やられると、ちょっと嫌な技
先日、とある有名な選手が総合格闘技の試合にて肩パンチを効果的に使い、ちょっとした話題になりました。
ここで、知らない人のために説明しますと……肩パンチとは、肩めがけてパンチを放つことではありません。総合格闘技には立ったまま組み合う展開がありますが、この時に自らの肩を顔面に打ち付けていく技です。これ一発でKOにはなりませんが、食らうと嫌なものです。
実際、鼻や口に食らうと痛いですね。唇が切れることもあります。
ちなみに、このエッセイの『ムエタイについて』の章にも、肩パンチに関して書いております。ムエタイの選手も、首相撲の状態から肩パンチを見舞っていき、相手がそれを嫌がって間合いを離そうとした瞬間に離れ際の肘打ち……というようなテクニックを使うことがあるようです。あるいは、嫌がらせとして小刻みな肩パンチ連打なども……肩パンチは総合格闘技だけの技ではなく、ムエタイでも昔から使われていたようです。恐らく、相撲やレスリングなどでも使われているテクニックではないかと思われます。
今回は、肩パンチのような「一発KOは無理だけど、やられると非常に嫌な技」を紹介しています。
キックボクシングの試合では、クリンチ状態になるとレフェリーが分けに来ます。が、そのレフェリーが間に入るまでの時間に、いろんな嫌がらせが出来ます。さきほど紹介した肩パンチもそうですが、他にもいろいろな技が使えます。
例えば、相手の足に踵で蹴りを入れたり出来ますね。密着に近い状態から、足を上げ踵で相手の腿やふくらはぎをバンバン蹴っていきます。見た目は威力がなさそうですが、実のところ食らうと結構痛いです。連続して食らうと、ダメージが蓄積していきます。それ自体で倒すことは出来ないですが、ジワジワ効いてくる技ですね。
また、相手の太股の付け根への膝蹴りも嫌ですね。クリンチ状態から、横から回すような膝蹴りをバチバチ当てられると、ローキックほどではないですがダメージはありますね。
ブラジリアン柔術や総合格闘技のジムに通い始めると、必ず習うのが肘のグリグリです。
柔術の基本テクニックとして、クロスガードという防御体勢があります。下から相手の胴に両足を巻き付け、相手の動きを封じるのです。このクロスガードの体勢だと、相手は技をかけることが出来ません。まあ、かけられる技もないことはないですが、かなり制限されるのは間違いないですね。
ですので、クロスガードをされた方は、まず胴に巻き付かれた両足を外さなくてはなりません。この場合、一番手っ取り早いのが肘の尖った部分を相手の太股に当てて、えぐるようにグリグリと動かしていくことです。これ、上手い人がやると痛いんですよ。反射的に「いて!」という声を漏らしてしまうくらいです。
この肘グリグリですが、密着した状態では使い道が多いですね。柔術の試合やノーギの組み技の試合では、当然ながら打撃は禁止されています。しかし、肘グリグリは禁止されていません。したがって膠着状態の時など、肘でグリグリやる嫌がらせで状況が打開できることがあります。肘を防ごうと、相手が不用意な動きをした瞬間に腕を取りアームロックをかける……というような展開もありますね。
また、額を相手の顔面に擦りつけるテクニックもあります。キックボクシングのクリンチ状態、あるいは総合格闘技の密着した状態で、相手の顔面に額を擦りつける……これ、やられると嫌なものです。特に鼻のあたりを額でグリグリされると、思わず顔を逸らしてしまいます。その、目線が離れた瞬間にぱっと間合いを離して打撃を叩き込む……こういうテクニックもあります。
ここに挙げたテクニックは、格好いいものではありません。ただ、こうした嫌がらせを上手く使う……もしくは、嫌がらせを上手く躱せないと、上のクラスでは勝つことは出来ないですね。




