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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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大人の格闘技

 私の通うジムは、ほとんどが三十代以上の年齢の人によって占められています。さらに、五十歳を過ぎてから入会した人も、数人います。まあ、オッサンばかりということですね。

 個人的には、若くてイキのいい人たちにも、どんどん入って来てもらいたいですが……それはひとまず置きます。今回言いたいのは、格闘技は若者だけのものではない……ということなんですよ。むしろ、ある程度の年齢になった人の方が「楽しむ」という点のみで考えるなら上なのではないかと。




 普通の人が、格闘技といわれて思い浮かべるのは……やはり、格闘技漫画でしょうか。

 かつての『グラップラー刃牙』や『修羅の門』といった格闘技漫画は、とにかく世界最強という概念にこだわっていました。柔道や空手やボクシングの一流選手を、圧倒的強さの主人公がぶっ倒していく……そういう内容のものが、ほとんどだった気がします。

 しかし、今はそういう時代ではありません。現実の格闘技は、そもそもが競技でありスポーツなんですよ。「空手よりキックボクシングの方が強い」「ボクシングより柔術の方が強い」などと比べることは、はっきり言って無意味です。これは、昭和の時代の格闘技漫画が遺した負の遺産でしょうね。いい年齢になって「あの技は実戦的ではない」などと言う痛いオッサンもいますが……こういう人なんかは、昭和の格闘技漫画に洗脳されてしまっているタイプでしょうね。

 現実の格闘技は、スポーツとして楽しめるものです。成人になってからも草野球を楽しむ人がいるように、格闘技も成人になってからも充分に楽しめます。むしろ、成人になってからの方が、勝ち負けにこだわらず自然体で楽しめると思うんですよ。

 ですから私は、むしろ成人した人にこそ格闘技を始めて欲しいんですよ。動機は何でも構いません。映画のロッキーを観て、若い頃の憧れを思い出しボクシングジムに通う。あるいは、テレビや動画などで華麗な足技を見て空手やテコンドーの道場に足を運ぶ。それでいいと思うんですよ。

 この際、ネットなどでよくある「空手は弱い」「ボクシングは実戦的ではない」などという意見は無視してください。何が強いか弱いか、そんなことは一般の人にとってはどうでもいいことです。大切なのは「自分は何がしたいのか」です。耳を傾けるべきは、他人の意見ではなく自分の気持ちです。

 特に成人を超えた人にとって、最強などという言葉は全く無意味なものです。そもそも強さなど、状況次第によっていくらでも変化します。はっきり言えば、平成の時代に「氷の皇帝」「人類最強の男」などといわれていたエメリヤエンコ・ヒョードルでも、山の中で遭難しかかっている時に頭のおかしい地元民の老人に襲われれば、なす術なく倒されるでしょう。これは、武術の達人と称する人たちでも同じです。

 一般の人がこだわるべきは「〇〇は●●より強い」ではなく「今日の自分は、昨日の自分よりほんの少し強くなれた」です。そうやって、少しずつ積み重ねていくことこそが重要なんですよ。やがて、自分が目に見えて変化している……それこそ、人間にとって何物にも変えがたい喜びではないでしょうか。

 リアルの格闘技は、一昔前のような一部の人だけがやるものではありません。誰でもが楽しめる競技でありスポーツなんですよ。私は、多くの人々にリアルな格闘技に触れて欲しいと思っています。


 最後に、このエッセイで何回も書いてきたことですが……スポーツの世界というのは、本当に厳しいんですよ。特に格闘技の場合、毎日トレーニングに励み、試合が近づけば体重を絞り、食べたいものも食べず、大変なプレッシャーを感じつつ試合に挑む……そういう人たちと触れ合うこと、それもまた人生においてプラスになってくれるでしょう。








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