縛りプレイ
もうすぐ今年も終わりですね。歳をとるにつれ、月日が過ぎ去るのが早くなってきた気がします。いつの間にやら年末ですからね。年末になると、周囲がにわかに慌ただしくなります。今回のエッセイも、ひょっとしたら更新できないか……と思ったのですが、どうにか更新できました。
気がついてみると、私もジムの中では古株の部類になってきました。初心者の人に、いろいろと教えることもあったりします。
そこで改めて感じるのですが、人に教えるというのは本当に難しいものですね。分かりやすく説明したつもりが、かえって分かりにくくなっていたりすることは有ります。
また、初心者が相手のスパーリングの時などは、相手の技を敢えて受けることもあります。
私は、普段の体重が八十五キロ(重い時には九十キロ近くまでなります)あるため、六十キロくらいの人が相手だと、まず勝負になりません(プロが相手の場合は別ですが)。力ずくでいけば、あっさりと勝ててしまいます。ただ勝つだけなら構わないのですが……それでは、自分の練習にはなりません。
そのため、敢えて力を使わずに相手の技を受け、その上で掛けられた技から脱出したりすることもあります。常にあらゆる状況を想定し、それに応じた練習をするのは大切ですね。
特に総合格闘技においては、様々な状況に応じた練習が必要となってきます。例えば、倒されてから素早く立ち上がる動きの練習。逆に、素早く立ち上がろうとする相手を押さえ込む練習。さらには下に押さえ込まれてから、脱出する練習などなど……総合格闘技の攻防は、本当に様々な局面があります。それらに対応する動きを身に付けるには、縛りプレイならぬ「縛りスパーリング」が欠かせないですね。
この縛りスパーリングですが……ほとんどの場合、内容は自分で考えます。特に、入ったばかりの人とスパーリングをする時など、自分でいろいろと考えなくてはなりません。
ある程度のところまで来たら、自分で練習のテーマを決めて行う、ということも必要ですね。ただ闇雲に練習するよりは、ずっと実のある時間になるものと思います。
プロの選手たちも、この縛りスパーリングをやります。というより、やらないと強くなれないですね。特に体の大きな選手の場合、体格的に見合うような練習相手が毎回用意できるとは限りません。一部の有名な選手なら話は別ですが、プロになりたての選手だと、自分より小さな人を相手にしなくてはならないこともあります。
そんな時、自分でテーマを決めた縛りスパーリングをするわけです。
打撃が得意な選手なら、いかにして倒されないようにするか。あるいは倒された時、出来るだけ早く起き上がるか……その部分に重点を置きます。
逆に寝技が得意な選手なら、相手の打撃をいかに防ぐか。相手の打撃をかいくぐり、組み付いて倒すか……そこに重点を置いた練習をするわけですね。
もっとも昨今の総合格闘技は、打撃もある程度は出来ないと勝負にならないですね。かつては、寝技に特化した選手と打撃に特化した選手との対決などの、異種格闘技戦のような試合もありました。しかし今は、完全に一競技として独立した技術体系になっていますね。打撃も寝技も出来ないと、試合には勝てません。
ここからは余談ですが、前述した通りプロの選手は縛りスパーリングをやります。自分よりも明らかに技量が下の一般会員に対し、本気で潰しにいくようなことはしません。これは、どこのジムや道場でも同じです。ボクシングや空手など、どの格闘技でもプロの選手は一般会員に本気は出しません。逆に、プロの選手に本気を出させたら……その人はプロに近いレベルだということですね。
それはともかく、プロは一般人相手には本気を出しません。技を受けることも多々あります。ところが、それを自分の実力だと勘違いし「プロの○○は、大したことなかったよ。俺のタックルを防げなかったんだから」などと吹聴する人が、ごく稀にいるそうなのです。なんというか、勘違いも甚だしいのですが……自身の実力が分かっていないのでしょうね。皆さんがそんな勘違いをされないよう、切に願います。もっとも、さすがにそんな人は読んでいないでしょうが。
ついでですが、とある芸能人もそんなことを言っていたという噂を聞きました。芸能人が相手だと、スパーリングにもかなり気を使うと思うんですよね。本気のスパーリングで顔にケガをさせたら、後で厄介なことになりそうですし……ドラマの仕事などにも影響するかもしれません。なので、芸能人相手にガチでいく格闘家はまずいないでしょうね。その気遣いが、この芸能人には理解していただけなかったようです。




