バイオハザード
十月に入りました。今年も、残り僅かとなりましたが……皆さんは、いかがお過ごしでしょうか。
ここ最近は暑くなったり寒くなったりと、今ひとつはっきりしない陽気ですよね。こんな時は体調を崩しやすいので、くれぐれもお気をつけ下さい。
さて、格闘技をしていれば怪我はつきものです。また、激しい練習をすれば免疫力が低下し、体調を崩しやすくもなります。
怪我や病気の時には、当然ながらトレーニングを休まなくてはなりません。昔のスポ根マンガのように、怪我や病気の状態で無理してトレーニングをすれば、確実にマイナスになるでしょう。
特に風邪やインフルエンザの時は、絶対に道場やジムに来ては行けません。ただでさえ、格闘技のハードなトレーニングで体は疲れています。免疫力も低下し、病気になりやすい状態です。
そんな時に、インフルエンザのウイルスを保持した人間がジムに来てしまったら……これは、もはやバイオハザードのような事態なのであります。インフルエンザ・ウイルスはあっという間にジムの中に広がり、トレーニングに来ていた人のほとんどが翌日には、高い熱を出して寝込むこととなるでしょう。
しかも、格闘技のジムには試合を控えたプロ選手もいます。そんな人にインフルエンザをうつしてしまったら、本当にシャレになりません。最悪の場合、試合は中止となります。その場合、あちこちに迷惑をかけることになりますし、また選手の評価もマイナスとなるのは間違いありません。
実際、とあるボクシングジムには「風邪の者は練習に来てはならない」という張り紙さえしてあるほどです。つまり、風邪やインフルエンザはそれだけ恐ろしい病気なのですよ。なので、見学に行く際も気をつけてください。
これが一般のスポーツジムになると、風邪をひいていても平気でトレーニングに来る人もいます。これは本当に厄介な問題なんですよね。「いつもやっていることだから、ちょっと風邪ひいたみたいだけど、今日もジムに行こう」これは、非常に迷惑です。
ただ格闘技のジムだと「赤井さん! 風邪ひいてんのに来ちゃダメだよ! 今日は帰って!」とトレーナーが言えるような雰囲気がありますが、一般のスポーツジムだと言いづらい雰囲気がありますね。スポーツジムのトレーナーが会員に向かい、「あなた風邪ひいてますよね。他の会員さんに迷惑なので、今日は帰ってください」とは言えないでしょうし。もっとも、平気で言う人もいるかもしれませんが……。
それはともかく、スポーツジムに通っている方は気をつけてください。自身が風邪をひいているような日は、トレーニングを休みましょう。また、風邪をひいていると思われる人間のそばには、近寄らない方がいいでしょうね。
風邪に比べると、怪我のケースは周囲に気を遣う必要はありません。しかし、怪我をした時も休むべきでしょうね。怪我をした部位や程度にもよりますが、まずはトレーニングを休むことです。痛むのに無理してトレーニングを続けると、確実によくないです。下手すると、さらなる大怪我に発展することもあります。
しかし、この「トレーニングを休む」というのも難しいものでして……格闘技に打ち込んでいた人たちはほぼ例外なく、休むのが嫌いです。基本的に、格闘技は毎日コツコツとトレーニングしないと話になりませんので……逆に言うなら、きちんとトレーニングを続けられる人間のみが残ります。
そういった人たちにとって、トレーニングを休むというのは苦痛なのです。ついつい無理してトレーニングをしてしまいがちになりますが、これはよくないですね。怪我をした時には、絶対に休む……これは基本です。
ストイックにトレーニングを続けるだけが根性ではありません。時には勇気を持って、休むという選択をするのも必要です……とは言っても、これは格闘技に打ち込んだ経験のある人間でないと、理解できない心境かもしれませんね。
特に格闘技のプロになるような人というのは、一生懸命にトレーニングをするのが日常の一部となっています。結果として、休むことに罪悪感すら抱いてしまいます。
なので、ついつい無茶をしてしまいますが……これは、怪我の慢性化をもたらす可能性が高いです。高いレベルを目指す人ほど、休む時はきっちり休まないといけません。
ここから先は、あくまでも私の空想なのですが、ここに世界タイトルマッチを控えたAというボクサーがいたとしましょう。世界タイトルを獲れば、富と名誉とが手に入ります。当然ながら、周囲の人間もAさんに勝って欲しいと願っています。
しかし、来日したチャンピオンは強く、まともに闘ったらAさんは勝てないでしょう。そこで、Aさんの取り巻きは一計を案じました。チャンピオンの周囲に、インフルエンザの保菌者を送り込み……用もないのにチャンピオンの周りをうろうろさせ、インフルエンザのウイルスをばら蒔く。その結果、チャンピオンはインフルエンザにより体調を崩し、普段の半分も実力を発揮できずAに敗れる……。
もちろん、これは私の空想です。実際にやるとなると、確実さには欠けるでしょうし。ただ、似たようなことが行われている……という噂は聞いたことがあります。あくまで噂ですが。




