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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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当たり前のこと

 私、たまになろうのエッセイランキングなんかを見ることがありますが……だいたい上位は変わっていないですね。なろう作品の紹介エッセイ、テンプレ批判などが上位にいます。

 個人的には、これらのなろう特有エッセイはあんまり好きになれないですね。私はなろうのテンプレ作品は好むところではありませんが、批判する気もありません。

 結局、こういったエッセイってなろう内でなければ通用しないでしょうし。まあ、最終的には作者さん次第でしょうが。

 そんなわけで、たまに子育てや動物や銃や社会や時事問題に関するエッセイが上位にいるのを見ると、私はちょっとだけ嬉しくなります。

 そんな中、努力に関するエッセイがランキング入りしていることがあります。「努力は大事だ!」「いや努力しても叶わぬ夢もある!」などなど、たまに感想欄で論争になっているようですね。

 私は基本的には、努力という言葉が大嫌いです。日本人の用いる努力という言葉は、どこか間違った使われ方をしている気がするんですよね。そもそも努力という言葉を好む人たちは「俺って努力してるんだぜ」という努力自慢をしているように感じられますね。私の考えすぎかもしれませんが。

 いずれにしても「努力すれば夢は叶う!」「いや、努力しても叶わぬ夢はある!」という議論は、本当に不毛だと思いますね。




 これまでに何度も書いてきましたが、格闘家にとってトレーニングは「勝つために必要なこと」という意識でおこなっています。

 たとえば医者になるには、相応の知識と技能が必要ですよね。大工になるにも、相応の知識と技能が必要です。何になるにせよ、必要な条件がある、という事実は理解していただけるでしょう。

 格闘家の場合、必要な条件というのが格闘技能、筋力、瞬発力、持久力などなど……それらを得るためには、トレーニングしかありません。「努力したところで叶わぬ夢もある」などという能書き以前に、トレーニングしなければリングに立つことすら出来ません。

 ですから、格闘家は日々トレーニングに励んでいます。試合に勝つためにサンドバッグを叩きキックミットを蹴り、さらにスパーリングをします。そんな彼らに向かい「努力しても叶わぬ夢もある」などと言ったところで「ふーん、そうなんだ。よかったね」と言われるのがオチでしょう。




 これまでに何度も書いていますが、格闘技とは本当に非情な世界です。勝つために、選手たちは日頃から激しいトレーニングをしています。試合が近づくと、トレーニングはさらに激しさを増します。また食べたいものも食べず、飲みたいものも飲まず、計量に備えます。

 そして迎えた試合当日……今までしてきた努力はどうなるでしょうか。

 言うまでもなく、勝者の努力は報われます。が、敗者の努力は……なかったこと、にされてしまうでしょう。

 しかも、勝負は常に実力が上の人間が勝つとは限りません。格闘技は、レベルを上げて物理で攻撃すれば勝てる、という単純なものではないのです。ほんの僅かなミスが原因で敗北することもありますし、下手をすると目に入った一滴の汗が原因で敗れることもあります。

 少なくとも、圧倒的な実力差で勝者と敗者が分かれるということは、そうはありませんね。


 そんな場で闘っているからこそ、格闘家はトレーニングを欠かしません。「闘いとは、思い通りにならぬもの」という言葉がありますが……努力したからといって、思い通りに勝利できるとは限りません。しかしトレーニングをしなければ、そもそも試合すら出来ませんから。

 私は、週に五日トレーニングをしています。一回のトレーニングはまちまちでして、三十分しか出来ない時もあれば三時間やる時もあります。プロから見れば大したことはないでしょうが、楽をしているつもりもありません。

 何のためにトレーニングをしているのかと問われれば、私はこう答えます。次の試合では勝ちたいから……と。試合に勝ちたいならトレーニングするのは当たり前ですね。そこに、努力という言葉を当てはめるのは、ちょっと違う気はします。




 ここまで書いてきましたが……目標があるなら、その達成のため必要と思えることをするのは当然でしょう。毎日キツい思いをして、時には周囲から「あいつ何をやってんだ」と奇異の目で見られることもあるでしょう。しかし、目標達成のために必要ならば、やらなくてはなりません。

 その当たり前のことに、いちいち理論武装しなくてはならない……そんな人間には、夢を見る資格すらないと思います。







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