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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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ツキも実力のうち……でしょうか?

 ツキも実力のうち……こんな言葉があります。この言葉の好き嫌いはともかくとして、人生においてツキというものは非常に重要な役割を果たします。某野球マンガには、対戦相手がことごとく不運な事故に遭い、一試合もしていないのに勝ち進んでしまうチームが登場しますし、また、そのものズバリな『ラ○キーマン』なんてのもいたりします。人生において運不運というものは、とても大きな要素ではないか、と思うのですよ、私は。


 さて、格闘技においても運不運は大きなウエイトを占めます。いや、もちろんいくら運が良くても、私と石井慧が闘えば、私に勝ち目は一%もありません。そんな実力差のある組み合わせは論外として、一流同士の闘いともなると……運不運の占める割合は、決して小さなものではなくなります。ボクシングの世界では、ラッキーパンチという言葉もあるくらいです。ラッキーパンチについて説明しますと……物凄く簡単に言います。威力、タイミング、見た目などがラッキーとしか表現しようのないパンチです。ラッキーパンチについて詳しく知りたい方は……私のエッセイではなく、名のある方の書かれたものを読んだ方がいいでしょうね。有名な方々の試合でも……ラッキーとしか表現しようのない展開はありますし。ただ、今回私が紹介するのは、無名の格闘家たちを襲った不運な出来事の数々です。悲劇と喜劇は紙一重と言いますが……皆さんの心には何が残るでしょう。


 かつて、Aさんという空手家がいました。身長百八十センチ、体重九十キロの恵まれた体格をしており、百メートルを十一秒で走るスピードと凄まじいパワーの持ち主でした。メンタル面も強く、将来は世界王者も狙えるのでは、と言われたほどの逸材です。

 そんなAさんが、地方の大会に出場することとなりました。周りの先輩方や道場の師範は、地方の小さな大会ならば確実に優勝できる……というより、まだ若いAさんに経験を積ませ、勝つ喜びを教え、優勝により自信を付けさせ、そして次の年、全日本大会に送り込む計画だったようです。地方大会は……単なる咬ませ犬、通過点といったところでしょうか。

 ところが大会当日……現れたAさんはひどい状態でした。顔色は青く目はうつろ、その表情には覇気が0……周りの人間は唖然としたそうです。

 そして試合が始まると、太ももへの蹴り二発で一本負け。試合開始後、一分かかるかかからないかで決着が着いたそうです。

 当然ながら、師範は激怒します。で、理由を聞いてみると……。

 大会前日、付き合っていた彼女と別れたらしいのです。しかも、前日の夜にいきなり電話がかかってきて、一方的に別れを切り出され、挙げ句に話し合いもできないまま一晩経過してしまったとか。

 結局、精神的にも肉体的にもボロボロの状態で試合に臨む羽目になった、というわけです。

 ちなみに、このAさんはその後、空手を止めてしまったそうです。


 Bさんもまた、流派は違いますが空手の選手です。Bさんは試合経験の豊富なベテラン選手であり、既に小さな大会ではありますが優勝経験もある実力者でもあります。Bさんもまた、試合会場にバイクで向かっていましたが……途中、飛び出して来た猫(そう聞きました)を避けようとしてバイクが横転。右足を骨折し、大会に出られなかったとか。もっともこの場合、バイクが横転したにも関わらず骨折で済んだのですから、ツイていたのかもしれません。


 すみませんが、ここから先は少しシビアな話になります。しかも、キックボクシングに詳しい方からは「それは違う」という指摘を受けるかもしれませんが、あくまで私個人の意見であると解釈してください。

 かつて、マイク・ベルナルドというK-1選手がいました。覚えている方も多いと思います。K-1屈指のハードパンチャーとして、優勝経験こそないものの、強豪として知られる存在でした。しかし……いつ頃からかははっきりしませんが、彼は負け続けるようになります。しかも、妙にツイてない負け方をしていたように記憶しています。限りなくスリップに近いダウンをとられたり……血が目に入り、見えづらくなったところに蹴りをもらってKO負けしたり……長年、試合を続けてきたことによるダメージの蓄積や年齢による衰えもあるのでしょうが、彼の本来の実力からいえば格下の相手に負け続け、そして引退しました。

 そして引退後、突然の自殺……これは何なのでしょう。ここまで来ると、単純に運不運と言ってしまっていいのだろうか、という気もします。ただ、ツイていないといいますか、何をやってもうまくいかない時期というものは人生において必ずやってくるわけでして、その時の対処法は普段から考えておいた方がいいですね。しかし、そういう時の対処法は……十人十色と言いますか、人それぞれなようです。ツイてない時こそ勝負に討って出るべき、と言う人もいれば、おとなしく耐え忍ぶべきだと言う人もいまして……って、何かインチキ占い師やイカサマ霊能力者みたいになってきたので、ここまでにします。







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