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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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細かい事かもしれませんが……

 本当かどうかはさだかでないですが、警察官は刑事ドラマを観ないらしいですね。その理由はというと、現実に警官の仕事をしている人から見れば、ドラマの中の刑事はあまりにも非現実的であり、観ていてバカバカしくなるから……ということです。なるほと、と頷ける部分はありますね。

 もっとも、本物のヤクザはヤクザ映画を好むという噂を聞いたこともあるので、その辺りはよく分かりませんが……。


 さて、以前から何度も書いていますが、私は基本的には、リアリティーのない格闘シーンはあまり好きではありません。しかし、それもまた作品によります。リアリティーがない格闘シーンがあるからといって、作品そのものの内容までもけなすような事は言いません。

 そもそも、作品にとって大事なものは他にいくらでもあります。ストーリーの面白さや発想の奇抜さ、魅力的なキャラクターや予想を越える展開の作り方などなど……それらの要素に比べれば、格闘シーンのリアリティーなど取るに足らない問題でしょう。

 しかし、それが現実の格闘技をテーマにしたものとなると話は別です。そこには、最低限のリアリティーが必要ではないかと思うのは私だけなのでしょうか。


 以前、なろうにてボクシングをテーマとした作品を読んだことがあります。高校生の主人公がボクシングを始めるが、厳しい現実に打ちのめされ、しかし天才美少女と出会い成長していく……という王道的ストーリーです。しかし、ちょっと首を傾げてしまうような内容でした。

 一応、作者さんはボクシングの経験あり、と感想(他の人が書いたものです)の返信に書いていたのですが……正直、私にはそうは思えませんでした。ネットや本などで得た知識と、頭の中だけで考えたものを組み合わせ、そのまま作品として投稿しているように、私には見えたのです。

 特に酷いと思った部分は二点ありました。一つは主人公が百七十センチで六十二キロの体格であるにもかかわらず「筋肉つきすぎ」「レスラー体型」などと美少女に言われていた点です。この作家さんは、本物のレスラー体型の人を見たことがないのでしょうか。数値から判断するに、とても筋肉つきすぎとは言えません。

 そして、もう一点の方はと言いますと……この六十二キロの主人公は、七十キロのダンベルでトレーニングしていると書かれていたことです。

 七十キロのダンベル……まあ、普通(?)の高校生に扱える代物ではありません。少なくとも、ボクシングを始めたばかりの六十二キロの少年では、持ち上げることすら出来ないでしょう。

 まして七十キロのダンベルを片手にウエイトトレーニングをすることなど、まず不可能です。これは、少しでもトレーニング経験のある人間なら確実に理解できると思うのですが……。

 ちなみに私は体重が八十五キロあります。しかし、七十キロのダンベル片手にトレーニングすることなど出来ません。トレーニングで使用するダンベルは、四十キロが限界です。

 百歩譲って、これはあくまでもフィクションのキャラだから……という考え方もあります。しかし、この作品は等身大の高校生がボクシングを始めたという設定です。そんな七十キロのダンベル片手にトレーニングしてしまう六十二キロの高校生が主人公、というのは……完全に登場する世界を間違えている、としか思えません。

 例えて言うなら『はじめの一○』の世界に『グラップラー刃○』の雑魚キャラが乱入し無双するようなものです……同じフィクションであっても、そこには世界観の違いが存在します。等身大のリアルな世界観であるにもかかわらず、そこになぜ必要のない無茶苦茶な数字を出すのか……理解しかねますね。

 私はこの作品を途中まで読むと、すぐさま感想を書きました。上に挙げた二点のおかしさについて指摘した上で「ボクシングという、現実に存在する競技をテーマとした等身大の高校生の青春を描いた作品である以上、リアルからかけ離れ過ぎているのはいかがなものかと思います」という内容を書いて送りました。

 しかし、返信は来ませんでした。また、作品が修正されることもありませんでした。

 そして先日、その作品は削除されていました。


 もし、私の感想が作品の削除に繋がったのだとしたら、それはとても残念なことです。ひょっとしたら、私の感想がこの作者さんを不快にさせてしまったのかもしれません。そうだとしたなら、本当に申し訳ないと思います。

 ただ、私の指摘した事実は、少し調べれば簡単に分かるはずなのですが……どうやら、理解していただけなかったようですね。一般の人と経験者との認識の差を、改めて思い知らされた気がしました。


 ですから、もし仮にボクシングのようなリアルな競技をテーマとした作品を書こうと思われている方がいるのでしたら……ジムに通えとは言いませんが、最低限の下調べはして欲しいですね(出来ることなら通って欲しいですが)。少なくとも件の作品における問題点は、下調べをするまでもない常識だと思っていたのですが……どうやら、私の常識はかなりズレていたようです。






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