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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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つまらない話

 私がなろうに作品を投稿し始めて、かれこれ二年以上が経ちました。

 改めて思うのですが、面白い作品を描くのは本当に難しいですね。自分が面白いと感じていても、他の人がどう感じるかはわかりません。自信を持って送りこんだ作品が低い評価……こんなのは、なろうで投稿していればよくある話です。そんな経験は一度もない、という方もいるのでしょうが。

 ただ、どんな作品であれ……書いている作者さんは苦労して書いています。自分でいざ書いてみると、たとえ一万字でも大変です。そのあたりは、経験してみないとわからなかったことですね。


 さて、格闘技にも面白い試合もあれば、つまらない試合もあります。面白い試合にもいろいろありますが……基本的にプロの試合は面白い、はずなのです。アマチュアと違い、観客からお金を貰って試合をするわけですから。

 しかし、困ったことに……強い選手の試合が面白いかと問われると、必ずしもそうとは言えません。

 例えば、かつてモハメッド・アリVSアントニオ猪木という超豪華な異種格闘技の試合が行われました。

 当時のボクシング世界ヘビー級チャンピオンであるモハメッド・アリと、日本でも有名なプロレスラーのアントニオ猪木が闘う……これは、否応なしに期待が高まります。しかし、その試合内容はというと……あるキャスターが「世紀の茶番」なる一言で切り捨てるような内容であったそうです。

 マットに寝転がり、アリの脚を蹴る猪木。一方、寝ている猪木にパンチを当てることが出来ず、その周囲をぐるぐる回るだけのアリ……しまいには観客も、罵声を浴びせたり物を投げたりしたとか。

 誤解されては困るのですが、この試合は茶番ではありません。ルールにより、猪木はほとんどのプロレス技の使用を禁止されていたため、仕方なくそのような闘い方になったようです。さらに試合後、アリは猪木の放った太ももへの蹴りで入院するほどのダメージを負ったとか。真剣勝負であったのは間違いないようですね。

 ただ、実力者同士の真剣勝負だからと言って、面白くなるとは限らない……という事実を、この試合は教えてくれるわけですね。

 猪木VSアリに比べると小粒ですが……昔、藤原組長ことプロレスラーの藤原嘉明と元タイガーマスクの佐山サトルが、何かのバラエティー番組(番組名は記憶にないんですよね)で対決したのを観たことがあります。

 これもまた、非常に地味なものでした。二人はレスリングのような中腰の構えで向き合い、手を掴んだり払ったりする(組み手争いですね)だけ……当時、中学生か高校生くらいだった私は「つまらない試合だな」と感じたのだけは鮮明に覚えています。

 しかし今にして思えば、これも真剣勝負だったのでしょうね。バラエティー番組であるにもかかわらず、真剣にやり合ってしまうお二人には……ちょっと怖いものを感じます。


 選手の立場で言いますと、勝つためには手段を選んでいられません。どんなつまらない形であろうと、勝ちは勝ちです。特にプロ志望の選手の場合ですと、アマチュアの試合では確実に勝ち星を拾っていかなくてはなりません。地味な形であっても、負けるよりは遥かにマシです。

 しかし、プロとなると話は違ってきます。ただ勝つだけでなく、観客を楽しませなくてはなりません。そのためには、自らの体へのダメージを無視して打ち合うこともあります。KO勝ちを狙い、あえて深追いするケースもあるでしょう。つまらない試合をする選手……という評価をされてしまうと、試合の機会が遠のいてしまうこともあるそうです。俗に「干される」と言うヤツですね。

 十年以上前の話ですが……Kー1で、五ラウンドの間ずっとお見合い状態のまま試合が終わってしまったことがあったそうです。両方とも一撃必倒のパンチの持ち主であったため、仕方ないのかもしれませんが……噂では、その内容に当時のプロデューサーやスタッフが頭を抱えてしまい、それ以来Kー1は三ラウンドになったとか。


 ここで挙げたような動きのない試合、もしくは消極的な試合は見ていて面白くありません。ただ、選手は選手で観客には分からない攻防をしています。そのあたりを伝えられるのが、マンガや小説という媒体なのかもしれません。

 派手な動きのない地味な展開の中にも、様々なテクニックの応酬があります。傍目には、一発の大振りのパンチによるKOシーンが注目されたりしますが……しかし、そこに至るまでの過程や両選手の心理描写、両選手の細かい背景(苦手意識そして怪我や古傷の有無)などなど……そういった部分を、小説の形できちんと書けるような人が出てきて欲しいものですね。もちろん、リアリティーのある話を書けるのは最低条件ですが。

 ただ、そういう人は今のなろうには投稿しそうにもない上、投稿しても人気が出そうにもないのが悲しいところですが……。






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