昔は変なのが多かったって!
ニュースなどを見ていると、一日に何回か、必ずといっていいほどネットにまつわる事件の報道がありますね。
で、ほとんどの場合「識者」という人が出てきて、ネット及び今時の若者をたたく、というパターンで終わることが多い気がしますが、ネットに対する悪意を感じるのは私だけでしょうか。
私自身、原始人なみのアナログ人間であるため、ネットの知識はゼロに等しいですが、それでも、わけのわからんものに騙される確率は今のネット社会の方が低いような……昔は、本当にとんでもないデマを真顔で言う人がいたらしいですからね。
さて、デマといえば、昔の格闘技界にはとんでもない人がいたんです。
例を挙げると……
◎一子相伝の殺人拳法の使い手で、一族は代々、要人のボディーガードをしていた。
◎裏社会の裏格闘技大会において、十年以上勝ち続けた。殺した相手は百人を下らない。
◎中国で長年修行し、触れただけで相手を殺す術を編み出した。
◎とりあえず、ワケわからん術で吹っ飛ばす(かめはめ波みたいなフォームでした、写真で見る限りは)。
◎筋肉を使わず、大地の何とかを吸収し、それを自らの力に変える。極めれば電車の線路を曲げることも可能(確かそう書いてありました。幼心に、線路を曲げてどうするんだろう、と思ったことを今も覚えているので)。
◎甲冑を着た相手を一撃し、甲冑はそのまま、中の人間だけを殺した。
などなど……。
皆さん、どう思われますか? はっきり言って怪しいですよね。ネット社会のこのご時世に、ここに挙げたようなことをキャッチコピーにしている流派や団体があったら……うーん、どうなるんでしょう? 普通に存続しますかね? 実はネット社会のこのご時世、こんな怪しい奴らが商売できるわけがない、という論調で書こうかと思ったのですが……よくよく考えてみたら、いるかもしれないんですよね? まさか、これを読んでいる方の中に、怪しげな格闘技をやっているという人は……いたら是非連絡ください。
しかし、いくらなんでも嘘だろう、とツッコまざるをえないものもありますよね。上に挙げた例の中にも、百人以上の相手を殺したなどという人がいます。いや、本当にこんなことを言う人がいたんですよ! まあ、その人が書いた本を幼い頃に読んだので、厳密には「書いた人がいた」のですが。
普通、百人の相手を殺した、と書かれたものを読んでも「おお凄い」とはならないですよね。当時、学年でもトップクラスのバカだった私は素直に「おおスゲエ」と言って読んでいましたが。一人殺せば人殺し、一万人殺せば英雄、では百人殺したら……最強の格闘家でしょうか。
とにかく、こんなようなことを書いた本があちこちにあったのです。いや、あちこちというのは大げさでした。本屋の片隅にひっそりと、でもしぶとく発行され続けていたのです。
こういった、格闘技版の「トンデモ本」とでもいうべき書籍ですが……今でもあるのでしょうか。私も最近は妙に忙しくなったせいか(なろうの執筆が主ですが)、そういった本との出会いはなくなりました。探せばあるのかもしれないですが、探す時間がないですね。仮にあったとしても、今度はネットで叩かれ、あっという間に誰も買わなくなり、やがて返本という結末が待っているのではないでしょうか……それはそれで、悲しいものがありますね。若い人にはそういった本をも許容できる大人になって欲しいです。
もし、そういった本が今でもあるのなら、是非とも読んでみたいですね。果たして、現代ではどのようなデタラメ……失礼、神業を披露してくれるのでしょうか? あの胡散臭い……失礼、凄まじい武勇伝の数々は現代でも、(愚かな)少年たちを興奮させているのでしょうか? ふと、自分の少年時代を思い出し、ワクワクしてしまいます。




