始める前は忘れずに
四月になりました。過ごしやすい陽気になり、外に出る機会も増えますね。もっとも私は出不精なので、基本的に用が無い限り外出はしませんが。
もし仮に、私が無職になり格闘技もトレーニングもやめてしまったら……かなり恐ろしい事態になるでしょうね。面倒くさがりの私は、まず家から一歩も出なくなるでしょう。次いで、体を動かさないので何も食べなくなります。最後には、家の中で餓死しているところを発見されるかもしれません。
そう考えると、否応なしに自分を律しなくてはならない環境というのは、意外とありがたいものなのかもしれませんね。
さて、四月ともなると格闘技を始めるにもいい時期でしょう。過ごしやすい陽気の上、環境もいろいろと変化します。ならば心機一転、格闘技を始めてみるのもよいのではないでしょうか……と、いささか強引ではありますが、今回はこんな感じで始めさせていただきます。
今の格闘技ジムや道場には、一日体験コースがある……というのは、前にも書きました。昔は無料だったそうですが、最近では、ほとんどのジムが千円から二千円ほどかかるそうです。世知辛い世の中になりましたね。もっとも、入会した場合は返金されるそうですが。
格闘技のジムや道場を選ぶ時には、きちんと吟味する必要があります。したがって、一日体験コースが無料であるジムにはどんどん行って体験していただきたいのですが……たとえ二千円でも、金がかかるとなると二の足を踏んでしまいますよね。
そうなると、まずは見学ですね。中に入ったら、しばらくは中の雰囲気をじっくり観察しましょう。これは大事です。ジムや道場には、それぞれの特色があります。一般人の多い所、若い人の多い所、女性の多い所、学生の多い所、などなど。こればかりは、中に入ってみないと分かりませんから。
こういうことは、あまり書きたくはないのですが……同じジムに所属しているインストラクターでも、その質にはばらつきがあります。インストラクターによっては、ろくに指導もせずにほとんどの時間スマホを見ている者もいるとか。
まあ、さすがにそれは論外ですが……態度の悪いインストラクターはいます。「俺は偉いんだ」とでも言わんばかりの態度で、失礼な物言いをする者もいるとか。これなどは、体育会の悪しき側面だと思うんですよね。格闘技の世界では自分は先輩であり、会員たちは後輩である……そんな意識が、どこかにあるのではないかと。
もっとも、その場合は他のインストラクターのいる日に行くようにすればいいだけですが、そのあたりの調整が利かない時はキツいですよね。まあ、あまりにも酷い態度であるならジムを変わるのも仕方ないかもしれませんね。
また、ジムの特色も大事です。初心者でも問題ないような、和気あいあいとしたムードを重視しているか。あるいは、真剣な連中が集まりガチの練習を重視しているか。そういった点は、入る前によく確認しておきましょう。
特にプロ志望の若者は注意が必要です。一般人、それも初心者しかいないようなジムでは……あっという間にスパーリング相手に不足することになるでしょうね。まあ、基本的にインストラクターは高い技量の持ち主ではあります。そのため、インストラクターとスパーリングをしていれば問題はないでしょう。ただ、同じ人間とばかりスパーリングをしていると、結果としてそのスパーリング相手にのみ特化した強さになってしまう恐れはあります。
特に体の大きな人は、ジム選びに関してはきっちりとした方がいいでしょう。実際、ジムによっては六十キロから七十キロくらいの人しかいないような所もあります。仮に百八十センチで九十キロもあるような人の場合、小さなジムだと同じ体格のスパーリング相手がいない……というケースも考えられますね。
この「同じ体格のスパーリング相手がいない」というのは、かなりシャレにならない事態なんですよ。体の大きい人は小さな人が相手だと、特に技など使わなくても勝ててしまいます。同じくらいのレベルの人が相手だとなおさらです。そのため、俺は強いという誤った自信を付けてしまいます。まあ、確かに強いと言えば強いのですが。
ところが、いざ試合に出て同じくらいの体格の者と闘ってみると……自分のこれまでやって来た力ずくの攻めが、全く通用しないことを知らされます。この時になって、初めて己の弱さに気づかされる訳ですね。
ですから、体の大きな人は慎重にジムを選びましょう。特にプロを目指すのであれば、出来るだけ有名で大きなジムに通った方がいいです。
余談ですが、昔は大型の選手が少なかったため、ボクシングやキックボクシングの重い階級の選手は苦労したそうです。しかし今は日本人の体格も向上し、大きな人も増えています。有名なジムなら、スパーリングの相手には困らないでしょう。
四月というのは、格闘技を始めるのにはちょうどいいかも知れません。ただ、ジムなり道場なりに入会する前には、きちんと調べておきましょう。でないと、入ってから後悔することにもなりかねませんので。




