最低限のケジメ
今年も残すところ、あと僅かとなってまいりました。皆さんは、どのように過ごされているでしょうか。私はというと、このところ急に忙しくなってきましたね。おかげで、執筆の時間もあまり取れない有り様なのであります。
気がつくと、私もなろうで活動を開始してから三年が経ちました。その三年の間、いろんなことがあった訳ですが……一つ言えるのは、この格闘技エッセイが私にとって大きな存在になっているということです。
突然ではありますが、もし仮にリアルの私が、芸人のMrオクレさんのような痩せこけた体と低い戦闘力の持ち主であったとしましょう。
その事実を知っていて、このエッセイを読んだ人は、どのような感想を持つでしょうか。ほぼ間違いなく「弱いくせに、格闘技を語るんじゃねえ」と思うことでしょう。かつてチャンピオンだった、というような実績があるならともかく、以前は強かったが今はいろいろあって弱くなった……などという言い訳は、格闘技において何の意味もないと私は思います。
格闘技について偉そうに語る以上、実際に闘えなくてはなりません。口で能書きを垂れたり、文章で書くだけならば素人でも出来ます。少なくとも、私が実際に格闘技をやっているからこそ、このエッセイを読んでくれる人もいるわけですし。
話は変わって先日のことです。普段から交流させていただいているユーザーさんの鴉野 兄貴さんが、とあるイベントに参加するため東京にいらっしゃる……との知らせを聞き、お会いしてきました。
会場となった場所には、鴉野さんの知り合いの方が大勢いらしていました。鴉野さんの顔の広さには、改めて驚かされましたね。
そんな中で、私も自己紹介をしてきました。総合格闘技をやってます、と。さらには、会場に来ていた様々な人に、格闘技について語らせていただきました(当時の詳しい状況は、鴉野 兄貴さんの十一月三十日付けの活動報告に書かれています)。
言うまでも無いことですが……このようなリアルの場では、ネット上のように理屈だけで誤魔化せるわけではありません。「偉そうに言ってるけど、あんたは本当に強いのか?」と言われる可能性も0ではないのです。不特定多数の人間が集まる場なら、なおさらですね。まあ、さすがにそんな事態にはなりませんでしたが。
極端な話ではありますが、他の分野とは違い、格闘技には実際に闘ってナンボな部分はあります。かつて生放送のテレビ番組で他の格闘家に向かい「口でウダウダ言うより、やったもん勝ちでしょ」と言った格闘家がいましたが、この発言は失礼ではあるが間違いではない、と思いますね。口で言うだけなら、誰でも出来ます。実際に闘うことこそが、格闘家の本分でしょう。
何も実証できないネット上で「俺はあらゆる武術を極めた達人で、ものすごく強いんだぞ」などと書き込むのは簡単です。しかし、そういう人間が、果たしてリアルで顔を合わせることが出来るのでしょうか。ましてや、実際に闘うことが出来るのでしょうか。
少なくとも格闘技について語る以上、ネット弁慶だけは許されません。実際に闘えるかどうか、それは重要なことです。リアルの世界で闘っている姿を、他の人に見せられるかどうか……その場合、勝ち負けは重要ではありません(もちろん敗北よりは勝利の方が遥かに価値はありますが)。「負けることは恥ではない! 戦わないことが恥なのだ!」という言葉が漫画『覚悟のススメ』に登場していましたが……私も同感です。闘えもしないのに、格闘家を自称するのは恥でしょう。
このエッセイを書き始めて、かれこれ二年近くなります。恐らく、今後も書き続けることでしょう。多少ペースは落ちるかもしれませんが、私は連載を続けていくつもりです。
ただし今後、病気や怪我で格闘技を続けられなくなったら、私はこのエッセイを完結させるつもりでいます。さらに、この先リングに上がり闘おうという気持ちが無くなった時も、連載を終わらせるつもりです。
人前で「格闘技をやっています」と言う以上、そこには自分の強さに対する責任が生じます。このエッセイも同じです。Mrオクレさんのようなヒョロヒョロの体とキレの無い技で「俺は昔、強かったんだぜ」などと言ったところで説得力はありません。
もっとも、ネット上だといくらでも誤魔化しは利きますが。画面越しの、文字だけのやり取りで済む分、好きなことを書けるでしょう。だからこそ、なおさら自分で書く内容を律する必要があると思います。
もう一度書きますが、私は自分が格闘家であると言える状態を維持している限り、この連載を続けていきます。しかし、自分が格闘家と言える状態でなくなったら、この連載は完結させます。それは、私にとって最低限のケジメですので。




