表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

309/388

蹴りの難しさ

 いきなりですが、蹴りというのは、実は難しい技です。

 威力のある回し蹴りを打つためには、間合いの調整が必要です。特に体重を乗せたローキックを打つには、ある程度は相手に接近しなくてはなりません。が、接近しすぎると今度は蹴りが打てなくなります。つまり、瞬間的に適した間合いかどうかを目や感覚で判断し放たなくてはなりません。

 しかも、蹴りを放つ時に一番怖いのは、パンチのカウンターです。キックボクシングの試合でたまにあるのが、ローキックに合わせたカウンターのパンチです。相手が、遠い間合いから踏み込み体重を乗せた重いローキックを放つ。その瞬間、こちらも踏み込み相手の顔面に右ストレートを叩き込む……当たれば、それだけで相手をノックアウトさせることもあります。仮にローキックと相打ちになったとしても、パンチの方がダメージはありますね。

 たまに「ボクサーは、ローキックで足を潰せば勝てる」などと簡単に言う人がいますが、強いローキックを当てるには、パンチのカウンターをもらうかもしれない間合いに接近しないといけません。馬鹿正直に、真正面から近づいていきローキックを打とうとすれば、パンチをもらい倒されるのがオチでしょうね。

 格闘技の試合で、強烈なローキックを放つ場面がありますが……そのためには、パッと見ではわからない小さなテクニックが使われているんですよ。軽い左ジャブのモーションやフェイクの右ストレートなどで相手の注意を逸らしたり、速い出入りでタイミングをずらすなどの動きが必要になってくるんですよ。でないと、カウンターのパンチをもらって終わりですからね。



 また、勘違いされている方が非常に多いようなのですが、蹴りという技は足だけの動作ではありません。

 ファンタジー作品に有りがちなのですが、両手で一本のロングソードを構えている状態で敵と向き合っていたとします。そこで、ローキックを放ったとしましょう。これ、全く効かない蹴りになります。

 蹴りという技は、全身の力を上手く使わなくては威力は出ません。脱力した状態で鋭く踏み込み、腰を回転させ、腕を振りつつ足を叩き込む……この全身を上手く連動させる動作がないと、強い蹴りは打てません。

 ところが、ファンタジー作品にあるようなロングソードや日本刀などを両手で構えた状態で、ローキックを放つ……これでは、全身の力を上手く連動させることが出来ません。結果、足を振るだけのぺチンという蹴りになるでしょう。もちろん、以前にも書いたように威力のない蹴りにも使い所はあります。が、このローキックで倒すには、それこそ数十発単位で当てないと駄目でしょうね。

 しかも、ロングソードなど持った状態で蹴りを放てば、バランスを崩しやすくなります。この状態でハイキックなど打とうものなら、転ぶリスクがかなり高くなります。さらには、先ほども書いたカウンターをもらう可能性もあるのです。武器を持った相手のカウンター……すなわち、武器による一撃です。それを食らった時点で、戦いどころか人生が終わるでしょうね。

 そこまでのリスクを負って、威力のない蹴りを放つ……デメリットの方が大きい気がしますね。



 誤解されては困るのですが、私は蹴りという技を軽視しているわけではありません。たった三分間のスパーリングで、私はローキックだけで五回ダウンさせられたことがあります。蹴り、特にローキックの痛さは何度も味わっております。

 また、蹴りがあればこそパンチが活きるのです。どんなハードパンチャーでも、蹴りありのルールでは蹴りを上手く使わないと、強烈なパンチを活かすことが出来ません。蹴りで相手の意識を逸らし、パンチに繋げていく……プロの格闘家なら、こんなのは当たり前です。

 そのため、格闘家は蹴りという難しい技を練習し、使いこなせるようにするのです。蹴りという技はデメリットもありますが、大きなメリットもあるということは忘れないでください。

 






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ