大事な要素
暑いですね。地球の何かが壊れているのではないだろうかと思うくらい、昨今の気温の高さには疑問を感じてしまいます。果たして、世界は大丈夫なのでしょうか……まあ、私にはどうしようもない事ですが。
こんな暑い時には、さらなる熱さを求めるのも一つの手かと思います。という訳で今回は、基礎体力の養成を主眼とした、フィジカル・トレーニングについて語ります。実際、こういったトレーニングは格闘技に必要不可欠です……地味ではありますが。ただ基礎体力を付けておけば、格闘技のみならず、あらゆる局面で役立ちます。
まず、素手の格闘において重要な要素となるのが体格と筋力です。これに関しては今までに何度も書いているので、これ以上は書きませんが……未だに筋肉を目の敵にしている人も少なくないようですね。困ったものです。これまた何度も言っていることですが、「○○の技なら体重が倍以上ある相手でもぶっ飛ばせます」なんてのは机上の空論ですので。少なくとも、素人に毛の生えたようなレベルの技では絶対に不可能です。
闘いにおいて、大事な要素がもう一つあります。それはスタミナです。長い時間、闘い続けられるスタミナ……これもまた、非常に大切な要素ですね。
素人同士の殴り合いを見ていると分かると思いますが、大抵は一分ほどで双方とも疲れ果て、迫力のないペチペチというパンチの打ち合いになります。プロボクサーが何ラウンドもパンチを打ち合える理由、それは彼らがハードなトレーニングを積み、超人的なスタミナを有しているからですね。
格闘技において、スタミナは本当に大切です。ですので、格闘家はスタミナ強化のためのトレーニングを欠かしません。一般的にスタミナのトレーニングというと「有酸素運動」と呼ばれるものを連想される方が多いものと思います。
そこで、まずは歩いてみましょう。この暑い時期に外を歩くのはキツいかもしれませんが、歩くという動作は人間にとって基本であると同時に、重要な動きでもあります。また、地震などにより交通機関がストップしてしまった時、帰るためには歩くしかありませんからね。
狭い部屋の中で一人、おかしな技の練習をするくらいなら、外を歩く方がよっぽど役に立つのではないかと思います。私もジムでのトレーニングとは別に、最低でも週に一度は一時間ほど歩くようにしています。
それに外を歩くことにより、様々なアイデアが湧いてくることもあります。散歩が趣味という作家も少なくないとか……もっとも、散歩というよりはウォーキングといった方が正しいのかもしれませんが。
歩くことに慣れてきたら、次は走ってみましょうか……と言いたいところですが、走るという動きは簡単そうで難しいですね。きちんとしたフォームを知らないと、足首や膝を痛める恐れがあります。特にアスファルトの上だと、なおさらですね。
また歩道などを走っていると、信号待ちでペースを乱されることもありますし、通行人や自転車などにぶつかる危険性もあります。特に最近は、歩きスマホの人も多いので注意が必要ですね。
などなど、色々と注意が必要ではありますが……走るのも大切なトレーニングですね。正直言って、下手な護身術を習うくらいなら、いち早く逃げるために走るトレーニングをしておく方が重要ではないか、と私は思っています。是非ともトライしてみて下さい。
もう一つ、大事な要素があります。私はジムでのトレーニングで「MMAミット」というちょっと特殊なミット打ちをやります。通常のミット打ちはパンチだけですが、MMAミットはパンチ、タックル、バービー(相手のタックルをガードする動作)、さらに柔術立ち(倒れた状態から素早く立ち上がる動作)などなど、様々な動作をトレーナーの指示に従って行うわけです。しかし、これは本当にキツいですね。終わった直後は、本当にへたりこむことしか出来ません。
このMMAミットですが、重要なポイントは体勢の変化です。例えば、バービーという動作はもともとレスリングの動きです。相手がタックルに来たところを、全体重をかけて上から潰す……動作のイメージとしては、そんな感じです。
一方の柔術立ちは、相手に倒されて背中を地面に着いた状態から立ち上がる動作です。
この、目まぐるしく変化する体勢……これこそ、MMAミットの真骨頂なのです。色んな動作を行うため、心肺機能の強化にはうってつけですね。脂肪の燃焼効果も高く、ダイエットにももってこいです。
さらに、倒れた体勢から素早く起き上がるための練習は、あらゆる局面において役立ちます。例えば、何らかの事故に巻き込まれた時などは、素早く起き上がれるかどうかが生死を分けることもあります。
また暴漢に襲われた時などにも、素早く立ち上がる動作は大切です。以前にも書きましたが、妙な護身術を週に一〜二回通って習った程度の技では、興奮状態にある暴漢には通用しない場合もあります。
それよりは、倒されても素早く起き上がり、走って逃げる……その方が、護身という意味では遥かに優れていますね。
歩いたり走ったり、または倒れた状態から起き上がったり……こういった動作は、簡単ではありますし誰でも出来ます。しかし同時に、普段の生活に関わる部分でもあります。さらに非常時には、生死を分けることもあります。日頃から鍛練しておくにこしたことはないでしょうね。




