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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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黒船襲来

 先日、私の通うジムにとんでもない人が来ました。

 その人は外国から来たのですが、身長は百九十センチオーバーで体重も百二十キロほどでしょうか。この時点で、普通の日本人など相手になりません。

 しかも、この人はブラジリアン柔術を二十年近く学んでいる人です。既に黒帯を取得し、様々な試合にも出ているそうです。総合格闘技の試合も経験し、本国の柔術トップチームにいたこともあるとか。一流アスリートの部類に入れてもいい人でしょうね。

 そんな人が、なぜ日本のジムに来ているのか……実は、詳しい事情は知りません。とにかく、何らかの事情で来日し私の通うジムへと来ているのだけは確かです。

 で、私は寝技のスパーリングをしたのですが、まあ相手にならないんですよ。百二十キロを超す体格なので、当然ながらこっちもフルパワーで向かっていきました。しかし、こちらの技が全く通じません。何をしようとも、上手くさばかれてしまいます。

 相手の技術が上のレベルの時、大抵は力ずくで潰しにいくのですが、今回は私の力が全く通じないんですよ。

 普段、軽い人が相手では力をセーブしている私ですが……久しぶりに全力で立ち向かい、そしてボロボロにやられました。

 ただ、それが心地いいんですよね。




 こうした感覚というのは、日常生活を送っていたらまず体験できないですよね。さらに、私がここでいくら言葉を費やし書いたところで……実際に感じたものの半分も伝えきれないでしょう。

 そんな無理を承知の上で敢えて書くとするならば、その感覚は子供の頃に大人と遊んだ格闘ごっこに似ていますね。

 言うまでもなく、大人と子供とでは勝負になりません。子供は力の限り大人に立ち向かっていきますが、それでも簡単にねじ伏せられてしまうことでしょう。やがてへとへとに疲れきり、床の上で座り込んでしまいます。

 それと同じことが、格闘技のジム……特に寝技では体験できるんですよ。全力を出して立ち向かっていくが、いとも簡単にねじ伏せられる。大人になってから、そんな体験が出来るわけです。

 自分の全力を出しきるというのは、不思議な快感があります。ランナーズ・ハイという言葉がありますが、その状態とは似ているが、また微妙に異なる感覚ですね。

 ここから先は、あくまでも私の妄想に近いものです。また似たような説は既に発表されているのかもしれませんが……人間はどこかに、自身を成長させることに喜び、さらに快楽を覚える機能があるような気がします。

 自分の全力を出しきるということは、自身の成長に繋がりますよね。だからこそ、人間はそこに快楽を覚えるのではないだろうか、と思うわけなんですよ。

 さらに言うと、取っ組み合うというのは人間の本能に根差したものです。かつて道具を使わなかった時代には、人間は殴り合いや取っ組み合いなどで優劣を決めていました。

 その時代の名残なのでしょうか……取っ組み合うという行為には、終わった後に不思議な爽快感があるんですよね。普段は抑圧されている、原始的な部分の解放……そういった快感があるのかもしれません。

 ましてや、へとへとになるまで取っ組み合い、終わった後に大の字になる……この時には、些細な悩みなど跡形もなく消え失せていますね。

 私は、この感覚を是非とも皆さんにも味わってもらいたいんですよ。

 組み技には、打撃系とは違う魅力があります。私はどちらも好きですが、殴り合いには拒絶反応を持つ方もいるでしょう。しかし、組み技には殴ったり殴られたりがありません。つまり、自分が傷つく可能性や相手を傷つける可能性は低いですね。

 ですから、組み技というものを一度は体験していただきたいものですね。強い人と取っ組み合い、へとへとになる……この瞬間だけは、様々な雑事など頭から消え失せています。たとえ一瞬ではあるにせよ、頭を悩ませているものから解放されるんですよ。ただ、こればかりは体験しないと分かっていただけないでしょうが……。







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