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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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努力という言葉をありがたがる人

 突然ではありますが……日本のとあるコメディアンが、こんなことを言っていたそうです。


「努力なんて言葉は、死語にするべきじゃないだろうか。そもそも努力なんて、生きていれば普通にしているもののはず。努力という言葉をありがたがるのは、努力してない奴ばかりだ。しょせんは、逃げの言葉だよ」


 皆さんは、この言葉をどう感じたでしょうか。まあ、どう感じるかは人それぞれです。肯定する人もいれば、否定する人もいるでしょう。




 以前から何回も書いておりますが、格闘家にとって努力とは「して当たり前」のことです。これは、体格差が格闘技にとって重要な要素であるという事実と同じく、私が皆さんに伝えたいことなんですよ。

 プロの格闘家たちは皆、ハードと表現することすら生ぬるいような練習をしています。また、それが当たり前だという感覚です。俺は努力しているんだ、という意識は……本人の中ではないでしょうね。

 実際、ある格闘家に「よくあんなキツいトレーニング出来ますね」と言ったところ、その人はこう言いました。


「そうしないと、勝てないですからね」


 格闘家にとって、トレーニングはあくまでも「勝つために必要なこと」なわけです。

 たとえるなら、毎日一時間かけて歩いて学校に通う小学生がいたとします。その小学生は、自分のしていることを努力とは思わないでしょう。なぜなら、小学生は歩かなければ学校に行くことは出来ません。学校に行くため、必要なことをしているだけです。

 果たして、これを努力と呼べるでしょうか?


 当たり前の話ですが、目標を達成するためには様々な課題をクリアしなくてはなりません。我々が日々なにげなく行なっている雑事にしても、様々な段階があります。学校や仕事に行く、それだけでも色んな段階をクリアしているはずですね。

 プロの格闘家も同じです。勝つために必要なことをやっている、それだけです。そこには、自己啓発本や勘違いした人間の口にするような「努力」などという概念は存在しません。

 勝つために練習するのはごく当たり前のことです。またジムや道場での練習以外にも、様々なことにトライしてみるのも誰しもがやっていることです。

 そう考えていくと、結局のところ努力って何なんだろう……という気分になってきますね。個人的には、努力の大切さを教えるのは小学生か中学生あたりまでかと思います。義務教育を終えたら「努力なんか、して当たり前なんだよ」という教えに切り替えていくべきかと。


 格闘技には、本当に非情な一面があります。どんなにハードなトレーニングを積み重ねて試合に挑んでも、たった一発のパンチで全てが終わることもあります。しかし、それを承知の上で……ハードなトレーニングを積み重ねます。「努力しても無駄」などという、甘えた考えの介入する余地などありません。そもそも、そんな人間は格闘技なんかやらないでしょうが。


 ここまで色々と書いてきましたが、結局のところ私が言いたいのは、格闘技を体験してみませんか? ということです。

 はあ? と思われた人もいるかもしれません。しかし、格闘技を始めると……努力はして当たり前、というスタンスで日々生きている人たちと触れ合うことになります。

 まだ無名でありながら、ゲロを吐いて倒れてしまいそうなハードなトレーニングをこなしていく若き格闘家。普段はサラリーマンでありながら、一文の得にもならないアマチュアの試合出場のために減量しトレーニングを続けるおじさんたち。こうした人たちの姿を間近で見るだけでも、何らかの刺激を得られるものと思います。

 「君たちに夢はあるか? あるなら努力だ! 努力は大切だ!」的な主張を繰り返している自己啓発本モドキを読むよりは、格闘家(でなくても大きな目標に向かっている人)と直に触れ合う方が、人生の肥やしになってくれるのではないでしょうか。


 最後に、冒頭のセリフは明石家さんまさんの言葉です。皆さんがどんな感想を抱くかは人それぞれですが、私は間違いではないと思います。自分に出来る範囲の努力すら怠るような人間に、幸運の女神が微笑むことはないでしょうから。







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