一輪より二輪の方が乗りやすいって!
いきなりで恐縮ですが、今回は何と言うか……オレの話を聞けって! みたいな話になります……ご注意ください。
なろうで小説を書いている作者さんの中には、探してみると格闘家(プロアマ問わず、という条件付きですが)の方も結構いるんですよね。例えば、『ヘタレ武術修行者の日々』を書かれている六曜さんは長年武術を学んでおり、格闘技に対する造詣も深いです。また『狂蹴フリューゲル』『白銀無双』『Twelve Coins Of Hades』などを書かれている大槌小太郎さんも、伝統派の空手を長い間やっていらした方です。さらに『アレ・クロア』『刃と夜』『黒夜夢』などを書かれている青貴空羽さんは新極真会で活躍されている現役の空手家であり、弐段の腕前です。
この他にも、連絡がとれなかった武道家の方がいます。私の知らない方も合わせたら、相当な数になるのでは?『なろう杯格闘技グランプリ』……すみません、ついバカなことを考えてしまいました。
しかし、ここに挙げた方々のキャリアを見るだけでも相当なものです。こんな方々の前で格闘技のエッセイを書くというのは、ガン〇ム好きの集まる場で『黒い三連星』のことを『黒い三連戦』と連呼していた某氏と同じくらい、恥ずかしいことなのでは……などと思いますが、格闘技人口を増やすためなので、細かいことは無視します。
さて、少し私個人の話をします。一昨年の十一月の事ですが、私はJMLというアマチュア総合格闘技の試合に出るはずでした。試合に出ることを前提に予定を組み、体重を落とし、血液検査も受け(肝炎の検査の診断書を事務局に提出する義務があります)、さーて、あとはやるだけ! と思っていたらキャンセルに……。
それだけでも……なのですが、去年もまた似たようなことがありました。去年の場合、予定を組む前だったので助かりましたが、それでも非常に嫌な気分でしたね……何と言うか、試合の前は本当に怖いです。気分が悪くなります。いっそ中止にならないかな、と思うこともあります。しかし本当に中止になると、今度は怒りや悔しさ、さらには虚しさがこみあげてきます。中止になった直後、私は本当に鬱に近い状態でしたね。
で……格闘技を続けるのも、嫌になっていました。週一度、練習に行くか行かないか、という日々が続いていましたね。オレ別にプロ目指してないし〜どうでも良くね? いい歳して殴り合ったり取っ組み合ったり……おっさんらしくパチンコや麻雀でもやろうか、てなことを考え、ボケーッと仕事してました。
そんな時、たまたまケータイをいじくっていて見つけたのが、なろうです。
初めのうちは、ただパラパラ読む程度だったのですが、そのうち、いろんな作品を最後まで読んでみるようになりました。そうすると……ハマりましたね。
やがて、自分でも書いてみたいという願望が生まれて……今に至ってます。
さて、小説を書くようになると、面白い現象が起きました。
格闘技に対する情熱が戻ってきたのです。また、格闘技が楽しくなってきたのです。
なぜこんなことが起きたのか……上手く言えませんが、やはり人間、同じことばかりやってるのは良くないのかな、と。
突然ですが、人間には、交感神経と副交感神経とがあります。
詳しいことは……調べていただいた方が早いのではないかと。ただ、交感神経の働きが活発すぎると、アグレッシブに動ける代わりに食欲がなくなったり不眠状態になったりします。逆に副交感神経が活発すぎると、まったりとした気分でいられる代わりに動く気がなくなったりするらしいです。両方がバランスよく働くことにより、人間はいい感じで生活できる、と聞きました。
今の私にとって、格闘技をやることと小説を書くことは、交感神経と副交感神経のような関係になっているのかな、と思うわけなんですよ。
さらに言うと……今の私には、小説を書くことと格闘技とが、自転車の両輪のような形で作用しているんですよ。どちらが欠けても進まない……いや、倒れますね。
で、これは皆さんにも当てはまらないかな、と思うのです。
小説を書く……それだけだと、一輪車で進んでいるようなものではないかな、と。特にプロを目指している方など、ついつい根を詰めすぎて、精神的にキツい状態に追い込まれたりしやすいのではないか=一輪車の不安定な状態に似ていないかな、と思うのです。
私は小説を書き始めてから、格闘技がまた楽しくなりました。ということは、逆もあるだろう、と。格闘技経験のない方が格闘技を始めることにより、小説を書くことの楽しさを再認識できるのではないかな、と思うわけですよ。
「バカ野郎! こっちはプロ目指しているんだ! 楽しいとか、そんなレベルでやってんじゃないんだよ!」と言う方もいるでしょう。でも、そんな方も、いや、そんな方だからこそ、あえて言います。
「一輪車よりは二輪車の方が安定してますよ」
別に格闘技でなくとも、ゲームでもギャンブルでも構いませんが……私は格闘技を勧めますね。やはり他のスポーツや趣味では得られないものがあります。それに、格闘技と創作とは、ある意味真逆です。創作とは文字通り、何かを創りだすこと。そして格闘技は……誤解を恐れずあえて言いますが、破壊です。少なくとも、その根底には破壊的な何かがあります。破壊と創造……これは交感神経と副交感神経の関係にも似ており、さらにそれが両輪となることで、素晴らしい効果が生まれるのではないだろうか……と思ったりするわけですよ。
いささか強引ではありますが、ここで終わらせていただきます……あくまで、これは私の個人的な意見ですので。
六曜さん、大槌小太郎さん、青貴空羽さん、掲載を快く承諾してくださり、ありがとうございました。皆様、こちらの御三方の作品も是非、ご覧になって下さい。




