格闘のススメ その1
若い人と話していて、たまに聞かれる、そして……返答に困る質問として「格闘技は何が一番強いんですか?」というものがあります。
この質問に対する答えとしては……
◎それは状況にもよるから、一概には言えない。
◎何をやろうが、最終的にはその人の強さが問題となってくる。何をやろうが、強い人は強いし、弱い人は弱い。
◎とりあえず「古式武術」もしくは「戦場格闘技」と言っておく。
◎正直に「わからない」と言う。
こんな感じで答えますかね。いやあ、正直言うと、本当に答えようがないんですよ。
格闘技好きな人や経験者なら、そう言えばわかってくれるのですが(それ以前に、そんな質問はしてきませんが)、わからない人に説明するのは難しいです。いや、時には経験者ですら、似たようなことを言い出します。ある格闘技経験者の漫画家さんは……「球技と違い、格闘技は闘うという点において同一線上に並べられる。したがって、一番強い格闘技は何か、と考えることは当然のことだ」という意味のことを言っておられました。私は、それは違うだろ、と思いますが……まあ、間違いとも言い切れないのかもしれませんね。
そして、もう一つ聞かれる機会の多いのが、オススメの格闘技は何? という質問です。この質問に関しては、私は全力で答えていきたい! と常に考えています。今回はオススメの格闘技について語らせていただこうか、と。
いきなりですが、今のオススメの格闘技はブラジリアン柔術……などと前に書いてはいますが、実は特にこだわってはいません。ある程度の年齢に達し、常識のある方なら、好きなものを習えばいいと思っています。前に私は、護身術に対し否定的な文を書きましたが、護身術を習いたいと思う人を止めるつもりはありません。とりあえず興味を持ち、やってみたいと思ったものがあるのであるなら、始めてみればいいというのが、今の私にできるアドバイスですね。
実は種類や流派よりも、大事なことがあります。
それは……前にも書きましたが、道場・ジムの雰囲気です。
こんなことは書きたくないのですが……格闘技のジムの中には、トレーナー、選手そして会員ともにチンピラ……としか表現しようのない者たちが所属している所もあります。体の至るところにタトゥーを入れ、強面で、試合前には相手にガンをくれるような態度で睨みつける……良くないと思いますね、私は。プロなら演出として仕方ない部分もありますが、アマチュアでこういう態度をとるというのは……私は違うと思います。残念なことに、総合格闘技にはこういう者が少なからずいるのですよ。アマの試合などで、たまに見かけるのですが、明らかにチンピラのような態度の集団がいます。歴史が浅いせいかも知れませんが……こんな状況なので、私は総合格闘技を、胸を張って皆さんにオススメすることはできません。
話が逸れましたが、とにかく、まずは見学してみましょう。そして可能であるなら、無料入門体験をしてみましょう。そうすることによって、道場・ジムの雰囲気が見えてくるものと思います。さらに、ネットなどで事前に道場・ジムの評判などを調べるというのも一つの手かもしれません。
とにかく、道場・ジムの雰囲気というのは、何をやるか、よりも重要です。居心地のいい道場・ジムに入れば長続きします。逆におかしな所に入ると、確実に不快な気分になります。かえってストレスが溜まるかもしれません。人によって、合う雰囲気と合わない雰囲気もあるでしょう。そのあたりを、事前にじっくり調べて欲しいです。
さらにもう一つ、重要なポイントがあります。それは……家から近いこと、あるいは学校や職場から近い位置に道場・ジムの場所があることです。
やはり、行き帰りにえらく時間を食うのでは、生活に支障が出ますし、やる気も失せます。さらには、雨が降ったり風が強かったり……などといった、ちょっとした天候の不順により、行く気がなくなることもあります。こういうストレスを少しでも軽減し、長続きさせるためには、できるだけ普段の生活に密着させやすい場所にあるのがいいのではないだろうかと。昔、会社の行き帰りに電車の窓から眺めていたダンス教室に入会し、ダンスにのめり込み、そして社交ダンスの大会に出るまでになったサラリーマンを主人公にした映画がありました(ハリウッドでリメイクもされた、あの映画です)。そのサラリーマンも、会社の行き帰りに通えるような場所にダンス教室がなかったら、ダンスは続かなかったのではないだろうか、と私は思います。
季節も春……ということで、環境の変わる方もいるのではないでしょうか。新しいことを始めるには、ちょうどいい時期かもしれません。なので今一度、初心に返り、一般の方が格闘技を始める際に気を付ける点についてのアドバイスを徹底的にやろうか、と思いました。なので、次回も続けます。じっくり考え、そして書いてみようかと。このエッセイを読み、一人でも多くの方に格闘技を始めて欲しいので。
次回に続きます。




