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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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襲われたら逃げましょう

 最近、暖かくなってきました。いよいよ春到来ですね。

 しかし春になると、おかしな人たちも現れます。春になると、性犯罪の件数も増えるそうですが……本当に困ったものですね。

 私は格闘技をやっているため、たまに「変なのに襲われたら、どうすればいいですか?」と聞かれることがあります。その場合、私はこう言います。


「大声で叫びながら逃げてください」


 そう言うと、たいがい「えっ……」という顔をされます。護身術的な技を教えてくれると期待していたのでしょうが、私はそうした技を教えたくはありません。特に女性には、反撃せず逃げることをすすめています。

 



 テレビなどで紹介されている護身術は、実のところほとんど役に立たない……この事実は、今までにも何度も書いてきました。護身術の指導と称した企画で、お笑い芸人がアイドルに関節技をかけられ「イテテテテ!」と叫ぶ……有りがちなシーンではありますが、これを現実の局面で可能にするためには、かなりの練習が必要なんですよ。現実では、当然ながら相手は動きますし反撃もしてきます。お笑い芸人のように、技をかけさせてはくれませんしリアクションもしません。

 さらに、もうひとつ重要なポイントがあります。闘う時、人は体内からアドレナリンが出ています。このアドレナリンの作用により、人は平常ではあり得ないくらいに痛みに強くなるんですよ。普段なら「イテテテテ!」となるはずが、闘っている時には耐えられてしまう……これは珍しいことではありません。

 この、アドレナリンが出ているというのは大事なポイントです。痛みに強くなるということは、打撃技にも当てはまります。興奮している相手には、少々のパンチやキックは通用しません。

 しかも、格闘において無視できないのが「攻め疲れ」という現象です。仮に、襲われた女性が何らかの技で反撃したとしましょう。一発で相手が戦意を喪失してくれればいいですが、怯まずに向かって来た場合、さらなる攻撃を食らわす必要があります。経験のない人にはわからないでしょうが、何かを殴り続けるというのは想像以上に疲れます。三十秒間サンドバッグを叩き続けたら、ほとんどの人が酸欠になるでしょうね。

 プロの格闘技の試合でも、一気呵成にラッシュをかけたが倒せず、大幅にスタミナをロスしてしまい、直後に逆襲されKO負け……というケースがあります。ましてや一般女性の場合、全力で数発殴れば、それだけでかなりのスタミナを消耗してしまうことでしょう。本来、その体力は逃げる方に回すべきなのですが。

 もうひとつ無視できないのは、打撃は拳や足を痛める場合がある、ということです。人間の体は、ミットやサンドバッグとは違います。頭の骨なんかは分厚く硬いので、下手に殴れば拳の方が痛くなります。



 さらなる問題として、世の中の一般女性は、人生においてどれだけの時間を護身のために費やせるのか……ということです。はっきり言うなら、せいぜい週に一度か二度、道場に通うのがやっとでしょう。さらに、練習は一回につき実質一時間ほど。しかも、息が上がるようなトレーニングはしない……ただでさえ、女性は非力で体格的にも劣っています。この程度のトレーニングで、暴漢を素手で制圧できるだけの戦闘力を得られるとは思えません。

 仮に、平均的な体格の女性が週に二回ほど護身術の道場に通っていたとします。そんな彼女が夜道を歩いていて、暴漢に襲われたとしましょう。

 彼女は、習っていた通りの打撃技で暴漢を攻撃します。その打撃技は、平時ならば効果を発揮したのかもしれません。しかし、暴漢は興奮状態にあります。少々の打撃にも怯まず……いや、かえって逆上して掴みかかって来ました。体格に勝る暴漢は彼女を押し倒し、上から拳を振り下ろして来ます──

 あくまで極端な例ですが、アスファルトでこんなことをされたら、死に繋がる可能性があるんですよ。これは最悪の事態ですが、起こってしまえば取り返しがつきません。


 念のためですが、私は襲われても抵抗するな、と言っているわけではありません。ただ、抵抗したらこうなる可能性がある、ということを伝えたいだけです。実際、暴漢が暴力慣れしていない若者の場合、顔面を殴られて鼻血を出しただけで心が折れてしまうケースはあるでしょう。が、そうならないケースもあるのです。怖いのは、そうならないケースに遭遇してしまうこと……なのは、いちいち言うまでもないですね。

 ところが、護身術を習うことで間違った自信がついてしまい、さらに妙な正義感を発揮して暴漢と闘ってしまう……これこそが、一番危険です。生兵法は怪我のもとという言葉がありますが、この場合は怪我では済まない恐れがあります。

 結局のところ、護身術で一番重要なのは危険な状況を避ける用心深さと注意力であり、二番目に重要なのは危険な状況から走って逃げられる体力です。これまた、何度も書いてきましたが……本当に大切なことです。

 余談ですが、私はわけのわからない護身術を習うくらいなら、ボクシングのジムに通う方がよほどいいと思います。が、ボクシングのパンチで反撃しろと言っているわけではありません。ボクシングのフットワークは、相手から間合いを離し逃げるのに適しています。たいてい、暴漢はまっすぐ突っ込んで来ますので、そうした直線的な動きをいなすには適しているのではないかと。

 さらに、ジムに通っていればスタミナも付きます。あくまで「逃げる」という点を重視した場合でも、ボクシングは実用的ではないでしょうか……私個人の意見ですが。







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