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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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続・始める前は忘れずに

 私は基本的に、一子相伝のような怪しげな武術を信用していません。何故かと言いますと、競技者の絶対数が少ないからです。

 これは格闘技に限らず、どのようなスポーツでもそうですが……競技人口の少ない所というのは、技術的な進歩が無いんですよね。「闘いなくして変化なく、変化なくして進歩なし」という言葉がありますが、僅かな人数で練習していると……本当に進歩が無いんですよ。

 例えば、身長が百九十センチで体重が百キロあるAさんという人が、何かの武術を始めたとします。しかし、その武術の道場には三人しかいませんでした。しかも、みな小柄な人ばかり……これでは、まともな練習が出来ません。Aさんは、その道場ですぐに最強になってしまうでしょうが、それが本物の実力かというと疑問です。

 余談ですが、昔バラエティー番組で元プロ野球選手のギャオス内藤さんがガレッジセールのゴリさんと柔道の試合をしているのを観たことがあります。内藤さんは柔道は素人のようでしたが(違ってたらすみません)、身長が百九十センチ近く体重も百キロ近い巨漢です。ゴリさんも素晴らしい運動神経の持ち主でありますが、内藤さんには手も足も出ませんでした。まあ、プロ野球選手は日本でも屈指のフィジカル・エリートですので当然かもしれませんが。


 格闘技の練習、特にスパーリングのような対人の練習は、色んなタイプの人とやらなくてはなりません。でないと、本当の実力は付きませんから。

 また競技者が多ければ多いほど、大会の規模も大きくなります。そうなると、必然的にマスコミに取り上げられる機会も多くなります。結果、競技者のモチベーションもさらに高まっていくわけです。これは言うまでもないことでしょうが、注目されれば人間は否応なしにやる気は高まりますから。

 つまり、競技者の多い所はマスコミに取り上げられる機会も多くなり、必然的にますます競技人口が増えていくわけですね。


 これが、一子相伝の怪しげな拳法だったりすると……まずは、技術の進歩がありません。ずっと同じ人と練習しているのですから、技術の幅が極端に狭くなります。そうなると、想定外の事態が起きた場合は対処できません。

 実際、闘い方というのは相手によって変わってきます。極端な話ですが、セーム・シュルト(身長二メートル超)に対する闘い方とマイク・タイソン(身長百八十センチ)に対する闘い方とでは、まるきり違うのは分かりますね。シュルトは長身とリーチの長さを活かしたファイトスタイルなのに対し、タイソンは凄まじいスピードとハードパンチを活かしたスタイルです。異なるタイプには、異なる闘い方をする……格闘技をやる者にとって、これは常識です。

 ところが、同じ人間とだけ練習をしていたのでは、必然的に同じような内容の練習しか出来ません。ですから、技術は一定以上は伸びないでしょうね。

 また、練習に対するモチベーションを保つことも難しいです。これは格闘技あるあるですが、同じ人とばかり何度もスパーリングをしていると、何か嫌になってくるんですよね。飽きる、という言い方が適切かどうかは分かりませんが「おいおい、またコイツしかいないのかよ」という気分になるんですよね。別に、その人が嫌だという訳ではありません。ただ、変化が欲しくなるんですよね。これは、経験者でなければ分からない感覚かもしれませんが。

 さらに、練習は強い人とだけやればいいというものではありません。時には弱い人とやるのも、いい勉強になります。これまで使ったことの無い技、習ったばかりの攻撃パターンなどを弱い相手に試してみるのも必要です。


 格闘技を続けていると……モチベーションが低下してくる時もあります。何の目標もなく、来る日も来る日もひたすら地道な練習を続けていく訳ですからね。途中で嫌になることもあるかもしれません。

 そんな時には、新たな目標を見つけてトライしてみることが大切です。試合に出場する、昇級審査や昇段審査にトライする、などというような目標があると、練習にも新たな気持ちで取り組めるかと思います。

 ところが、そういったシステムのない流派もあるんですよね。競技人口が少なすぎて、大会が開けない。あるいは段級のシステムそのものが存在しないものもあります。

 ちなみに昔、何かの本で読んだのですが……とある武術の先生が、こんなことを言っていました。


「段級があるのは明治以降の武術であり、当会には存在しない。(略)入門時には面接をして、話をして理解してもらうことから始めている。今のスポーツ格闘技の感覚は捨て去ってもらいたい。(略)武術とは本来、一生を費やして学ばせてもらうものである。教えてもらうのが当たり前という感覚は捨ててもらいたい。(略)最終的に武術は死ぬために学ぶものであり、この考え方が理解できない者に入門は許可できない」


 この先生には、この先生なりの考え方があるのでしょう。私はそれを否定するつもりはありません。ただし、普通の人には受け入れ難い考え方であるのも確かです。平成の世の中であっても、こういう人もいる……ということは、知っておいて損はないかと。


 話がずれましたが、格闘技を始めるならば、なるべく大きく人の多い場所を選んだ方が良いかと思います。まあ会員が多い場所にも、それなりに厄介な点はありますが……会員が少ない場所だと、せっかくジムに来てみたのに自分一人しかいない、という事態もあります。また会員の多いジムは、多いなりの理由もあります。会員にとって居心地のいい環境を作る……これは大切ですね。

 そんなわけで、格闘技を始めるなら人数の多い場所を……まあ、ここで偉そうに書くほどのことでもないかもしれませんが。







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