覚えるには、時間がかかります
最近(二〇一七年の十一月)、地元のローカル局でウルトラマンレオが再放送しております。若い人たちの中には、内容を知らない方も少なからずいると思われるので簡単に説明しますと……根性・努力・闘魂で勝利する、極めて異色なウルトラマンなんですよ。
特筆すべきは、やはり前半の展開ですね。レオは何度か、怪獣や宇宙人に敗れるのですが……モロボシダン隊長の課したとんでもない特訓の末、新しい必殺技を編みだしリターンマッチで敵を倒します。まるで故・梶原一騎先生が脚本を書いているようなストーリーなんですよね。
戦って一度は敗北した相手を倒すため、特訓に特訓を重ね、リベンジで勝つと言うスポ根ストーリーをウルトラマンでやるという、極めて異色なウルトラマンレオ……その魅力を語りたいですが、格闘技とはズレるので、このへんにしておきます。
昭和のスポ根マンガの特訓メニューには、同じ動きを長時間繰り返す……というものがあります。
個人的には、ただ時間を費やすだけのトレーニングには意味がないと思っております。この場合、下手をすると単なる自己満足になってしまう可能性もありますから。「俺はこんな長時間のトレーニングをしたんだ」という……これは、いい傾向とはいえません。
実のあるトレーニングをするためには、だらだら時間をかけるより、短時間に集中して行う方がいいのは間違いないでしょう。
ただし、新しい技を覚える時には反復練習が必要です。コツコツ時間をかけて動きを何度も反復し、動きを体に覚えこませる……この過程は、絶対に必要ですね。
ここで注意しなくてはならないのは、本や映像などで見ただけの技や動きを反復練習することです。エクササイズとして行うのなら構わないですが、本格的に格闘技に取り組みたいと思うなら、やめた方が無難でしょうね。間違った動きを身に付けてしまう可能性が高いですから。
一度、間違った動きが身に付いてしまうと……修正するには、かなりの時間が必要です。もし本格的に格闘技をやりたい、あるいは技を学びたいのであるなら、我流の練習はやめた方がいいでしょう。
また、反復練習は大事ですが……疲労困憊している時もやめた方がいいです。疲れている時に無理して練習すると、これまた間違った技術が身に付いてしまう可能性がありますから。
一口に蹴りといいますが、空手の蹴りとムエタイの蹴りは違います。また、同じ空手でもフルコンタクト(直接打撃制)の突きとノンコンタクト(寸止め)の突きは違いますね。これらの技はルールに合わせて、独自の進化を遂げました。それゆえ、どちらの技が強い? などと比べるのは意味のないことです。どちらにも、優れた部分がありますね。
さて、今までフルコンタクトの空手をやっていた選手が、キックボクシングに転向したとしましょう。
この場合、まずルールの違いを理解し、そこに自身のスタイルを合わせる必要があります。たとえばフルコンタクト空手は、基本的に顔面へのパンチがありません。そのため、キックボクシングと比べると近い間合いでの攻防が多いです。
また、グローブをはめてのパンチと素手の突き、空手流の中段回し蹴りとキックボクシング式のミドルキック(正確にはムエタイですが)などなど、違う点は多いですね。
同じ突き蹴りを主体とした打撃系の格闘技とは言っても……空手からキックボクシングに転向するとなると、全てにおいて切り替えなくてはなりません。極端なことを言うなら、これまで培ってきた技術を捨て、一からやり直すくらいの覚悟が必要です。
ところが、いったん覚えてしまった技を捨て去るのは難しいですね。そこで大切なのが反復練習です。いったん身についた空手流の打撃技を捨て、キックボクシング流の打撃技を習い覚えていく……それには、とても時間がかかりますね。
しかし、コツコツと時間をかけて体に覚えさせていくしかありません。この体で覚えていくという過程は大事ですし、また重要でもあります。はっきり言って地味でつまらない練習ではありますが、こればかりは近道はないですね。




