格闘のススメ その3
前回は、組み技系格闘技の欠点をさんざん書き連ねました。なので、今回は組み技系格闘技の素晴らしい点、利点について書こうと思います。
まず、組み技の素晴らしい点は……歳をとってからもできる、ということですね。
前にも、このエッセイに登場した早田さんなどは四十四歳ですが、組み技に関してはプロ顔負けの腕前です(打撃も上手いですが)。私もやっていて感じるのですが、打撃技より組み技の方が、体格差や筋力の差をカバーできるのではないか、と思います。本当に、組み技は奥が深いですからね。私も五年やっていますが、まだまだ上達する余地は残っていると思っていますし。ブラジリアン柔術などは、黒帯をとるまでには二十年ほどかかる場合もあるとか……。こんなことを書いてしまうと、逆にやる気をなくされたかもしれませんが。
また、頭を使う部分が多いのも特徴です。例えば……この体勢でどう動き、どんな技を掛けるか? 逆に、この体勢ではどう逃げるか? この技が効かない時は別の技を掛けるか? それとも同じ技を角度を変えて掛けるか? などなど……ある意味、詰め将棋のような攻防もあります。腕力に劣る者は戦術でカバーできるのも、組み技の魅力の一つですね。
さらに、想像力も要求されます。この間合いでは、もしかするとこの技がかかるかもしれない、なんてことを思いつくことにより、上達することもあります。前にも書きましたが、想像力を要求される、という部分において、小説を書くことで想像力を鍛えていらっしゃる皆さんには、組み技系は向いているのではないかと思うのですが。
また、スパーリングという実戦形式の練習があります。相手と一対一で向き合い、取っ組み合って技を掛けたり掛けられたり……という練習なのですが、組み技だと、不思議と相手と仲良くなれます。これはやはり、相手と触れ合うところから始めるからだと私は思います。
相手と触れ合う……イコール、相手のことを受け入れる……そうです、組み技はまず、相手のことを受け入れるところから始まります。まあ正直、上級者同士の試合だと、相手の伸ばした手を払いのけたり、相手を突き飛ばしたりすることも多いですが……練習の基本は相手と触れ合うことです。相手と触れ合うところから始まる組み技は、打撃系と違いギスギスした部分は残りにくいですね。気のせいかもしれませんが、組み技系の方が打撃系より仲良くなれる気はします。
さらに、組み技系は練習を重ねていくだけで、体つきが変わります。相手と組み合い、押し合ったり引っ張りあったりするわけですから……練習を続けていくうちに否応なしに筋肉が付いていき、筋力が強くなります。これもまた、打撃系にはない利点でしょうね。打撃系をやっていても、ある程度は体つきは変わります。しかし、その度合いは組み技系の方が上ですね。ただ、体つきが変わると言っても、練習の量や質、そして摂取した栄養にもよりますので……その辺はきちんと気を配ってください。
最後に、組み技系の格闘技の中での私のオススメは……ブラジリアン柔術でしょうか。格闘技としての強さよりも、やっていて楽しめると思います。奥が深いですからね。技のバリエーションは無限と言っていいでしょう。スポーツとしても楽しめますし、スパーリングをしたあとの爽快感は、他のスポーツでは味わえないものと思います。ただ、柔術着って結構高かったかもしれません。
柔術着を買うのが嫌な方は、総合格闘技のジムに行けば、打撃無しのグラップリングを指導してくれるものと思います。グラップリングでしたら、普通のTシャツとハーフパンツで習うことができます。興味のある方は、ぜひ見学に行ってみてください。




