競技の素晴らしさ
前回にも書きました通り、私は試合にエントリーしましたが……残念ながら出場はなりませんでした。そこで試合会場へと足を運び、同じジム仲間の闘いぶりを見て来たわけです。
普段、共に汗を流している人たちがリングに上がり試合をする……その姿は、見ているだけで緊張しますし、勝てば嬉しく負ければ悔しいです。これまた、体験したことのない人には分からない世界かもしれませんが。
かつて、武術の達人の中には銃弾を躱した人がいたそうです。
それが本当かどうか、はこの際置きます。個人的には、そうした武勇伝は河童や天狗などといった怪生物の目撃証言と同じくらい怪しいものだと思っておりますが……それもまた、ひとまず置いておきます。
銃弾を躱せるとなると、それはもはや超人でしょう。では、どんな修行を積めば可能なのでしょうか。私には分かりません。ただひとつ言えるのは、普通の人間がたどり着けない領域であるということです。
なぜ銃弾を躱せるのか……それは、武術がもたらしたものなのでしょうか? それとも、実は達人は異能力の持ち主だったのでしょうか?
ここで話は変わりますが、日本人の成人男性がベンチプレスで挙げられる平均重量が何キロであるか、皆さんは知っていますか? 私の聞いた話によれば、四十キロだそうです。この調査がどのような方法でなされたかは不明ですが、トレーニングジムで周囲の人たちの扱う重量を見る限り、間違いではない気がしますね。
これは私の経験からの判断ですが、成人男性ならトレーニングをしていけば、ベンチプレスで八十キロは挙げられるようにはなります。よほど間違ったトレーニング方法をしていない限り、成人男性ならば誰でも挙げられるようにはなるでしょう。
ベンチプレスで八十キロが挙げられれば、平均レベルの成人男性よりは力が強いと言えるでしょう。体つきも明らかに違ってきます。しかも、このレベルはトレーニングさえすれば誰でもたどり着けるラインなんですよ。
格闘技の試合も同じです。ジムに行きトレーニングをすれば、やがてアマチュアの試合に出場できます。試合に出場するのは、誰にでも出来ます。
ところが、最近はネットなどの知識だけで「知った気になっている」人があまりにも多いような気がするんですよね。競技というものを体験もせずに「スポーツは駄目だ」などという言葉で批判し、日本古来の武術をやたらと持ち上げる……中には「達人の身体能力は今の人間など及びもつかない」などと言い出す人までいます。
その逸話が本当であるかどうか、はひとまず置きます。我々のような一般人に、そうした達人のエピソードは非現実的なものでしかありません。それよりも、まずは自分の足元を見る方がもっと大切ではないでしょうか。
格闘技とは、他人との闘いというイメージが強いかもしれません。確かに、そのイメージは間違いではありません。
しかし、他人との闘いに勝つにはどうするか……そこにあるのは、自分との闘いです。今日は、昨日よりもう少しだけ強くなる。明日は、今日よりもう少しだけ強くなる。それを繰り返した結果、初めて他人との闘いに勝てるわけです。
そのためには、まず今の自分という存在を客観的に見て、出来ることから始める……この出来ること、というのが大事です。
古来より伝えられし達人と同じ修行をしたところで、ほとんどの人間が達人にはなれません。ならば、今の自分に出来ることから始めるべきではないでしょうか。
ベンチプレスで三十キロしか挙げられないなら、まずは平均レベルの四十キロを挙げられることを目標にしてトレーニングする……そうすれば、確実に目標は達成できます。
四十キロが挙がるようになったなら、次は五十キロを目標にしましょう。そうやって小さな目標を達成していけば、やがては八十キロが挙げられるようになります。さらには百キロもクリアするでしょう。もしかしたら、百五十キロを挙げられるようになるかもしれません。ベンチプレス百五十キロといえば、プロの格闘家なみのパワーでしょうね。
格闘技も同じです。最強の古武術道場(そんなものが実際にあるとしてですが)は、なかなか見つけられないでしょうし簡単には通えません。
しかしボクシングのジムや空手の道場なら、探せば見つけることは可能です。一般人が通うことも出来ます。今の時代、厳しいトレーニングを課したりはしません。また、極端におかしな人間もいません。
ジムや道場に通っていれば、確実に今とは違う自分になれます。ところが、そうした経験もないのに、机上の空論を振りかざし競技を批判する……そういう人が、少なからず存在しているんですよね。まあ、いわゆる知識マウンティングがしたいだけなのかもしれませんが。
仕事や学校の帰りにジムや道場に通い、トレーニングを積んで試合に出る……そうした人たちを間近に見ている私としては、競技としての格闘技の素晴らしさを、一般の人にもっと知って欲しいです。
最後になりますが、これを読んでいる格闘技経験者あるいは格闘技を今も続けている人にも、自身の体験をエッセイとして書いて欲しいです。特に試合の経験者には、競技の素晴らしさを発表していただきたいですね。




