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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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ローキックはとても痛いのです

 先日、あるお気に入りユーザーさんの活動報告を見ていたら……このようなコメントをされているユーザーさん(便宜上Aさんとします)がいました。


「巨大キャラの足を攻めて倒せる、というのが納得いかない。(略)君は足を蹴られ続けたら死ぬのか、と言いたい」


 恐らく「足を蹴られ続けたら」というのはローキックのことを指しているのでしょうが……なるほど、と私はAさんのコメントを見て思いました。要は格闘技の経験や知識の無い人にとって、相手の足を蹴る「ローキック」という技は効かない小技、という認識があるようですね。

 そこで今回は、ローキックという技について詳しく語ります。一見すると地味な、ローキック……しかし、その効果は絶大です。ちなみに勘違いをされては困るのですが、私は件のAさんとは何の関係もありませんし、交流もしていません。私の交流のあるユーザーさんの活動報告に、Aさんがコメントしていただけですので。


 若い人はもはや知らないかもしれませんが、かつてボブ・サップという格闘家がいました。身長は百九十センチ超、体重も百五十キロ以上ある大型選手です。圧倒的なパワーと突進力を活かしたファイトスタイルで、ミスターパーフェクトと呼ばれたアーネスト・ホーストという技巧派のキックボクサーをKOしたこともあります。

 ある元キックボクサー(現役時代はミドル級)が、このボブ・サップと闘ったらどうするか、と聞かれたのですが……苦笑しながら、こう答えました。

「体格差がありすぎて、まともな試合にならないですが……もしやれと言われたら、ローキックで徹底して足を攻めます。それ以外に、闘う手段は無いですね」


 ローキックという技は、素人目には大した効果があるように見えないかもしれません。事実、空手やキックボクシングの試合でも、ローキックで決まるケースはあまり無いですね。そのため、一般の人には「ローキック=効かない技」というイメージがあるのかもしれませんね。一発KOできるハイキックのような派手な技に比べると、見た目のインパクトは劣るのは確かですが。

 しかし、そのイメージは完全に間違いです。ローキックという技は、一発で致命傷を与えることも可能な技なのです。

 以前にも書きましたが、私の通うジムには、森さん(仮名です)という方がいます。森さんは元プロのキックボクサーであり、空手の黒帯も持っています。

 この森さんのローキックの威力たるや……たった一発で、素人を沈めることも可能ですね。私は週に一度、森さんとガチに近いスパーリングをやりますが、酷い時には三分のスパーリング中に五回ダウンさせられたことがありました。全て、ローキックによるダメージです。

 ちなみに森さんは以前、ニコニコしながら「赤井さんが相手だと、ガチでローを打ちこめるから気分いいです。他の人だと、手加減しないといけないですからね」という意味のことを言っておりました……正直、恐ろしく痛いですが。


 強烈なローキックをまともに食らった時……その痛みを簡単に説明しますと、足をプレス機で潰されたような感覚ですね。強いローキックを食らうと、痛いというよりジーンと痺れます。次いで、足の踏ん張りが利かなくなります。下手すると、立っているだけでも痛みが走るほどです。


 ローキックの長所は、何と言っても威力とやり易さでしょう。蹴りの中でも、単純に威力だけを考えたら、ローキックこそが最強です。ハイキックは見た目こそ派手ですが、下手な人間が放つと「ペチン」という威力の無い蹴りになります。KOできるようなハイキックを打つには、かなりの練習が必要です。

 もっとも、上手く体重を乗せたローキックを放つにも練習が必要ですが……少なくとも、ハイキックのような柔軟性は要求されません。自分より身長の高い相手の顔面にハイキックを命中させるのは難しいですが、ローキックならば簡単です。いや、簡単というと語弊がありますが(パンチを合わせられる可能性がありますので)、少なくとも当てることは可能です。

 仮に、故アンドレ・ザ・ジャイアントのような巨漢(二メートル二十センチを超える身長)が相手でも、ローキックなら当たるわけです。

 余談ですが、前田日明さんはプロレスラーだった頃、このアンドレ・ザ・ジャイアントにプロレスの暗黙のルールを無視した、ガチの喧嘩マッチを仕掛けられたそうです。前田さんは、アンドレの巨体に強烈なローキックを何発も叩き込み、アンドレの戦意を喪失させたとか。

 このアンドレは体重も二百キロを超えており、ガチで闘ったら最強と言われていた時代もあったそうです。そんなアンドレを戦意喪失させた一因が、前田さんのローキックでした。ローキックはジャイアントキリングにも使えるということです。

 もっとも、この当時のアンドレは年齢的にも峠を超えており、また長年に渡る不摂生が祟ってコンディションも良くなかったとか。もし両者が全盛期の頃にガチで闘っていたらどうなっていたのか、ちょっと興味はあります。ただ、それはプロレスラーとしては、やってはいけない試合な訳ですが。


 格闘技の試合でローキックが当たっても、選手は痛そうな顔をせずに反撃しています。しかし、実際に効いていないわけではありません。プロ選手は皆、効いている技でも効いていないような素振りをします。ローキックが当たって痛そうな顔をする、それだけで判定に大きく響く訳です。そのためプロ選手は、基本的に効いていても顔には出しません。

 またローキックをもらう寸前、ポイントを微妙にずらしダメージを最小限にする技術もあります。強烈なローキックを食らっても試合が続行できる……それはプロだからこそ出来ることなのです。

 素人なら、よほど体格差が無い限りプロ選手のローキック一発で倒せます。下手をしたら、その一発でショック症状を起こす可能性すらあります。ローキックという技は一見すると地味ですが、強烈な威力を秘めているのです。それだけは忘れないでください。とにかく、ローキックという技を素人目で判断しバカにするのだけは勘弁していただきたいものですね。







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