EMSの謎
以前から疑問に思っているのが、EMSマシンの存在です。一応説明しますと、EMSマシンとは小型の機械が内蔵されたベルトですね。お腹や太ももといった脂肪の多い箇所に巻くと、機械が作動してベルトが自動的にプルプル震え、筋肉を刺激し発達させると同時に脂肪を燃焼させる効果がある……と言われているようです。自ら動く必要がなく、寝転がったりスマホをいじったりしているだけで脂肪(特にお腹回り)を落とすことが出来る……というのが、最大のセールスポイントですね。
テレビのCMでは、「付けただけで効果抜群!」「腹筋運動〇百回分に相当!」「キツいトレーニングとは、もうおさらば!」などといった購買意欲をそそられる言葉が並べられていますね。また、タレントなどが装着し「これは最高だね! 本当に付けているだけでウエストが細くなったよ!」などと笑顔で語っていたりもします。さらに「何にもしてないのに体重が落ちた!」と喜ぶ人の声が紹介されたりもします。
あと有りがちなのが、白衣を着た学者と称する人が登場し「このマシンの運動効果は素晴らしいですね」などと、いかにも科学的根拠があるかのような口ぶりで語る場面もありますね。そうしたCMを観たことのある人も多いでしょう。深夜の通販番組でも、一日に一回は扱われていますよね。
もっとも、私はそうした言葉をいっさい信用していませんが。
まず、勘違いされている人も多いようですが……アスリートや海外の俳優などに有りがちな六つに割れた腹筋は、腹筋運動を続けることにより浮き上がるものではありません。もちろん腹筋運動をするのは必須ですが、もうひとつの条件があります。それは、体脂肪を落とすということです。過酷なトレーニングと食事制限により全身の筋肉を強化し、その過程で全体的な脂肪を落としていく。トレーニングにより摂取したカロリーはきっちり消費され、また筋肉量の多い体は常人よりもエネルギーを消費しやすいのは言うまでもないですね。そうした努力の結果として体脂肪が落ち、六つに割れた腹筋が浮き出てくるわけです。
ところが、件のEMSマシンにはそうした努力の必要がありません。何せ、動く必要がないのですから……動かなければ、カロリーは消費しません。また、脂肪も燃焼しません。EMSマシンの宣伝文句として「高い脂肪燃焼効果があります!」などと言っていますが、腹筋をプルプル動かしているだけでは運動効果は期待できません。運動効果が期待できないということは、脂肪燃焼効果もまた期待できません。
さらに、部分的に痩せさせるというのは非常に難しいんですよ。一流アスリートの中には、筋肉を部分的に数百グラム落とすという調整方法をしている人もいるそうですが、それを可能にするのは超一流のトレーナーや栄養士が付いていればこそです。普通の人には、不可能でしょうね。
今回、EMSマシンについて書こうと思いついてから、私はウエイトトレーニングのトレーナーやジムのインストラクターといった人たちに聞いてみたのです。EMSマシンの効果についてどう思うか、と。すると、ほぼ全員が「効果はないと思う」と言っていました。ひとりだけ「他のトレーニングと併用すれば、効果はあるかもしれない」と言っていた人がいましたが、それはEMSマシンの効果とは言い難いですよね。最大の売りである「何もしなくても痩せる」という文句とは掛け離れたものではないでしょうか。
と、ここで終わらせられればいいのですが……EMSマシン最大の謎は、効果がないはずなのに売れ続けている点なんですよね。十年以上前から、形を変えて販売し続けている……ということは、買う人間がいるからですよね。効果がないはずのものを買う人間がいる、これはどういうことなのでしょうか。
ひょっとしたら、私には分からない最先端の理論により、EMSマシンは秘められた効果があるのかもしれない……そう思い、ネットで調べてみたのです。すると、否定する意見も肯定する意見もあまりにも多すぎ、かえって分からなくなりました。
というわけで、今回の結論は「個人的には否定派だが、実は効果があるかもしれない」です。私はEMSマシンを信用しませんし、また使いません。しかし、購入を考えている人の反対はしません。




