格闘家のちょっといい話
九月に入りました。とは言え、まだまだ暑い日は続いています。さらには、何故か立て続けに台風が襲来しました……いったい、日本はどうなってしまうのでしょうか。まあ、私が心配しても仕方ないのですが。
いずれにしても、台風が直撃するような日には、家で大人しくしていた方がいいですよね。そこで今回は体を動かしたくなるような話ではなく、じっくりと心にしみ入るようなイイ話を書かせていただきます。格闘家のちょっとイイ話、是非とも耳を傾けてみてください。
とある日のことです。多くの人間が行き来している都内の某駅。そんな時、一人の老人がホームに転落しました。
しかし、周囲にいた人たちは心配そうに見るだけです。当然といえば当然ですね。私も、この状況に遭遇してパッと動ける自信はありません。
ところが、一人の青年が素早く線路へと飛び降りました。そして、落ちた老人を助けようとしました。青年は老人を担ぎ上げ、ホームに戻そうとしたのです。実に勇敢ですね。
ところがです。この老人がなかなか持ち上がりません。実は、意識を失い脱力している人というのは、非常に重くなります。どういう理屈かは知らないのですが……。
余談ですが、寝技の上手い人に上から押さえ込まれている時は、非常に重たく感じます。これは、上手く体の力を抜いて重たく感じさせるテクニックですね。逆にプロレスでは、投げられるのが上手い人がいるそうです。体の大小に関わらず、上手く体重を移動させて相手に投げさせる人もいるそうですね。これまた、プロのテクニックです。
話が脱線しましたが、青年は線路に転落した老人を何とか助けようとします。しかし、意識を失っている老人の体は持ち上がりません。
すると、周囲にいた人たちのやる気にようやくスイッチが入りました。皆で協力して老人を引き上げ、どうにか事なきを得たとのことです。
さて、この老人を助けるために真っ先に線路に降りた青年こそが、格闘家の山本KID徳郁さんです。いざという時に、パッと動ける勇気は素晴らしいですね。見習いたいものです。
ただ、一つ知っておいてもらいたいこともあります。山本KIDさんは軽量級の選手ですが、それでも常人を遥かに凌駕する筋力を持っています(あの体を見れば分かると思いますが)。またレスリングの経験も長く、人を持ち上げる時のコツは知り尽くしています。そんな人でも、意識を失った人を持ち上げるのは難しいのです。
もし皆さんが似たような状況に出くわした場合、くれぐれも無茶はしないでください。まずは、緊急停止ボタンを押したり、駅員に知らせるなりしてください。行動に移るのは、それからでも遅くはないかと思います。だからといって、山本KIDさんの行動を否定するつもりはありませんが……。
次の話は、以前に私の活動報告にて書いたものですが、より多くの人に知っていただきたいと思い、敢えてこちらにも書かせていただきます。
今では信じられない話ですが、昭和という時代は全てにおいておおらかだったようですね。一例を挙げると、当時タバコはどこでも吸うことが出来たそうです。小学校の教師が、教室内で平気でタバコを吸っていたとか。今だったら、確実に問題になっているでしょうね。ミ○ネ屋あたりで、叩かれているかもしれません。
さて、そんな今から三十年以上前の時代の話です。当時、女子プロレスの興行が地方の体育館で行われていました。私の知人も幼い時、見に行っていたそうです。しかし、そこにはガラの悪いおっさんたちが数人陣取っており、酒を飲みタバコを吸いながらヤジを飛ばしていたそうです。
しかも、そのヤジがまた酷いものでして……「姉ちゃんたち! んな八百長やってねえで、裸でやれや!」みたいな、最悪のヤジを飛ばしていたという話でした。
当然、場内の雰囲気は悪くなります。その酔っぱらいオヤジたちの存在のせいで、プロレスを楽しもうという他のお客さんたちも不快な気分になっていたそうです。
そんな時、次の試合が始まりました。一人の女子プロレスラーがリングに上がり、試合を開始したのですが……その女子プロレスラーの試合は、あまりにも激しいものでした。スピード感に満ちた動き、パワフルな技、さらに対戦相手の大技をきっちり受けた上でそれを上回る迫力の技を返していく……その攻防の凄まじさを前に、酔っ払いのおっさんたちは皆、黙り込んでしまったそうです。
その酔っ払いをも黙らせる試合をして見せた女子プロレスラーこそが、今はタレントとして活動されているジャガー横田さんだったのです。酔っ払いのおっさんたちに対し直接の暴力を振るうことなく、試合でおっさんたちを黙らせる。これは、お見事としか言い様がないですね。
今はタレントとして、夫である木下先生をドツいている姿しか知りませんが(私も現役時代の姿は見たことがありません)、現役時代のジャガー横田さんは凄かったんだよ、というお話でした。




