休日の重要性
かつて某格闘家は、おかしなトレーナーに指導を受けた経験があるそうです。
そのトレーナーは元ボクサーだったらしく「ボクシングにとって大切なのは体のキレとスピードだ。だからウエイトトレーニングなんかするな」「ボクサーの体作りにおいて最も重要なのは走り込みだ。走って体を作る」などといった昭和の理論で指導されたようです。
中でも一番ひどかったのが「ボクサーに休みはない。一日も休むことなく練習しろ」という指導だったとか。実際に昭和のボクサーが皆そうしていたかは不明ですが、休みなしに練習することが当たり前の時代だったのは確かです。
しかし今は、疲労が溜まってきたら、トレーニングを休むのが常識です。
筋肉が大きくなるメカニズムについては、以前にも触れました。しかし念のため、もう一度書かせていただきます。
ものすごい大雑把な書き方ですが、筋肉は傷つくことによって強くなります。トレーニングにより、筋肉はダメージを受けます。そのダメージを修復させることにより、筋肉は前より大きく強くなるわけですね。
このダメージを修復する、という過程は非常に大事です。その過程がないと、筋肉は受けたダメージを回復させることが出来ないまま、さらに傷つくことになります。結果、筋肉はどんどん小さく萎んでいくことになるのです。
この小さく萎んでいく状態が、いわゆるオーバートレーニングです。この状態でトレーニングを続けていくと、場合によっては死に繋がるケースもあります。
そのため、ウエイトトレーニングでは鍛える部位を日によって変えます。例えば月曜日は胸、火曜日は脚といった感じですね。
また、これは人によっても異なりますが……最低でも週に一度は、完全に休む日を設けます。そうでないと、肉体だけでなく精神的にも参ってしまいますからね。
格闘技のトレーニングにおいても、同じケースはあります。
毎日サンドバッグを叩いたり、キックミットを蹴ったりしていれば、疲労は溜まります。疲労しきった状態でスパーリングなどしようものなら、ケガの可能性も高くなります。
そのため、最低でも週に一度は休むべきでしょう。
また、試合の翌日は体がボロボロになっています。特に、フルラウンドをバチバチ打ち合った日の翌日はボロボロですからね……これは、休まないといけないでしょう。
これは聞いた話ですが、昭和の格闘家は基本的に休まなかったそうです。毎日トレーニングしていたとか。これは昭和の格闘家が凄いから……ではなく、単純に全体のレベルが低かったからでしょう。レベルが低いからこそ、根性論だけで押し切れた部分はあったと思います。また若い時ならば、休まなくても何とかなってしまうんですよね。
もっとも、そのツケは必ず払うことになります。昭和のアスリートが短命なのも、そのあたりに理由があるように思われます。
実際、現代の格闘家は選手としての寿命が伸びてきていますね。これは、科学的トレーニングの賜物でしょう。昔ながらの根性論トレーニングと違い、適切な休養により選手の能力を効率よく伸ばせるようになったからでしょうね。
また、休養は肉体のみならず精神にも必要です。
ある格闘家は「トレーニングが終わり家に帰ったら、格闘技のことはいっさい考えないようにする」と言っていました。ずっと格闘技のことばかり考えていると、精神的な疲労が溜まってきてしまうそうです。
たまに海外のセレブたちが、南の島で何もせずボーッとしていますが、あれは肉体よりも精神の疲れを癒しているのでしょう。
格闘技もまた、精神的に疲れる部分がありますからね。試合前などはもちろんですが、普段ストイックな生活を続けていると心も疲れてきます。
そんな疲れを癒すために、週に一度は心からリラックスできる日を設ける……これは大事ですね。
ちなみに最近では、ダイエットをする際に「チートデイ」なるものを設けるそうです。チートというと何やら怪しい響きですが、要は週に一日だけ、好きなものを好きなだけ食べる日を設けるらしいのです。これにより、ストレスを上手く逃がすとか。
格闘技でも、このチートデイは必要ですね。たまに格闘技のことを忘れ、好きなように飲み食いし、心の疲れを癒す……そうすることにより、再び活力が戻り、格闘技への意欲が湧いてきます。
このチートデイ、格闘技やダイエットのみならず様々な分野で有効かと思います。もっとも、毎日がチートデイな人には意味がないのは言うまでもないでしょうが。




