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格闘技、始めませんか?  作者: 赤井"CRUX"錠之介


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路上の闘い……その末路

 七月も後半に入り、さらに暑くなってまいりました……いよいよ夏も後半戦に突入ですね。若い皆さんは、夏休みを満喫されているのでしょうか。

 そして、この時期になってくると薄着の女性が目立つようになります……って、去年もこんなことを書いていました。でも今年の夏は違います。今回はあえて、真逆のテーマに挑んでみました。格闘技とはズレますが、これは是非とも知っておいていただきたい事実ですので。


 格闘技を語る際、「あの流派は実戦的だ」「この武術はスポーツ格闘技とは違い、実戦的な技を使う」などと言われたりすることがあります。では、ここで言う実戦とは何を指しているのでしょうか? 多くの場合、路上での闘い……つまりは喧嘩を指しているものと思います。では、路上で喧嘩になり、危険な技を用いて相手を叩きのめした場合に何が待っているのか……私の知る範囲で書かせていただきます。なお、私は法律の知識は全くありません。なので、法的なことに関して詳しいことが知りたい人は弁護士に聞くなり、専門書を読んだ方がいいでしょう。


 まず、あなたが路上で喧嘩になったとしましょう。そして危険な技を使い、相手に怪我をさせた場合……怪我の度合いにもよりますが(ちなみに正当防衛が認められるケースは意外と難しいようです)、相手が訴えた場合は、あなたは警察に逮捕されて留置場に入ることになります。この時、警官には絶対に抵抗してはいけません。弁護士を呼ぶ、などのことは必要ですが、警官や刑事の態度が不快だからといって下手な抵抗は禁物です。抵抗すると、公務執行妨害という罪状を追加される可能性があります。

 さて、留置場で取り調べを受け、検事の判断を待つわけですが……はっきり言って、留置場の居心地は最悪です。狭いスペースに犯罪者たちと共に収容されるわけですから。

 しかも、この段階では色んな人が来ます。ベロベロに酔っぱらった人……はまず隔離しますが、精神を病んでいる人や覚醒剤の効果が切れていない人などが、普通の人と一緒の房に入ったりします。この人たちは一見おとなしく見えて、いきなり暴れだしたりしますので……。


 その後の流れとしては……刑事の取り調べ→調書を作成→検事の取り調べ→起訴するかどうか決める→裁判→判決となります。執行猶予となれば刑務所に行かずに済みますが、実刑判決が出た場合は刑務所に行くこととなります。言うまでもないことですが、いずれの場合も前科は付いています。

 さて、見ていただけると分かりますが……この時点でもはや、完全に犯罪者の扱いを受けるわけです。執行猶予になったとしても、前科は付いています。これは就職の際、かなり不利になりますね。都市伝説かも知れませんが……企業によっては採用を決める時に、本人はもちろん親兄弟や親戚に至るまで、前科の有無を調べたりするケースもあるそうです。

 さらに、実刑判決を受けた場合……刑務所に行くこととなります。十六歳から二十五歳までは少年刑務所、二十六歳を越えると成人刑務所に行きますが……その両方に行った経験のある友人いわく「人間のクズが行く場所」だそうです。さらに、某少年刑務所はとにかくイジメが酷かったとか。狭い部屋に、まだ若い八人もの犯罪者を押し込み共同生活をさせれば、おのずとそうなっていくのでしょうね……詳しい内容はあえて書きませんが。


 私が何のためにこんなことを書いたのか、と言いますと……若いうちは、とかく喧嘩上等のような世界に憧れます。また、「格闘技では使えない危険な技」に惹かれたりもします。しかし、そうした憧れはフィクションの中だけに止めた方が賢明でしょうね。

 現実の喧嘩は、決して格好のいいものではありません。不意討ちをする奴、武器を使う奴、集団で一人を襲う奴……そうした卑怯な人間が勝つのが路上の喧嘩です。「俺は喧嘩で負けたことがない」なんて言ってる人のほとんどは、嘘か、あるいは勝てる相手としか喧嘩をしない人かのどちらかでしょうね。


 話を戻します。私は喧嘩をするなとは言いません。格闘技を喧嘩の道具にするな、とも言いません。格闘技をバカにし、実戦的な武術のみを高く評価するのもいいでしょう。ただ、それもまたフィクションの世界の中だけで止めておくべきです。

 路上での喧嘩は、勝ったところで何もなりません。しかも、その後の人生を棒に振る可能性があります。つまらない喧嘩で技を使い、挙げ句に刑務所行き……これは本当に馬鹿げた話ですが、そういった人は少なくありません。

 もっとも、命の危険が迫っている時は別ですが……それでも、まずは逃げること、そして助けを呼ぶことを考えるのが先決でしょうね。


 最後になりますが、「あの格闘技はお上品で実戦的でない」「この武術は危険な技を使うから実戦的」という意見を目にすることがあります。もちろん、意見を述べるのは自由ですが……現実の「実戦」が果たしてどのような結果をもたらすのか、ちゃんと理解した上で言っているのでしょうか。いざとなったら、刑務所に行く覚悟で危険な技を行使できるのでしょうか。

 警察に逮捕されたり、刑務所に行ったり……こんな体験は、人生においてマイナスにこそなれプラスにはなりません。皆さんには、こんな下らないことで人生のつまづきを経験して欲しくないですね。格闘技であれば、人を殴っても罪は問われません。しかし、路上で人を殴れば犯罪者として裁かれる可能性が高い……それだけは忘れないでください。






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― 新着の感想 ―
[良い点] やはり1番安全なのは逃げるが勝ち、ですね。 君子危うきに近寄らずとはよく言ったものですね。 [一言] 武術とは相手と戦うものではなく心身を鍛えるものだと個人的には思っています。技術や力があ…
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