喉を痛める時
先日、寝技のスパーリングをした時のことです。
その時の相手はフィジカル面に優れており、力は強くてスタミナもありガンガン来るタイプですが、いかんせんテクニックが全くない若者でした。なので、私はあえて受けに回っていました。こちらからは攻めず、相手の仕掛ける技を受けつつも極めさせないように防御し、時おり反撃する……といった感じです。
相手の若者は、無理やり技を極めようとして来ました。途中からチョーク狙いに徹してきて、何度もバックチョークを仕掛けてきました。で、私はそれをいなしつつ、時おり反撃する……という展開でした。
その翌日のことです。朝、起きると妙に喉が痛いんですよ。理由はといえば、寝技のスパーリングです。何度もチョークを仕掛けられたため、首……というより喉を痛めてしまったんですよ。まあ、大した痛みではなかったのですが、しばらく声が出しづらかったですね。
念のため書きますが、上手い人のチョークは完璧な「絞め技」です。腕が巻き付き、こちらのガードを外し首を絞める……がっちり極まれば、抵抗など出来ません。件の彼はテクニックがなく、チョークを仕掛ける際にも力ずくで無理やり絞めようとしていました。結果、私の喉に腕がゴツゴツ当たり、喉を痛めてしまったんですよ。こういう力ずくで強引に来る人とのスパーリングは、注意が必要です。上手い人が相手のスパーリングなら、こういう事態にはなりにくいのですが。
ただ、プロの試合ともなると、両方共に高いレベルなのでテクニックだけでは極まらないこともあるでしょう。また、相手に怪我をさせることを恐れる必要もありません。となると、力ずくで強引に極めにいくこともありますし、喉そのものを潰しにいく技もあります。なので、試合で喉を痛めてしまうこともあるでしょうね。
余談ですが、バックチョークにおいて大事な要素は、相手の胴にしっかり両脚を回して、がっちりロックすることです。この両脚のロックがあるのとないのとでは、技の極まり方がまるで違ってきます。下手すると、かけられている側がクルッと向きを変えてマウントポジションを取ることもあるんですよ。映画やドラマなどの格闘シーンを見ていると、たまに両脚のロック無しでバックチョークを仕掛けていたりしますが……これ、ある程度の経験があり防御方法を知ってる人にはかかりません。もっとも、逃げ方を知らない人には問題なくかかるかも知れませんね。
プロレスラーの中には、低くかすれた声の持ち主がいます。これなんかも、長い間に技を受け続けた結果でしょうね。しかも、プロレスラーの場合は試合の間隔が短いです。喉を痛めたとして、完全に治る間もなく次の試合が控えています。そこで、また技を受け……結果、もはやハスキーというレベルも超えている人がいたりします。昭和のプロレスラーなんかは、声が潰れている人も多いですからね。職業病みたいなものでしょうか。ただ昭和のプロレスラーには、酒豪も少なくないですからね。俗に言う酒やけも要因のひとつかも知れません。




