CRUXさん
申し訳ありません。今回はちょっと今までと違う、個人的な話、そして、とある作家さんの話をさせていただきます。
私がこちらにユーザー登録したのは去年の十月でした。ある作品を読み、その感想を書きたいがために登録したのですが、やがて自分でも書いてみたくなり、作品を投稿するようになりました。
しかし、まあ人気なかったですね。
当時、私の作品にはお気に入り登録が一つもついていませんでした。PVも……確か当時は、一日百いったことは無かったですね。最高で五十くらいでしたか。感想もまた、一つももらえていませんでした。さしずめ、超底辺なろう作家でしょうか。まあ、今も大差ないですが。
ですが、私は懲りずに書き続けていました。さらに、いろんな作品を読み、これは! と思った作品には感想を書いていました。
そんな時です。『ウラミチノサキ』という名作と出会ったのは。
私はこの『ウラミチノサキ』を読み終えた時、得体の知れない感動に襲われました。そして、突き動かされるように感想を書いていました。
そして何日か経ったある日、返信が来たのです。
そこには、こう書かれていました。
「現在、貴作品も拝読させていただいております。自分とは違う筆圧に圧倒されながら、読ませていただいている次第です」
この返信文を読んだ時の私の気持ちは――
圧倒されている、だと……。
こんな名作を書いている人が、オレの作品に圧倒されている……。
オレすげえ!
はい、こんなことを考えておりました。バカですねえ……。
しかし正式な感想ではありませんが、作品に対するお誉めの言葉をいただいたのは、これが初めてです。さらに、お気に入りユーザー登録までしていただきました。嬉しかったですね、本当に。
CRUXさんは私のようなアマチュア格闘家ではなく、空手参段の腕前を誇る、正真正銘本物の武道家です。人としてもきちんとしており、『ウラミチノサキ』などの作品の感想欄でのやりとりを読むと、その人間性がはっきり出ています。また道場の経営もされていたようで、そのあたりのことも書かれていました。
空手という武道の魅力の一つとして、精神面の教育もきちんとしていることがあげられます。ボクシング、キックボクシング、総合格闘技などでは……あまり言いたくありませんが、強ければ、試合に勝ちさえすればいいという風潮が未だに残っています。少なくとも、私にはそう感じられます。それが格闘技の本来の姿なのかもしれませんが……あまりいい事だとは思えません。そういった問題点に関しては、いずれ別の機会にでも書いてみようかと思っています。
その点、空手には礼儀を重んじたり、「頭は低く目は高く」などといった精神修養の要素があります。これは特に今の時代、必要なのではないでしょうか。
私は現在独身ですが、この先結婚し、男の子が産まれたら、空手をやらせたいですね。あるいは柔道や剣道といった、精神修養の要素のある武道をやってほしいものです。逆に総合格闘技は……今の状態を見ると、やって欲しくないような気もします……。
話を戻します。CRUXさんとはその後、交流させていただくようになりました。作品に感想を送ったり、返信したりと、その程度のやりとりでしたが、私にはそのやりとりが楽しかったですね。
しかし先日、メッセージが来ました。内容は口止めされているので書きませんが……こちらには、もう顔を出せなくなった、とのことでした。作品も投稿できない、残念だとも……。
何か思うところがあるのか、今はまだ退会はしていないです。しかし、いずれは退会されるかもしれません。皆さん、良かったらCRUXさんの残した作品を今のうちに読んでみてください。上手く言えませんが……CRUXさんがここにいた唯一の証である作品に、目を通してください。
CRUXさんは気難しい部分があったのか、公開しているお気に入りユーザーさんは二人、公開しているお気に入り作品は一つでした。実は、その両方に私の名前があります。この事実は、私にとって誇りです。




