格闘のススメ　その２

　今回も前回と同じく、格闘技を始めてみようかな……と思っている人たちへのアドバイスをさせていただきますので、よろしくお願いします。

　まず、格闘技をやったことがなく、格闘技の知識が０の人のために説明しますと、格闘技は大きく三つに分けられます。

　一つは、殴ったり蹴ったりする打撃技が中心となる打撃系格闘技です。ボクシング、キックボクシング、空手、ムエタイなど……一頃に流行ったＫー１も、打撃系格闘技です。

　もう一つ……それは組技系格闘技です。グラップリングとも呼ばれています。相手と組み合い、押したり引いたりする攻防がメインになります。そこから、場合によっては関節技や絞め技などに移行することもあります。柔道やレスリングなどが代表的なもので、ブラジリアン柔術などもここに入ります。相撲には張り手という打撃技があるのですが、基本的に組み技が主体なので、こちらに入れてもいいと思います。

　三つ目は……打撃も組み技も両方やる格闘技です。総合格闘技が代表的……と言っていいかわかりませんが、一応は有名なのではないでしょうか。日本拳法もそうですが。護身術も、この三つ目に分類されるものと思います。

　格闘技を始めるとなると、この三つの中から何をやるか選ばなくてはならないわけです。しかし、ここで幾つか問題が出てきます。　まず一つは、組み技が生理的に嫌、という人がいることです。

　汗だくになった男同士が抱き合い、上になったり下になったり……一体どんなプレイだよ！　と思う方もいるかもしれません。ましてや、柔術などでは、上になった相手の腰のあたりに両脚を巻き付ける体勢があります。これはクロスガード、もしくはクローズガードといい、立派な防御技術なのですが……こういうのが嫌いだ、という方もいるでしょう。

　さらに、女性の場合ですと深刻な問題があります。前にも書きましたが、組み技を女性がやる場合、他の女性会員がいないとどうなるか……汗だくの男と組み合って練習することになるのですよ……。高校や大学の部活動ならともかく、一般向けの道場やジムにおいては、これは本当に良くないと思いますね、私は。汗だくになった男と取っ組み合い、上になったり下になったり……こんな状況、ほとんどの女性は嫌なはずです。男であり、何度となく取っ組み合ってきた私も、たまに相手のしたたり落ちる汗が目に入ったりすると……正直うがあ！　となります。ほんの一瞬ですが。

　一度、そのことについてジムのプロ選手（男）と話したことがありますが「そんな事は考えない。練習中は男女とか意識しない」と言ってました。いや、それはあんたがプロ選手だからだよ……とは言えませんでしたが。やはり、格闘技の世界にどっぷり浸かってしまうと、当たり前の感覚というものが壊れていくようで……まあ、おかしいのは私の方なのかもしれませんが。

　どっちがおかしいかはさておき、そういうのが嫌な人は組み技系格闘技をやるのはやめた方がいいでしょう。

　ちなみに、私の所属するジムでは、組み技を練習する時間には……女性は全く来てません。と言うより来なくなりました。以前は来ていたのですが。これはやはり……男と取っ組み合うのが嫌だからではないだろうか、と思います。仮に本人は良くても、彼氏や夫のいる方などはどうなのでしょう。男性にも聞きたいですが、皆さんの彼女や奥様が、夜な夜な他の男と取っ組み合い、上になったり下になったりしていたら……あまりいい気分はしないのではないでしょうか。考えすぎかもしれませんが。

　あと、もう一つ嫌な点があります。それは……続けていくと、耳が潰れることです。実際、キャリアが二年を超えると……半分以上の人が「ギョーザ耳」になります。私はそこまでひどい状態ではありませんが、耳たぶに触ると、妙な感触があります。何かの塊が埋め込まれているような……もっとも、パッと見ではわからない状態なので、まだマシなのでしょう。やっぱり、ほとんどの方がギョーザ耳になりたくないと思うでしょうね。これもまた、組み技系格闘技を続けていく上で避けては通れない部分です。

　ちなみに、耳たぶの柔らかい人は耳が潰れにくいです。耳たぶの上の部分に人差し指、下の部分に親指を当て、つまむような感じで耳たぶを曲げてみてください。上と下がくっつくくらい柔らかい人は潰れにくいです。

　いろいろと悪口を書きましたが、組み技系格闘技には素晴らしい魅力もあります。その点については……次回でまた。今回はここで閉めさせていただきます。