普段の鍛練
プロの格闘家は基本的に、ほぼ毎日トレーニングをします。トレーニングの時間は人によってまちまちですが、内容はハードなものです。一般人では付いて行くことなど出来ません。もちろん、こんなことを書いている私も……プロ選手のトレーニングには付いて行けません。たぶん、途中で吐きます。
正直、プロもしくはプロレベルの人たちのトレーニングは……本当に凄まじいですね。二時間ぶっ続けのスパーリングなどといったことを平気でやったりしてますから。こんなトレーニングを毎日続けられるということ自体、既に一つの才能なのでしょうね。
そんなプロの選手たちですが……入門したての頃は普通の人であります。普通の人がプロの格闘家に変わるまでには、当たり前の話ですがトレーニングが必要ですね。ただし普通の人は、普通の人用のトレーニングをします。普通の人がいきなりプロのトレーニングをしたら、確実にぶっ倒れるでしょう。
そんなわけでして……入門したての人は、簡単なトレーニングから始めます。ボクシングやキックボクシングなら、まずは左ジャブと右ストレートでしょうかね。以前にも書きましたが、左ジャブと右ストレートだけを、みっちり半年以上も練習させたジムもあったそうです。
ほとんどの場合、初めは立ち止まった状態で左ジャブと右ストレートを練習します……これも以前にも書きましたが、フォームを体に覚え込ませ、さらに細かい筋肉を鍛えて体の土台を作るためです。
それから少しすると、フットワークを使い移動しなから左ジャブ、右ストレートの練習をするようになります。前進、後退、あるいは横方向への移動……格闘技において、足を止めての打ち合いという状況も確かにありますが、それよりも動きながらの攻防の方が重要です。後退する相手に追い打ちをかける、逆に相手の攻撃を後退もしくは横に回りこんで避ける……これらの動きは、格闘技にとって非常に大切なものです。その感覚を体で覚えるためにも、動きを伴う練習は欠かせません。
一人での練習に慣れてきたら……次は対人の練習です。ミット打ちや対人シャドー、さらにはスパーリングなどがあります。この対人練習の目的の一つが、人に向けて技を放つ際の感覚を養うことです。こういった対人練習を積み重ねていかないと、実際の試合では技を出すことさえ出来ません。対人練習による感覚は、口で説明するのが難しいものですが……。
とにかく、格闘技は対人練習をしなければ、絶対に強くなれません。私は格闘家として何の実績もありませんし、トレーナーの資格も持っていませんが、それだけは自信を持って言えます。
ここまで書いてきましたが、皆さんに知って欲しいのは……格闘技は地味な練習を、きちんと段階を踏んでやっているということです。それは何故かと言えば……技を体で覚えるためです。
机上の空論、という言葉がありますが……頭で考えたことを実行に移すのは難しいものです。
格闘技も、それは同じです。ボクシングのワンツーは、初心者が一番初めに習う技ですが……まず、鏡の前での練習が必要です。鏡の前で、何千回も打ち続けて技を体に覚えこませ、同時に技を打つための体の土台を練り上げていきます。
さらに対人練習を行なうことにより、対人での感覚を体に覚えこませます。ミット打ちや対人でのシャドーなどを何千回も繰り返し、さらにスパーリングで実戦に近い感覚を体に覚えこませていきます。
格闘家は、こうした地味な練習に何百時間も費やし、そして試合に出ます。格闘技において、時間をかけて体に覚えこませる練習は当たり前ですし、本当に大切です。
こうした地味な練習に膨大な時間を費やすことにより、始めて格闘家は試合で技を出すことが出来ます。そうでなければ……試合では動くことすら出来ないでしょうね。
試合のプレッシャーというのは相当なものです。そのプレッシャーに耐え、習い覚えた技を使う……それは頭で考えただけでは絶対に不可能です。地味な練習に膨大な時間を費やし、技を体に覚えこませる。すると、相手の動きに反射的に対応し、考える前に技を出せるようになります。間合いに入ると同時に、牽制の左ジャブを放つ。あるいは相手の攻撃をスレスレで見切り、カウンターの左フック……こういった動きは、頭の中だけで考えて出来るものではありません。
そのあたりの感覚は、経験者でなければわからないかもしれません。また、説明するのも難しいですね。しかし、なろうの作品では蔑ろにされている要素の一つでもあります。
実際、アマチュアの試合では、双方がグルグルパンチ(腕をブン回すだけのパンチ)で殴り合っている場面もしばしば見られます……練習をしている人ですら、試合という場に立てばそうなってしまうケースがあるのです。まして、素人がおかしな機械を脳や腕に付けたからといって、達人と同じ威力の技を同じようなタイミングで繰り出せるかといえば……それは無理なのではないでしょうか、と言わざるをえません。
練習を積むことにより、得られる身体の感覚……これは説明するのは難しいです。なので、是非とも実際に格闘技を習うことにより、皆さんに体験していただきたいものですね。




