出血について
格闘技をやる上で、怪我は避けて通れません。特に、出血はよくあるパターンですね。たとえば軽いスパーリングでも、相手のパンチが当たってしまい鼻血が出ることがあります。
この鼻血ですが、試合中に出たりすると厄介なんですよね。鼻血が出ると、当然ながら呼吸がしづらくなります。試合では動かなくてはならないですが、呼吸がしづらいとスタミナのロスも大きいです。
ならば口呼吸をすればいいかというと、これまた問題があります。口呼吸は、鼻呼吸より確実にスタミナをロスします。格闘技の試合中、口で息をしている選手は完全にスタミナ切れの状態ですね。しかも口を開けていると、パンチをもらった時にダメージが大きくなります。基本的に、打撃系はアゴを引いて構えるのがセオリーですが……口呼吸だと、アゴを引いて構えるのは難しいですね。
それだけなら、まだいいのですが……下手をすると、気管に大量の血が入ることもあります。そうなると、もはや試合どころではありません。試合中は血行がよくなっているため、普段ではありえないくらいの大量の血が出ることがあるんですよ。その血が、気管にドバっと入ったら窒息の可能性もあります。
たかが鼻血ですが、ナメてかかれないものがあります。
肘打ちを額にもらうと、とても痛いですが……それと同時に、額が切れることもあります。本当に、スパンと刃物で切ったように切れるですんよ。直後、血が大量に滴り落ちて来ます。
こうなると、切られた方は非常に不利ですね。まず、血が目に入って来ます。たとえ片方でも、視界がふさがれると相手の攻撃が見えづらくなります。
血が目に入った瞬間、パンチやキックをもらってKO負け……これ、格闘技では珍しくありません。見えないパンチというのは、不意打ちと同じです。なので、ダメージも大きいんですよ。
それ以前に、大量に出血すると試合を止められる可能性が高くなります。反則攻撃による負傷ならともかく、肘打ちが認められたルールの場合、流血させた方がテクニカル・ノックアウトで勝ちとなります。
つまり、肘打ちで流血させると……流血させた方が、圧倒的に有利となります。相手は視界にハンデを抱え、しかも放っておけば自分の勝ちになります。百パーセントではないにしろ、試合が止められる可能性は高くなるわけです。
逆に流血させられた方は、完全に追い詰められた状態となります。視界のハンデ、さらにタイムリミットが近づいているわけですから……こうなると、死に物狂いのラッシュをかけざるを得ません。試合を止められる前に、KOで倒すしかないんですよ。
以前にも書きましたが、Kー1において肘打ちが禁止になった理由のひとつに、流血しやすいという点があります。肘打ちでスパンと切れて大流血、挙げ句に試合が途中でストップしテクニカル・ノックアウトにより勝利……これは知識のない人には釈然としないものが残るでしょう。それ以前に、流血試合は地上波のテレビでは好まれないでしょうが。
ちなみに昔のムエタイには、肘打ちで流血させるのが上手い選手がかなりいたそうです。体格的に上の選手と試合を組まれた時など、肘打ちで流血させテクニカル・ノックアウト勝ち……というパターンがよく見られたとか。
さらに、これは聞いた話ですが……ボクシングやキックボクシングでクリンチになった時、どさくさ紛れにグローブでまぶたの近辺を強く擦り、出血させるテクニック(?)があったとか。はっきり言ってダーティーな技術ではありますが、出血させるとそれだけ有利だということです。




