと思われますね。
ただ、昔ながらの指導法を貫いているジムや道場もあるかもしれません。なので、事前に情報を集めた方がいいでしょうね。




