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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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休んでいたツケ

 かつて私は、「病弱な武術家の実力は信用できない」という意味のことを書きました。

 そんな私ですが、年末年始は病に倒れておりまして……一週間ほど寝たきりでした。さらに色んな事情が重なり、二週間以上トレーニングが出来なかったのです。




 さて、ゴタゴタが片付き、私はようやくトレーニングを再開しました。しかし、驚きましたね。いろんな部分がガタ落ちだったのです。

 例えば、ミット打ちをやれば……「赤井さん、パンチ弱くなりましたね」と、パンチを受けてくれたトレーナーに言われました。僅か二週間のブランクで、パンチ力が落ちてしまったのです。

 その後、私はサンドバッグを蹴りました。すると……足がめちゃくちゃ痛いんですよ。足の甲からスネの部分が、ちょっと蹴っただけでじんじん痛みましたね。

 今まではサンドバッグやキックミットを蹴りこみ、私のスネは多少は強くなっていました。しかし二週間のブランクにより、一気に弱くなってしまったわけです。これでは、素足で人など蹴れません。

 さらに、寝技のスパーリングもしましたが……冗談抜きで、三分間しかスタミナが持ちませんでした。それを過ぎると、やる気はあっても体がついてこないんですよ。その上、終わった後はゲロ吐きそうな気分でした。

 要するに、二週間トレーニングから遠ざかったことにより……私の身体能力はそこらのメタボなおっさんと大して変わらないくらいに低下していたのです。




 格闘家は、ケガや病気にならないよう健康面に気を使います。それは、病気になったりケガをしたりすれば、確実に弱くなるからです。

 仮に、季節の変わり目になると必ず風邪をひき二週間ほど寝込む選手がいたとします。はっきり言って、こんな選手はチャンピオンにはなれないでしょうね。

 季節の変わり目ごとに風邪をひいていたのでは、トレーニングの効果も発揮できません。そもそも、トレーニングは毎日の積み重ねが大事です。一日あたりのトレーニングの効果は微々たるものですが、それを積み重ねていくことにより、地に足のついた実力を得られます。

 しかし病気ばかりしている人は、トレーニングを積み重ねていくことが出来ません。言ってみれば、一歩進んで一歩下がっているような状態です。これでは、いつまで経ってもレベルは上がりません。

 ケガについても、同じことが言えます。まあ格闘技には、ケガを避けて通れない部分がありますが……それでも、日頃よりケガをしないように気を配っております。理由は、病気と同じくケガをしたら弱くなるからです。

 格闘家がトレーニング時間を短くする理由、その一つがケガを避けるためです。集中力が切れた状態で長時間トレーニングしていると、ケガのリスクは格段に高まります。

 昔の武術家の中には、朝から晩まで鍛練していた……などと伝えられたりしていますが、それが必ずしも効果的だとは思えないですね。むしろ、トータル的な視点から見ればマイナス面の方が大きいでしょう。




 格闘技の知識が無い人は、とかく技の知識や武勇伝などを声高に語る人ばかりを高く評価しますが……病気やケガをしないという能力の方が、もっと高く評価されるべきだと思うんですよね。

 実際、日本では皆勤賞なるものがあります。病気やケガをしないという能力を評価して与えられる賞ですが……格闘技の世界でも、この部分は非常に大切です。

 特に人気選手の場合、病気やケガで試合を欠場するとなると様々な人間に迷惑をかけます。下手をすれば、前売り券のキャンセルが相次ぎ会場はガラガラ……という事態すらありえますから。これは、興行としては失敗です。


 また、何かにつけ「実戦性」などといった言葉を持ち出す武術家にとっても、病気やケガは避けるべきものでしょう。というより、そうした「我々は常に戦いを意識している」などと広言している武術系の人たちの方が、病気やケガには気を配るべきなのですが……どうも、そうした人たちの方が病弱な気がするのは気のせいでしょうか。

 昔の時代劇などには、病弱だが凄腕の美剣士……という設定のキャラがいたようですが、病弱と凄腕というのは確実に相反する要素でしょうね。まあフィクションなら仕方ないですが、リアルでは病弱な達人などいません。

 などと偉そうなことを書いている私も病気のため弱体化し、まず今は以前のレベルに戻すためトレーニングに励んでいる最中なのであります。皆さんも、くれぐれも健康には気を付けてください。昭和生まれのおっさんたちのように、ケガ自慢などしても何の役にも立ちませんので……。







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