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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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必殺パンチ

 ヒーローもののテレビ番組などを観ていますと、最後に必殺技なんかを出して敵を倒すケースが多いですよね。

 そこで、「なんで最初から必殺技を出さないんだ」というツッコミを入れる人がいます。まあ、言われてみればその通りですが……そういったお決まりの展開にツッコミを入れるのは、野暮というものでしょう。




 以前にも書きましたが、格闘技には必殺技などありません。また、何とか流奥義も必要ありません。例えば、ヘビー級のプロボクサーの放つ右ストレートは、相手の顎に当たれば一発でノックアウト出来ます。

 この右ストレートは、何も特別な技ではありません。ボクシングジムに入会すれば、初日に教えてもらえるはずです。

 練習生ならば、誰もが教えてもらえる右ストレート……それを、プロ選手は何千何万回と練習します。始めはぎこちない手打ちのテレフォンパンチだったものが、いつしかスムーズに出るようになります。また、サンドバッグを叩いた時の音も変わって来ます。「ベシン、バシン」というような軽い音が、いつしか「ズシッ」という音へと変わってきます。

 そうやって磨き抜いてきた右ストレートは、一撃必倒の武器となるでしょう。入会した直後に、誰もが教わるはずの右ストレート……それが、日々の鍛練を積み重ねることにより必殺技となるのです。




 しかし、その右ストレートも……いざ試合となると、簡単には当たりません。大抵の場合、相手はガードしています。ノーガードでずんずん進んでくる相手など、まずいません。

 いるとしたら、よほどのバカであるかナジーム・ハメド並の天才かのどちらかでしょう。バカはともかく、ハメド並の天才が相手では、凡人では勝ち目はありません。

 ノーガードはともかくとして、普通の対戦相手は基本的にガードしています。また、相手には足があるわけですので、当然ながら動いています。さらに、上体を振ったり頭を細かく動かしたりして攻撃を避けてきます。

 そんな相手に、右ストレートを当てるためにはどうすればいいか……これは、実戦的な練習を積み重ねて、自分に合ったやり方を身に付けていくしかありません。

 ガードの上から、強引に強打を叩きつけていく。上下に打ち分けつつ、隙を探す。突進し、体ごと押し込んでガードの隙間を作る。などなど、色んなやり方があります。

 蹴りが有りだと、選択肢はさらに広がります。ローキックを叩きこみ、脚を潰していく。あるいはミドルキックでボディに集中させ、右ストレートを狙う。あるいは、虚を突いてのハイキックでペースを崩していく。このような段階が必要となるわけです。


 ここまで読んでいただければ分かると思いますが、必殺技というのは当然のごとく相手も警戒しています。したがって、いきなり放っても効果がありません。それどころか、カウンターをもらってこちらが倒される可能性もあります。

 ですから、まずは相手を崩す必要があるわけです。牽制の左ジャブを突いたり、ローキックを放つなどして攻撃を散らしていきます。結果、生まれる一瞬の隙……そこに、必殺の右ストレートを叩き込むわけです。選手によっては左フックかもしれませんし、左ハイキックかもしれません。とにかく、必殺技……というと大げさですが、得意な技を出すには、そうした過程が必要だということなんですよ。




 ここからは完全に余談ですが、冒頭で私は「手打ち」「テレフォンパンチ」と書きました。この言葉は、格闘技マンガなどの影響でよく使われるようになった気がします。それはいいのですが、「筋肉ムキムキでも武術とかやって無いようなテレフォンパンチしか打てなかったら怖くない」などと言う脳内達人がたまにいたりします。

 では、手打ちのテレフォンパンチが全て弱いのかというと、必ずしもそうではありません。

 勘違いされている方もいるようですが、たとえ手打ちのテレフォンパンチといえど、体の大きく力の強い者が打てば、それは充分に脅威なんですよ。体の大きな者が、大振りのパンチを打ちながら前進して来る……これは実際に向き合うと、非常にやりづらいです。

 前にも取り上げたボブ・サップなどは、初期の頃は手打ちのパンチをブンブン振りながら突進していくスタイルでした。あんなに巨大な人が、両拳をブンブン振り回してくる……それだけで、少々のテクニックの差など捻り潰してしまえるのです。

 このエッセイで何度となく書いてきたことですが、大きな体格差のある者に勝つのは、非常に難しいことです。それが現実なんですよ。もっともネットの世界では、得てして現実を無視した意見の方が取り上げられたりしますからね……。







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