出来る者は実行し、出来ない者は教えたがる
本題に入る前に、皆さんに知っておいていただきたいことがあります。
最近、なろうにて「野蛮な人が異世界に転生したけど格闘技を使い戦っていく」というストーリーの作品を読みました。人気作品で、コミカライズもされているようです。底辺に毛の生えたような私とは、まるきり違う場所にいますね。
この作品の中に「甲冑を着た騎士と戦い、関節技で仕留める」というシーンがあります。実は、このエッセイの『未来の格闘技』の章にも似たシーンがあります。「甲冑を着た騎士には打撃は効かせにくいが、関節技なら極まる」ということを書いていました。
なにせ向こうは人気作品です。熱狂的なファンに、「お前、パクったろ!」などと感想欄に突撃されても困るので、念のため書いておきます。私はパクってはいません。『未来の格闘技』を投稿した日付と、件の作品の該当する章の日付を比べて見ていただければわかりますが、私の方が先に書いて投稿しています。なので「パクリだ!」などと言って突撃して来ないでください。
なぜ、こんなことを書いたのかといいますと、以前にとんでもないものを見てしまったからなんですよ。交流のあるユーザーさんが、島津一族の登場する歴史作品を書いていました。が、その作品に「首おいてけ」なるセリフを出したら、「ドリフターズのパクリだ!」などと感想欄に突撃してきたユーザーがいたのですよ。しかも、そのユーザーの仲間(?)らしき人物まで突撃してきて、感想欄が荒れていました。その上、感想欄のみならず活動報告にまでしつこく突撃してきていて……見ていて、怖さと痛さとを感じましたね。よほどドリフターズが好きなのでしょうか。
念のため説明しますと、平野耕太先生の作品に『ドリフターズ』という漫画があります。有名な武将の島津豊久が登場し「首おいてけ」というセリフを吐きます。が、件の作品との共通点はセリフくらいでしょうか。にもかかわらず「パクリだ!」と感想欄や活動報告に突撃してくる人もいるのです。私も、熱心なファンにこんなふうに突撃されたら困りますので、予防線を張らせていただきました。
さて「出来る者は実行し、出来ない者は教えたがる」という言葉があります。出典元は不明ですし、そもそも正確かどうかはわかりませんが……一般的には「本物はごちゃごちゃ言わず行動し、偽物もしくは中途半端な奴ほど語りたがる」という感じで解釈されているようですね。なろうで例えるなら、エッセイで上から目線の偉そうな創作論ばかり書くくせに、小説をほとんど書いてない人でしょうか。探したら実際にいそうですね、こういう人。
こういうエッセイスト(?)には、前述の解釈がそのまま当てはまるでしょう。しかし、格闘技という分野では別の解釈もあると思うんですよね。
空手には、上段後ろ回し蹴りという技があります。私は、この技を使えるようになるまで半年近くかかりました。しかも、右足では蹴れますが左足では未だに蹴れません。まあ、私ははっきり言って覚えが悪いタイプですが……後ろ回し蹴りのような、ちょっと動きが複雑な技を使えるようになるには、多少の練習は必要でしょうね。
それとは逆に、他人の技をパッと見ただけで上段後ろ回し蹴りを綺麗なフォームで蹴れる人も世の中にはいます。まさに「出来る者は実行し」の体現者ですね。
ところが、こういう人は……基本的に、人に教えるのが下手だったりします。全てがそうというわけではありませんが、下手な人が多い気はしますね。全くの未経験者を相手に「だから、腰だよ腰! 腰を入れて打て!」などと言ったり「ブーンじゃダメだ、ビュンなんたよ」と擬音で説明したりします。教わる人間からしたら、非常に困りますね。まあ、逆に擬音の方がよくわかるケースもありますが、未経験者は「この人、何を言っているんだ?」と戸惑ってしまうでしょうね。
しかも、こういう人は「出来ない人」に対する理解がありません。運動神経のいい自分が基準となっているため「こんな簡単なことが、なんで出来ないんだろう?」となってしまうわけですよ。結果、人に教えたがらなくなるわけです。
一方、「出来ない人」はどうでしょうか。ここでいう出来ないとは、不器用で覚えが悪い人を指しますが……こういう人は、当然ながら時間をかけて技を習得しました。したがって、同じように「出来ない人」に対する理解があります。また、頭でいろいろ考え様々な試行錯誤をしてきたがゆえに、説明も上手いです。少なくとも、擬音だけで技を説明するようなことはしません。下手すると、理詰めで細部に至るまで動きを解説してくれるような人までいます。
つまり、「出来ない人」の方が、教える能力には長けている場合が多いんですよ。そんな人が「出来る人」の指導を見ていたら「こいつ、下手な教え方してんなあ」と思うことでしょう。結果、聞かれもしないのに教えてしまう。その姿を傍で見ている人は「あいつ、大した実績もないのに教えたがりだな」と思う……そんな現象が、起きてしまうのではないでしょうか。
もちろん、全てのケースに当てはまるわけではありません。中には、初心者相手にドヤ顔をしたいがために教えたがる人もいるでしょう。ただ、みんながみんな、そういう人ではないということは知っていただきたいですね。




