筋トレは金持ちの趣味ですか?
先日、面白いツイートを見かけました。とある作家さんが呟き主でして、要約すると次の通りです。
〇健康的な生活が出来る人は恵まれてることを知らないチシキジンは意外と多い。高タンパクローカロリーの食事は金かかる。
〇ジョギングたかホットヨガだかウォーキングだか知らんが、そんなものに割ける時間も体力も貧乏人にはない。
〇シックスパックに割れた腹筋? よごさんすね。そんなものに割ける時間があってよかったですね。だからあんまり貧乏人をいじめるな。
一応、この方のプロフィールを見てみたのですが……とりあえず、本を十冊以上は出版しており、現在も連載を抱えているようです。また、フォロワー数などから判断するに、かなり有名な方のようです。
そんな方が、なぜ貧乏人の代表としてフィットネス業界に物申しているのかはわかりませんが……要は「シックスパックの腹筋を自慢してるような奴らは金持ちなんだよ。金持ちで暇があるから、あんな体を作れるんだ。だから俺は、シックスパックの腹筋を自慢する奴らが嫌いだ」と主張しているのでしょうね。
正直言うなら、私もシックスパックの腹筋を見せびらかすような人は好きではありません。よく「見せるための筋肉」といいますが、シックスパックの腹筋こそはまさにその象徴でしょうね。はっきり言って、六つに割れた腹筋には特に意味はありません。別にアスリートとして優れているとか、強い力を発揮できるとか、そういうことはないのです。
とはいえ、筋トレが金持ちの道楽のような短絡的な言い方をされると、さすがに不快にはなりますね。不幸マウントのようで嫌ですが、本を十冊以上出している上、ツイッターで昼間からガンガン呟いている人よりは、私の方が金も暇もないでしょう。また、金のない人間の暮らしぶりにも詳しいつもりです。
私は、タンパク質は主に納豆と豆腐と卵から摂取しております。理由は安いからです。鶏のささみみたいなものは、最近は値上がりしたので食べていません。
もうひとつ付け加えると、基本的に外での食事は自宅で作った弁当です。また、自販機のジュースはここ十年以上買ってません……などと貧乏生活を書き連ねていくと悲しくなるので、ここまでにします。
プロテインも飲みますが、もっぱら五キロで一万円を少し超えるくらいのものを買い、一ヶ月一キロくらいのペースで飲み切っています。実のところ、プロテインでタンパク質を取るのが一番安上がりなんですよね。ただ、こちらも最近は値上がりが凄いです……正直、困っておりますよ。
トレーニングについては……筋トレは、通っている格闘技ジムに備え付けのバーベルやダンベルを用いています。一応、ベンチプレスやスクワットなどは出来ます。
時間がなくジムに行けない時などは、もっぱら公園です。仕事が遅くなり、午後十一時に最寄り駅に到着する時があるんですよね。で、自宅に帰る途中にある公園の鉄棒で、懸垂六セットディップス三セットやって帰ります。ちなみに懸垂は、順手三セット逆手三セットですね。
ディップスとは、平行に並べられた二本のバーを掴み体を上下させる運動です。私の説明より、動画などを見るのが早いでしょう。伝説のボクサー、マイク・タイソンもやっていたそうです。
工夫として、セット間の一分から二分ほどの時間を、ゆっくりと走っています。ランニングは有酸素運動、懸垂やディップスは無酸素運動ですが、その二つを交互にやることで効率よく鍛えられます。トータル三十分ほどでしょうか。
それが終わると、家に帰り遅い夕食の後に入浴し寝るだけです。時間のない時は、このトレーニングをやっています。注意していただきたいのですが、毎日ではありません。週に三回、一日おきです。
このトレーニングはただで出来ますし、時間も一回三十分です。まあ、やったからといってシックスパックになれるか……というと、これだけでは難しい、と言わざるを得ないですね。食事の内容も関係してきますから……ただ、続けていけば体型に何かしらの変化があるのは間違いありません。ついでに言いますと、今の時代の筋トレは短時間で集中し追い込むやり方が主流です。長時間ダラタラやるトレーニングは、効果が薄いと言われていますね。
一回三十分、週三回のこのトレーニングですが、きつくて出来ないと言うなら、HIIT式がいいと思います。これは一回四分、週三回です。二十秒の腕立て伏せと、二十秒のバービージャンプ(わからない方は動画など見てください)……この二つを、十秒の休憩を挟みつつ交互にやるだけです。四セットずつやれば、四分になります。途中できつくなってきたら、腕立て伏せは膝を着いた状態で、バービージャンプはスクワットに変えてください。これを週三回なら、できると思います。ちなみに格闘技では、息あげと呼ばれていました。昔から行われていたやり方だったりします。
この週三で一回四分(費用はゼロ)すら出来ない……これはもう、やる気がないということです。誤解されては困りますが、バカにしているわけではありません。やる気がない……つまり、トレーニングすることに価値を見出だせないということですね。トレーニングが好きになれないということでしょう、
はっきり言うと、トレーニングが好きになれるタイプとなれないタイプがいると思います。トレーニングできるから偉いとかカッコイイとか、そういう問題ではありません。好き嫌いの問題です。やる奴は、どんなに忙しかろうと疲れていようと、どうにか時間をひねり出してトレーニングするものです。これは、ギャンブル依存症の人間があちこちから金を借りてギャンブルするのに似ているかもしれません。いわば、トレーニング依存症でしょうね。
こんなトレーニング依存症のごとき人間が偉いのかと問われれば、偉くはないと答えます。ただ、貧乏でない人間から「カッコイイ体を作れるのは金と暇がある人間だけだ。貧乏人にそれは無理だ」などと言われたら、それは間違いであると反論しますね。
漫画『男組』に、こんなセリフがありました。
「人間、やらないための言い訳は無限に思いつけるものだ」
金と暇があっても、やらない奴はやりません。あーだこーだ言い訳して、結局は何もしないでしょう。まあ、単なる言い訳なら何も言う気はありません。もう一度書きますが、トレーニングしてる人間が偉いわけではないのですよ。そういう人は、単にトレーニングが好きなだけです。
また、客を獲得するために、シックスパックの腹筋や美尻トレーニングだとかを推奨しているフィットネス系やフィジーク系の人たちには、私も好感は持っていません。どんな体型だろうと、本人が納得しているなら、それでいいと思います。
ただし、己がトレーニングをしないことを、貧富の差へと問題をすり替えた挙げ句に貧乏人の味方アピールする人間にも好感は持てません。はっきり言って見苦しい気がします。
最後に、私がなぜトレーニングをするかといえば、格闘技のため、今の自分よりも強くなるためです。ひいては、それが「普通に」暮らすために必要だからです。シックスパックの腹筋や、上がった尻を作りたいからではありません。




